「エンシュア」をおいしく&効果的に飲む




抹茶ドリンク

エンシュア・リキッドで
最低限の栄養を確保している

「最近の食事は、もっぱらエンシュア・リキッドに頼っています。
最低限の栄養が確保されているからでしょうか、お蔭で今年はインフルエンザにも風邪にもかからず、なんとか桜のシーズンを迎えられそうです。
また一緒にお花見に出かけましょうね」
――こんなうれしいメールが、そろそろ80歳になる知人女性から届きました。

彼女は仕事上の大先輩です。
一昨年の春先、食事中に喉を詰まらせて救急搬送されています。
このとき診察した医師から、この先も食べたり飲んだりしたものがうまく呑み込めずに誤って肺に入る可能性が多分にあり、それを繰り返していると誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を起こす危険がある。そうなったら命とりだからと、口から食べたり飲んだりすることをやめたほうがいいのではないか、と提案されたそうです。

でも先輩は、すでに「もしものとき」について書き記した事前指示書のなかで、「口からものを食べられなくなっても人工的に栄養を補給することは望まない」選択をしています。
このことを知らされた医師が、「それなら自然でいきますか」と処方してくれたのが、エンシュア・リキッドという経腸栄養剤だったのです。

エンシュア・リキッドで
口から食べることを続けている

このエンシュア・リキッドについては、中咽頭がんの手術後、固形食では誤嚥性肺炎になるのが怖いからと、エンシュア・リキッドを食事代わりにしている医師の話を紹介しました。

がん患者や誤嚥性肺炎のリスクにより口から食べることを「やめたほうがいい」と医師から言われる高齢者の間で、「エンシュア・リキッド」という栄養剤が人気と聞く。医薬品だから医師の処方が必要だが、胃瘻などの人工栄養を選択する前に検討してみてはどうか。

そこでも書きましたが、エンシュア・リキッドとは1缶(250ml、250Kcal)にたんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラルといった主要栄養分のすべてがバランスよく配合された医薬品としての経腸栄養剤です。

手術後の栄養保持や長期にわたり経口摂取することが困難な場合の栄養補給に使用することを目的に開発され、「固形物を食べられない」「食欲がない」などの症状が続く場合に、医師の処方のもとに利用されています。

最近では先輩のように、食事中にむせたり咳き込んだりするようになり、医師から誤嚥性肺炎のリスクを指摘されたものの、「口から食べることにこだわりたいから」と、このエンシュア・リキッドを選択する高齢者が少しずつ増えているそうです。

エンシュア・リキッドの濃縮タイプ
エンシュア・Hで効率的に栄養補給

エンシュア・リキッドは、1mlが1Kcalになるように調整された栄養ドリンクで、1缶飲めばエネルギーが250Kcal、たんぱく質と脂質がそれぞれ8.8g、炭水化物が34.3g摂れるようになっています。食事が十分摂れない人に食事代わりに飲んでもらえるようにと、フレーバー(香料)を変えて「バニラ味」「コーヒー味」「ストロベリー味」の3種類が用意されています。

エンシュア・リキッドには、「飲む量を減らしたい」「水分を制限したい」という方用の、「エンシュア・H」という濃縮された高エネルギータイプの経腸栄養剤もあります。
こちらは1缶(250ml)で375Kcal、たんぱく質と脂質が13.2g、炭水化物が51.5gと効率的に栄養補給できるように調整されています。
このタイプには、「バニラ味」「コーヒー味」「ストロベリー味」「メロン味」「バナナ味」「黒糖味」のほか、この2月には「抹茶味」が新たに加わっています。

栄養をより効率的に摂りたいという方には、エンシュア・Hの方が向いているでしょうが、試しに飲ませてもらった感じではかなり甘く、そのうえ濃くドロッとしていて飲みにくい。本来冷たいはずのスムージーが温かくなったような感じ、と言ったらいいでしょうか。

エンシュア・リキッドを
無理なくおいしく飲む工夫を

ちょっと気になるのは、どちらのタイプも薬のような風味が残ることです。
この点について先輩は、日によって粉末タイプの青汁を混ぜたり、時にインスタントコーヒー、あるいはココアを混ぜたりと、味をごまかして飲んでいるそうです。

ネットで検索してみると、そのままでは飲みにくいからと、ゼラチンを加えてプリン状にしたり、ゼリーにしたり、いったん凍らせてシャーベット状にしたりしている方もいるようです。
ただしこれらの方法では、加熱処理や凍らせることにより貴重な栄養素であるビタミンやミネラル類が失われてしまうことを考えると、積極的にはおすすめできません。

ただ、「ビタミンやミネラル類は他の方法で補うから、とにかくエンシュアでエネルギーを補給したいという場合は、飲みやすさを優先して凍らせたりするのもやむを得ない」と話す医師もいることを付け加えておきます。

加熱・冷凍で栄養分が失われる

エンシュア・リキッドの添付文書でも、直火で加熱するのは避け、温める場合は、未開缶のまま微温等(30~40℃)で湯煎(ゆせん)する、つまり間接的に温めるように注意しています。
また、冷凍も避けるよう注意を促しています。

エンシュア・リキッドもエンシュア・Hも、飲んですぐに下痢をしてしまうということがままあるようです。この場合、乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)*のためではないかと早とちりして、飲むことをあきらめてしまう方が多いようですが、この栄養剤には乳糖は使われていませんから、乳糖不耐症でも飲むことができるはずです。

先輩も、飲み始めた当初は何度か下痢をしたそうですが、少し湯煎してほどよく温めてから飲むようにしたところ、下痢はしなくなったとのこと。そして最近では、湯煎しなくてもゆっくり時間をかけて飲むことで、下痢は全くしなくなっているそうです。

*乳糖不耐症とは、牛乳などに含まれる乳糖を分解する酵素(ラクターゼ)の働きが十分でないために、乳糖を消化吸収することができず、お腹がゴロゴロしたり下痢したりすること。

なお、「エンシュア」については、こちらの記事もお役に立てると思います。

食事による栄養補給が難しくなっても人工栄養ではなく「口から食べる」ことにこだわりたいとき、エンシュアは強力な味方だ。が、介護保険施設ではコストの関係で、医薬品であるエンシュアを処方してもらえないことがある。その理由と代替品についてまとめた。
「エンシュア」というドリンクタイプの総合栄養剤については、胃瘻などの人工栄養に代わる選択肢として考える際に、「どこまで食事に代われるのか」との疑問を持つ方は多い。そこで、実際「エンシュア」を食事代わりにしている方の話や体験をまとめてみた。