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とろみ付きの緑茶が
市販されています
食べたり飲んだりしたものを誤嚥(ごえん)して、むせたり咳き込んだりするのを防ごうと、とろみを付けるなど飲み込みやすくした、いわゆる「ペースト食」や「ムース食」の商品化が進み、手に入れやすくなっています。
ところが、「食後に一杯」とか、食間のティータイムなどに水分補給の意味も込めて飲みたいお茶の類、さらには熱中症予防に欠かせない水分補給については、その都度ご自分で、あるいは介護者に託してお茶などの水分にとろみ調整用食品(以下、とろみ剤)を加えてとろみを付けて飲んでいる方が多いと思います。
しかしこのとろみ付けは、結構手間がかかります。とろみ剤がうまく溶けきらずに、とろみに「ムラ」があったり「ダマ」ができてしまうことが多く、「一杯のお茶にとろみを付けるのに10分以上かかることも珍しくない」と、嘆きともとれる声をよく耳にします。
そこで今日は、とろみをつけて飲みやすくした緑茶が商品化されていて、そうした手間がいらなくなるという朗報をお届けしたいと思います。
誤嚥リスクがあっても
いつでも安心してすぐ飲めるお茶
その商品は、「お~いお茶」のCMなどでおなじみの大手飲料メーカー「伊藤園」が、昨年(2022年)11月に売り出した「とろみ付き とろり緑茶 」です。
伊藤園の、あるマーケティング担当者が介護現場をリサーチして回っていると、ひとりの高齢者から「誤嚥する心配がなく、いつでも安心してすぐ飲めるお茶を作ってほしい」というリクエストがあったそうです。
この高齢者は元来の緑茶好き。ところが嚥下機能が低下していて誤嚥するリスクが高く、命の危険に直結しやすい誤嚥性肺炎を心配する介護スタッフから、とろみの付いていない普通のお茶を飲むことを固く禁止されているのだそうです。
話を聞いた伊藤園側はなんとかしてリクエストに応えようと、東京大学大学院医学系研究科の「イートロス*医学講座」のメンバーと共同で開発に着手。そして完成させたのが、適度なとろみで誤嚥を防ぎ、いつでも、安心して水分補給ができる「とろり緑茶」です。開発まで2年以上を費やし、200回以上の試作を繰り返したそうです。
飲みたいときにすぐ飲める
「とろり緑茶」の5つの特長
完成した「とろり緑茶」の特長として、次の5点があげられています。
- とろみをつける作業が不要で、飲みたいときにすぐ飲める
- スプーンですくって傾けるとすっと流れ落ちる程度の薄いとろみ*になっている
- いつでもとろみにムラがなく安定していて、ホットでもアイスでも飲むことができる(ホットで飲みたいときは別の容器に移して電子レンジでチンして温める)
- 普通の緑茶と大差ない色鮮やかな緑色をしていて、時間が経っても変色しない
- カフェイン少なめで、カフェインが気になる方も毎日のお茶として飲むことができ、水分補給に適している
なお、個々の嚥下の状態により適切なとろみの度合い(強さ)は異なります。「とろり緑茶」を購入する前に、あなたの嚥下状態をよく理解しているかかりつけの医師、あるいは歯科医師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士などに、とろみの強さが「薄いとろみ」の「とろり緑茶」があなたに適切かどうか確認しておくことをお忘れなく。
その際には、ここで言う「薄いとろみ」のとろみの強さは、「日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食分類2021」にある「段階1」の「薄いとろみ」を指すことを、かかりつけ医などにお伝えください。
炭酸飲料もビールも
エンシュアなどの経腸栄養剤も
誤嚥リスクのある方のなかには、コーラなどの「炭酸飲料を飲みたい」方もいるでしょう。ところが炭酸飲料にとろみ剤を加えると、かき混ぜているうちに炭酸がすっかり抜けてしまうという問題があります。
この問題をクリアできる商品としては、森永乳業グループのクリニコが今年(2023年)9月に売り出した「つるりんこシュワシュワ 」というとろみ剤があります。
また、在宅療養をしている誤嚥リスクのある方で「たまにはビールを飲んでみたい」という方は、東京医科大学のリハビリテーションチームが提案しているこちらの「とろみ付きビールの作り方」が参考になります。
いずれにしても、炭酸飲料もビールも刺激物で誤嚥リスクを高める危険がありますから、事前にかかりつけ医らに相談することを厳守してください。
エンシュアなどもとろみをつけて
なお、エンシュア・リキッドのような各種総合栄養ドリンク剤(正確には「経腸栄養剤」)の処方を受けて常用している場合のとろみの付け方については、「エンシュアにとろみをつけて誤嚥を防ぐ」をご覧ください。
また、1日にどのくらい水分をとればいいのかとお悩みの方は、こちらをご覧ください。