牛乳を飲みたいがお腹ゴロゴロで飲めない方へ

牛乳

「牛乳でお腹ゴロゴロ」には
2種類の原因がある

牛乳は手軽に摂れる良質な高たんぱく源であると同時に、カルシウムやマグネシウム、リン、亜鉛といった必須ミネラルの補給源としても欠かせない食品です。

特に高齢者は、加齢によって陥りやすい「フレイル」や、その前段階である「サルコペニア」を予防するという意味で、牛乳はせめて毎日コップ1杯(200~250ml)は飲んでおきたいところです。

健康長寿を全うする条件の一つは足腰が丈夫であること。健脚を維持するには「サルコペニア」と呼ばれる筋肉量の減少による筋力低下を防ぎ、フレイルにすすめさせないことが課題となるが、そのために欠かせないのがたんぱく源、特にアミノ酸スコアの高い鶏卵を。

ところが、実際には「牛乳は苦手で飲む気になれない」という方が少なくありません。

多くの場合、牛乳を飲むと「すぐにお腹がゴロゴロする」「すぐトイレに行きたくなる」「下痢をしてしまう」というのが牛乳を「苦手」とする理由のようです。

これには、全く異なる2種類の原因があることがわかっています。

「乳糖不耐症(にゅうとうふたいしょう)」と「牛乳アレルギー」です。

「乳糖不耐症」なら自分で対処できる

このうち牛乳アレルギーは、「卵アレルギー」や「大豆アレルギー」「蕎麦アレルギー」などと並ぶ代表的な食物アレルギーの一つです。

特定の食物を摂取すると、体の免疫システムが、まるで細菌やウイルスが侵入してきたかのように過敏に反応して、拒絶反応としてアレルギー症状が出るという病気です。

病気ですから、牛乳アレルギーを疑ったら早期に医療機関を受診する必要があります。

もう一方の乳糖不耐症は、大人の場合は、牛乳の飲み方を工夫することによって、「お腹ゴロゴロ」等の症状を一定程度は防ぐことができます。

また、牛乳そのものはダメでも乳製品のチーズやヨーグルトのなかには安心して食べられるものがあるという方もいます。

今回はそのへんの話を少し突っ込んで書いてみたいと思います。

乳糖の消化不良により
「牛乳でお腹ゴロゴロ」

乳糖不耐症とは、牛乳や乳製品の成分である「乳糖」という糖質を分解する「ラクターゼ」と呼ばれる消化酵素の小腸における分泌が全くないか少なすぎる、あるいは働きが十分でないことによって引き起こされる病的な状態をいいます。

ラクターゼの分泌が十分でなかったり、働きが活発でなかったりすると、牛乳を飲んでも乳糖をしっかり分解し、消化・吸収することができません。

その結果として、牛乳を飲むと消化不良の状態となり、お腹がゴロゴロしたり、時にお腹が張っておならが出たり、腹痛や下痢に見舞われることも珍しくありません。

ラクターゼは、年齢が上がるにつれて分泌が減少していく傾向にあります。

そのため、「若い頃は平気で牛乳を飲んでいたのに、このところ牛乳を飲むとどうもいけない」という方も少なくないのではないでしょうか。

乳糖不耐症でも少量ずつなら
牛乳を飲める人も

乳糖不耐症という呼び名自体は、いかにも「病気」らしく聞こえますが、先天性の乳糖不耐症を除けば、実体は病気と呼ぶほど深刻なものではありません。

「体質」による病的な状態と理解されていて、その症状の現れ方には少なからず個人差があります。

どんなに工夫しても牛乳は一切ダメという方もいれば、少量ずつなら平気だが、一気にたくさん、成人の場合で言えばコップに1杯(200~250ml)以上飲むと症状が出るという方もいると聞きます。

少量はOKでも量が多くなるとダメという方の場合は、ラクターゼの分泌が間に合わないために乳糖が十分分解されず、お腹ゴロゴロ等の症状が出るものと考えられています。

そのため、人によっては1回分を数回に分け、少しずつ間隔を置きながらゆっくり噛むようにして飲むと、症状を抑えることができるようです。

乳糖不耐症でも
ホットミルクなら飲める人も

また、乳糖不耐症の方のなかには、適度に温めたホットミルクなら症状は出ないが、冷たい牛乳だけはどうしてもダメという方もいます。

冷たい牛乳はダメでもホット、つまり人肌程度(体温と同じ36~37℃)に温めた牛乳なら「お腹ゴロゴロ」や下痢などの症状が出ないのは、体温に近いほうがラクターゼの働きがより活性化するからだろうと考えられています。

ラクターゼの活性化により乳糖の消化が進むことに加え、胃腸への刺激が少ないことも影響して、「お腹ゴロゴロ」等の症状が抑えられるというわけです。

なお、牛乳を電子レンジで温める場合は、耐熱性で大きめのマグカップに牛乳を200mlほど注ぎ、軽くラップをして、500Wのレンジなら1分30秒を目安に温めます。

鍋で温める場合は、弱火でかき混ぜながら温めるのがコツ。このとき吹きこぼれに注意を。

いずれの場合も、牛乳を温めすぎると表面に膜ができます。

この膜には脂肪やたんぱく質、乳糖などの栄養素が含まれていますから、膜は捨てずに、飲む前によくかき混ぜてから飲むのがおすすめです。

乳糖不耐症でも難なく飲める
「ラクトースフリー牛乳」

乳糖不耐症の方のなかには、たんぱく質やカルシウムを補うためにもやっぱり牛乳を飲みたいという方もいるでしょう。

このような方のニーズに応えようと、最近は「お腹がゴロゴロしない牛乳」や「お腹にやさしいミルク」が何種類か市販されています。

このタイプの牛乳は、「ラクトース(乳糖)フリー牛乳」などとも呼ばれているように、牛乳に含まれている乳糖の半分以上をあらかじめ分解したり取り除いたりしてありますから、乳糖不耐症の方でも「お腹ゴロゴロ」を心配することなく飲むことができます。

このタイプの牛乳を飲み続けていると、体内におけるラクターゼの分泌が徐々に増え、普通の牛乳も難なく飲めるようになるというメリットも期待できるようです。

ヨーグルト等の発酵乳製品を
牛乳の代替品に

とは言え、牛乳を飲んで「お腹ゴロゴロ」や下痢に見舞われた経験があるという方のなかには、気持ちの上でも「とにかく牛乳らしいものは受けつけない」方もいるでしょう。

そういう方は、牛乳の代わりにヨーグルトや熟成チーズで必要なたんぱく質やカルシウムなどの栄養素を補うという方法もあります。

ヨーグルトは、乳酸菌で発酵させた発酵乳で作った発酵乳製品です。

発酵乳は発酵過程で乳糖が乳酸菌によってすでに分解されていますから、よほど大量を一気に食べない(飲まない)限り、ヨーグルトで「お腹ゴロゴロ」のような症状に見舞われる心配はまずありません。

熟成チーズも乳糖が分解されている

また、「ゴーダチーズ」「チェダーチーズ」「カマンベールチーズ」「モッツァレラ」のような発酵された熟成チーズも、製造過程で乳酸菌や酵素、青カビや白カビによって乳糖のほとんど、あるいはすべてが分解されていますから、こちらも適量であれば「お腹ゴロゴロ」になるような心配はありません。

大人用粉ミルクの活用も

なお、最近は健康意識の高い高齢者の間で、牛乳の代替品として「粉ミルク」への関心が高まっているのを受け、乳製品メーカー各社から「大人用粉ミルク」が売り出されています。

水やお湯にそのまま溶かしたり、味噌汁などのスープ類、コーヒーや紅茶などに混ぜるか料理に加えるなどして、たんぱく質やカルシウムり補給に活用している方が多いようです。

ただ、乳糖不耐症の方には、乳糖を可能な限り取り除き「お腹ゴロゴロ」等の心配もなく飲める救心製薬の「大人の粉ミルク 」がおすすめです。

在宅で要介護者を介護している家族を対象に行った調査で、48%の要介護者が低栄養の傾向にあるとの結果が報告されている。低栄養状態はフレイルに陥りやすく、栄養状態の改善は必須だ。手軽な栄養源として、良質なたんぱく源である「大人用粉ミルク」を紹介する。