エンシュア・Hのコーヒー味が美味しくなった

コーヒー

エンシュア・Hのなかで人気の
コーヒー味が懐かしい味に

高齢者にとって「低栄養」や「フレイル」と呼ばれるような状態は、自立した生活の妨げになるだけではありません。

場合によっては死亡率を高める要因ともなるだけに、日々のバランスのよい十分な栄養摂取がことのほか重要な課題となっていることは改めて言うまでもないでしょう。

この栄養摂取に、「エンシュア」というドリンクタイプの総合栄養剤、正確には医療用医薬品に指定されている「経腸栄養剤」を活用している方が増えていると聞きます。

経腸栄養剤は各種ありますが、なかでも特に濃縮されていて、高カロリー(エネルギー)タイプの「エンシュア・リキッド・H」を、食事の不足分を補う目的で、あるいは食事代わりに常用している方も少なくないと思います。

この「エンシュア・リキッド・H」、通称「エンシュア・H」には、飲みやすいように、また飽きずに飲み続けられるように、フレーバー(食品香料)を変えて「コーヒー味」「抹茶味」「バナナ味」「バニラ味」「ストロベリー味」「メロン味」「黒糖味」の7種類が用意されています。

このうち特に人気の高い「コーヒー味」が、65歳以上の高齢者の嗜好に合わせて、「第一次コーヒーブーム」の味を再現してリニューアルされ、一段と美味しくかつ飲みやすくなっていることをお伝えしたいと思います。

リニューアルされた
コーヒー味を気に入って

エンシュア・Hの製造元であるアボットジャパン合同会社(以下、アボット社)から、コーヒー味をリニューアルした旨の通知が公表されたのは、2020年7月の末のことでした。

ところがこの時期は、ご承知のように、新型コロナウイルスの世界の感染者が1,500万人を超え、日本でも全国規模で感染が拡大して、1日の新規感染者数が連日過去最多を更新するといった大変な状況にありました。

多くの人の関心は、そして報道もコロナ一色で、正直なところ、エンシュア・Hのコーヒー味が変わったことは、ほとんど話題にならなかったように記憶しています。

80歳を過ぎた母親を、訪問看護師さんのサポートを受けながら介護している友人から、このリニューアルされたエンシュア・Hのコーヒー味について、「母が大変気に入って、よく飲んでくれている」といったメールが届いたのは、ごく最近のことです。

この友人の母親は、食事中のむせや咳込みがひどく、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を心配したかかりつけ医のすすめで、いったんは胃ろうを造設しています。

しかし、その後「やはりクダを介しての食事ではなく、口から食べたい」という母親の希望もあり、胃ろうを中止して経腸栄養剤による栄養摂取に切り替えたという経緯があります。

そのへんの話はこちらに詳しく書いてありますので、一度読んでみてください。
→ 続けている胃ろうを中止して自然にゆだねたい

コーヒーの風味で昔を想起し
脳の活性化にも

ところで、リニューアルされたコーヒー味ですが、アボット社は、現在65歳以上の高齢者の多くが経験しているであろう、1950年代~60年代の「第一次コーヒーブームの味を再現した」と説明しています。

現在主流となっている「スタバのコーヒー味」でもなければ「コンビニのコーヒー味」でもありません。あるいは「こだわりのブレンドコーヒーの味」でもないのです。

「インスタントコーヒー」や「コーヒー牛乳」など、当時の家庭で身近に楽しんでいたコーヒーの風味を味わうことができるように工夫されているようなのです。

実際、友人の母親は「懐かしい味がする」と言ってうれしそうに飲みながら、ときに若かりし頃の亡き父親とのコーヒーにまつわる思い出話を聞かせてくれるようになったそうです。

そんな母親の様子を友人は、「コーヒーのつもりで飲んでいるようで、脳の活性化にもつながっているのではないかしら」などと話してくれています。

エンシュア・H1缶で
375kcalを補給できる

友人によれば、胃ろうを中止して自分の口から経腸栄養剤を摂る方法に切り替えた当初は、母親の好みを考え、エンシュア・Hのバナナ味やメロン味をかかりつけ医に処方してもらい、1日3~4缶を、その都度ゼリー状、あるいはムース状にして食べてもらっていたそうです。

ちなみにエンシュア・Hなどの経腸栄養剤は医療用医薬品ですから、入手するには医師の処方箋が必要です。同時に、処方薬同様に健康保険が適用されますから、自己負担分だけで手に入れることができます。

エンシュア・Hは1缶250mlに、主要栄養素のたんぱく質13.2g、脂質13.2g、炭水化物(糖質)51.5gに加え、ビタミンやミネラルなどの栄養成分がバランスよく配合されています。

1缶で375kcal摂ることができますから、1日に3~4缶で1125~1500kcalを補給できていることになります。

初めのうちはもっぱらエンシュア・Hに頼っていたとのこと――。

徐々に食事を摂れるようになり、コーヒー味に

ところが、併行して続けていた摂食嚥下訓練*の効果により、ムース状に加工されたレトルト食品やチーズケーキなどをむせたり咳き込んだすることなく食べられるようになってきたら、食後にコーヒーを飲みたいと言い出したのだそうです。

そこで、どうせなら栄養補給になるエンシュア・Hのコーヒー味をコーヒー代わりに飲んでみようという話になり、その流れのままにリニューアルされたコーヒー味を楽しんで飲むようになったというわけです。

*摂食嚥下訓練とは、唇や顎、舌の運動や喉(のど)のマッサージなどにより、食べ物を口に入れてもむせたり、咳き込んだりすることなく、食べ物を飲み込むことができるように行う訓練。友人の母親は、言語聴覚士による訪問リハビリテーションで訓練を受けたというが、専用のトレーニングボトルを使って自分で訓練する方法もあります。
食事中にむせたり、水を飲むと咳き込んだりの積み重ねによって起こる誤嚥性肺炎は、高齢者には死に直結する大問題。その予防に、歯科医師が開発した舌の筋力アップのためのトレーニングボトルを紹介する。形状も機能も哺乳ビンによく似たボトルで手軽に訓練できる。

エンシュアなどの経腸栄養剤を飲みやすく

なお、エンシュア・Hやエンシュア・リキッドにちょっと手を加えて飲みやすくする方法については、こちらの記事を参照してください。
→ 「エンシュア」をおいしく&効果的に飲む

友人の母親は摂食嚥下訓練によりスムーズに飲めるようになったそうですが、むせたり咳き込んだりする状態が続いている方は、エンシュアなどにとろみ調整用食品を使ってとろみをつけると誤嚥を防止できます。その方法はこちらを。

嚥下障害があるとエンシュアなどの経腸栄養剤は流動性が高く、誤嚥しやすい。そのリスクを避けようと「とろみ調整用食品」でとろみをつけようとしても、うまく混ざらないという経験はないだろうか。その解決策として、二度混ぜ法を紹介。併せてとろみ調整用食品の使用法も。

食事と併行してエンシュアを摂るタイミング

また、今回紹介した友人の母親のように、食事だけでは栄養的に十分ではないため、不足分をエンシュアなどで補う場合の経腸栄養剤を飲むタイミングについては、こちらで具体的に紹介していますのでお役立てください。

「エンシュア」などの経腸栄養剤を食事の不足分を補う目的で飲んでいる方は、エンシュアを飲むタイミングや飲み方で問題を抱えている方が少なくない。食前に一気に飲めば食欲が落ちて食事を十分摂れないし、その逆も……。そんな問題をクリアする方法を紹介する。