お墓のいらない「散骨」を考えている方へ

クルーザー

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新たな葬送法として
「散骨」が広がっている

人生の終わりを見据えた「終活」の話になると、まず考えることの一つに葬送の方法、つまり「お墓をどうするか」「どこに納骨してもらうか」があるのではないでしょうか。

これまで私たちの国では、亡くなった方を火葬したご遺骨は、墓地に埋葬・納骨されるのが一般的でした。最近はこれに加え、新たな葬送の方法として「散骨(さんこつ)」、とりわけ「海洋散骨」がにわかに注目を集めています。

一昨年亡くなられた、作家で元東京都知事の石原慎太郎氏が海洋散骨で自然に還られたことが、海洋散骨の認知度を上げるきっかけになったとも聞きます。

先祖代々続いているお墓があり、引き継ぐ役割を引き受ける方がいれば、これまで通りの葬送法を問題なく続けることができるのかもしれません。

しかし「そもそもお墓がない」、あるいは「お墓を買う経済的余裕がない」、「先祖代々のお墓はあっても引き継ぎたくないから墓じまいをしたい」、「子どもに負担をかけたくない」、「思い入れのある場所で自然に還りたい」という方も少なからずいるでしょう。

そのような方が選択するのが、お墓がいらない「散骨」という方法です。今回は、この散骨について、知っておきたいことをまとめてみたいと思います。

厚生労働省によれば、このところの生涯婚姻率や出生率の低下が影響して、お墓を解体、撤去して別の方法で供養する「墓じまい」がこの10年で1.5倍に増え、全国で年間11万8000件を超えているそうです。

シーセレモニーの
ファミリー海洋散骨の体験談

散骨する場所は、故人の遺言により指定されるケースが多く、人によってさまざまですが、にわかに注目を集めているのが、ボートや船の上から海に散骨する「海洋散骨」です。

実は、このブログで散骨について書いてみようと思い立ったのは、この海洋散骨を経験した友人が、お父様を亡くされて間もないとは思えない、あまりにすがすがしく晴れ晴れとした表情で体験談を聞かせてくれたからです。

海が好きだったお父様は、生前、家族との人生会議の場で、「俺が死んだら墓になんて入れるなよ。夏になると家族みんなで行っていたあの青く広大な湘南の海に撒いて自然に還してくれ」と話していたそうです。

その意思を汲んで葬送の方法として選んだのが、専用の小型クルーザーを貸し切り、家族だけで散骨できるシーセレモニーの海洋記念葬だったそうです。

散骨を実現するには守るべきルールや手続きがあります。しかし、身内を亡くした後だけに何かと慌ただしく、他人の手を借りられることはお願いしたいものです。その点、具体的なことはコンシェルジェに一切を託すことができるのも、海洋記念葬シーセレモニーの魅力だと聞いています。

「おひとりさま」にうれしい「代理散骨プラン」も

また、実は私の周りには「おひとりさま」の女性も男性も多いのですが、この社の海洋散骨に用意されている「代理散骨プラン」に関心を寄せ、生前予約を検討している方が少なくないこともお伝えしておきたいと思います。詳しくはこちらをご覧ください。

散骨は違法ではないが
守るべきルールがある

散骨については、厚生労働省が2022年3月31日、散骨事業者向けにまとめた「散骨に関するガイドライン」を公表しています。そこでは散骨を次のように定義しています。

「墓埋法(正しくは「墓地、埋葬等に関する法律」)に基づき適法に火葬された後、その焼骨を粉状に砕き、墓埋法が想定する埋蔵または収蔵以外の方法で、陸地または水面に散布し、または投下する行為」

行政文書にありがちな難解さが気になりますが、要は、散骨とは、火葬後に砕いて粉状にした遺骨(焼骨)の一部、あるいはすべてを海や山に撒く葬送法のことです。

この散骨については、「違法でしょ」と考えている方が多いようですが、それは誤解です。散骨は「葬送のための祭祀(さいし)」、つまり祭りごととして法的に認められていて、散骨という行為自体には法的にも、また宗教的にも問題はないことになっています。

つまり散骨は違法ではないのです。ただ散骨するにはルールがあります。その一つとして、先のガイドラインには、「焼骨は、その形状を視認できないよう粉状に砕くこと」とあります。

焼骨をきちんと粉状に砕かずに骨の状態のままで放置した場合は、刑法190条の「死体損壊等」に抵触し、「3年以下の懲役に処する」となっています。

したがって、散骨を選択する場合は、火葬された遺骨、つまり焼骨は残らずパウダー状に細かく粉砕することが条件となります。

散骨を行う場所は
どこでもいいわけではない

もう一点、厳守すべきルールとして、「粉砕した焼骨をどこに散骨してもいいというわけではない」ことが挙げられます。

散骨する場所に関しては、先のガイドラインに、次の2点が記されています。

  1. 陸上の場合:あらかじめ特定した区域(河川および湖沼を除く)
  2. 海洋の場合:海岸から一定の距離以上離れた海域(地理条件、利用状況等の実情を踏まえ適切な距離を設定する)

いずれの場合も、関係者(地域住民、周辺の土地所有者、漁業者等)と自然環境への配慮が求められることは言うまでもありません。

また、散骨に関する条例を制定し、散骨を禁止、あるいは制限している自治体があることも知っておく必要があります。

  1. 散骨を禁止する条例のある自治体:北海道長沼町、宮城県松島町、熊本県南阿蘇村
  2. 散骨を原則として禁止する条例のある自治体:埼玉県秩父市(墓地以外の場所は原則禁止)、鹿児島県伊佐市、北海道岩見沢市
  3. 散骨場の規制を行う条例のある自治体:長野県諏訪市、静岡県御殿場市・熱海市・伊東市・三島市、埼玉県本庄市、神奈川県湯河原町・箱根町、愛媛県愛南町