訪問看護は退院したその日から受けられます

輸液

自宅での生活に不安なら
退院当日から訪問看護を

入院中の患者さんのなかには、退院後に向け、看護師等の医療スタッフからさまざまな説明や指導を受けて準備をしてきたものの、「いよいよ自宅に戻るとなるとあれこれ気になって心配の種が尽きない」という方が少なくないと思います。

とりわけ気管切開を受けて気管カニューレを装着していたり、在宅酸素療法や経管栄養などの治療を退院後も自宅で継続するという方の心配や不安はことさらでしょう。

このような、退院後の日々の生活に医療的な処置やケアを必要とする状態にある方は、訪問看護師による訪問看護サービスを受けながら在宅療養を続けることになります。

この訪問看護は、医療保険でも介護保険でも利用できます。

ただしそこには、「原則として1日1回、1回の訪問時間は30~90分程度、週に3回まで」といった、利用制限があります。

しかし、患者さんの状態によっては、この利用枠を超えて訪問看護を利用できる仕組みがあるという話を、先にこちらの記事で紹介しました。

酸素療法や経管栄養を続けている等の医療依存度が高い在宅療養者には必須の訪問看護。医療保険で利用する際には、必要な手続きを踏めば既定の利用枠を超えてサービスを受けることができる仕組みが用意されている。その、理容に必要な要件と、手続きについてまとめた。

この特例の一つのケースとして、担当医(かかりつけ医)が発行する指示書があれば、退院当日を含む「退院直後」に訪問看護を利用できるという話を書いてみたいと思います。

退院当日からの訪問看護には
事前の手続きが必要

退院の話が具体化しはじめたら、まずは、退院して自宅に戻ってからのご自分の1日の生活をイメージしてみてください。

そのとき、気になることや不安に思うこと*があれば、遠慮なく担当医に、あるいは病棟の担当看護師なり退院支援を専門に行っている看護師に、不安に思うことなどをできるだけ具体的に打ち明けてみてください。

相談を受けた医師や医療スタッフからは、話の内容にもよりますが、「退院するその日から訪問看護師さんにサポートしてもらうこともできますから、ご希望なら、その手続きをしておきましょうか」といった話になるかと思います。

あるいはご自分から、こう相談してみるのもいいと思います。

「退院するその日に、訪問看護さんに自宅で待機していてもらい、私が戻ったらすぐにその場で、必要な処置の方法や医療機器の操作方法などを具体的に指導するなり、サポートしていただくというわけにはいかないものでしょうか」

その結果、担当医や看護師がサポートが必要と判断すれば、「退院当日に訪問看護を受けられるよう、早速手続きに入りましょう」となるはずです。

*自宅への退院後の生活に心配や不安があれば、入院中の退院前、たとえば外泊時などに、あるいは退院後の早い時期に病棟看護師等病院のスタッフによる自宅への訪問指導を、医療保険サービスの一環として受けることができます。
医療処置やケアが必要な状態のまま退院して自宅での療養生活に移る際は、何かと不安を伴うもの。そこで、医療保険サービスの一環として、退院前や退院後に病棟看護師等による訪問指導を受けることができるという制度が用意されている。利用に必要ないくつかの条件を説明する。

利用枠を超える訪問看護には
担当医による特別指示書が必要

退院当日の訪問看護は、既定の利用枠を超えるサービスです。

このサービスを利用するには、訪問看護の利用に必要な「訪問看護指示書」をすでに発行している担当医から、「特別訪問看護指示書」と呼ばれる指示書、いわゆる処方箋のようなものを、改めて追加発行してもらう必要があります。

この「特別訪問看護指示書」の有効期間は、発行日から14日間です。

この間なら、退院の当日は言うまでもなく、毎日でも訪問看護を利用することができます。

また、通常の「訪問看護指示書」による訪問看護は、1カ所の訪問看護ステーションから1人の訪問看護師に限定されます。

ところが、この「特別訪問看護指示書」による14日間の訪問看護は、2か所の訪問看護ステーションから訪問看護を受けることができるようになっています。

たとえば在宅酸素療法や在宅中心静脈栄養法、あるいは在宅自己腹膜灌流(ふくまくかんりゅう)などのために複雑な医療機器の操作について、退院後に自宅で指導を受けたいということは往々にしてあるでしょう。

そのような場合は、通常の訪問看護とは別に、その機器の操作に精通した訪問看護師が在籍している訪問看護ステーションに訪問をお願いする、といったこともできるわけです。

退院当日から28日間連日
訪問看護を利用できることも

退院当日の訪問看護を利用するために必要な「特別訪問看護指示書」には、この指示書の交付を月に2回まで受けることができる、という特例もあります。

この特例が認められるのは、次のいずれかを担当医が認めるケースです。

  • 真皮を超えるほど深く、重症な床ずれ(褥瘡;じょくそう)がある
  • 気管カニューレを使用している

したがって、上記条件のいずれかに該当する方は、退院当日から、最長で28日間は連日、1日3回まで訪問看護を受けることができるようになっています。

しかもこの場合は、たとえば床ずれの手当てに特別に精通した訪問看護師が所属している訪問看護ステーションに改めて依頼するなどして、一度に3か所の訪問看護ステーションから訪問看護を受けることができるのです。

このように、担当医が発行する「特別訪問看護指示書」を上手に活用すれば、退院して自宅に戻ったその日からほぼ1か月は、毎日訪問看護師のサポートを受けることができます。

この制度をフルに活用すれば、その後の在宅療養に自信をもって臨むことができるようになるというわけです。

退院当日からの訪問看護利用で
気になる費用は?

担当医が交付する「特別訪問看護指示書」による訪問看護を、できれば退院当日から受けたいとは思うものの、かかる費用が気になるという方が少なくないようです。

通常の訪問看護は、前記のように医療保険でも介護保険でも利用できます。

しかし「特別訪問看護指示書」による訪問看護は、すべて医療保険になります。

この場合、1回の訪問看護にかる費用は、訪問スタッフの人数やその構成メンバー(「訪問看護師が1人」「訪問看護師が2人」「訪問看護師と准看護師」「訪問看護師と看護補助者」)および訪問時間などにより大きく違ってきます。

かかる費用については聞きにくいという方が多いのですが、この先の療養生活を安心して送るためには大事なことですから、担当の訪問看護師に遠慮なく尋ねてみてください。

医療費の負担が大きすぎるときは、高額療養費制度の給付が受けられます。

医療機関で検査を受けたり薬局で処方薬を受け取って支払う医療費は、一部の自己負担分だけに抑えられるものの、高額になることも珍しくない。その負担が家計を苦しめないよう「高額療養費制度」が設けられている。この制度の利用方法についてポイントをまとめた。

また介護費が高すぎる場合は、高額介護サービス費制度の給付が受けられます。

医療費に高額療養費制度があるように、介護サービスにかかる費用にも高額介護サービス費制度という負担軽減の仕組みがある。申請すれば、決められた自己負担上限額を超える額を給付してもらえるのだが、所得に応じた上限額がなかなか複雑だ。ポイントをまとめた。

かかりつけ薬剤師による訪問サービスも

なお、在宅で輸液などを受ける方は、その輸液等の手配などにかかりつけ薬剤師の訪問サービスを受けることもできます。詳しくはこちらを読んでみてください。

2020年9月から薬局薬剤師には、処方薬の服用や管理につき服薬期間中の患者をフォローアップすることが義務づけられている。同時に、処方医が訪問の必要があると判断し、その指示書を発行した際は、薬剤師が訪問サービスを行うことになった。その詳細を紹介する。