マスク着用でリスクが高まる「冬の脱水」

水を飲む

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マスクが手放せない冬は例年以上に
脱水リスクが高まっている

新型コロナウイルスの感染拡大は何とか小康状態にあるものの、インフルエンザのこともあって未だマスクが手放せない今年の冬は、コロナ前の冬とは違いさまざまな面で大きく状況が変わっています。

その一つに「脱水」という問題があります。

脱水は、病気や体調不良により水分補給が不足して起こる場合は別として、通常は夏の熱中症によって起こりやすいと考えがちです。

ところが冬のシーズンは、湿度が下がりただでさえ空気が乾燥しがちです。

そのうえ、暖房を効かせた室内では、汗をかくことも多く、不感蒸泄が高まることが影響して、脱水リスクがより高まることが指摘されています。

そこで今回は、特に高齢者や体調が思わしくない方にはとりわけ万全の注意が求められる、この冬の脱水と「かくれ脱水」について、注意喚起の意味も込めて書いてみたいと思います。

かくれ脱水委員会が
脱水やかくれ脱水に警告

「教えて!『かくれ脱水』委員会」をご存じでしょうか。

脱水状態や「かくれ脱水」に対する正しい知識と予防方法、および対処方法を広く一般に伝えることを目的に活動している、全国の医療および福祉領域の専門家グループです。

「かくれ脱水」とは、聞きなれない言葉ですが、当委員会は、深刻な脱水状態の一歩手前で、「のどか渇く」などの脱水を疑わせる症状を自覚していないものの体内の水分量が不足している状態を「かくれ脱水」と呼んでいます。

コロナは沈静化しているものの、感染対策が最優先される今年の冬も、脱水およびかくれ脱水に特に要注意と警告する理由として、当委員会は以下の2点をあげています。

  1. 感染対策としてのマスク着用により、のどの渇きを感じにくくなっていること
  2. 外出などの行動自粛によって運動量が減り、筋肉量が低下していること

マスクの着用によりのどの渇きに気づきにくい

本委員会が指摘する「1」の理由については、改めて説明するまでもないと思います。

マスクを着用していると、自分が吐く息で口の周りが湿っているように感じるものです。

そのため、脱水の重要なサインである「のどの渇き」に気づきにくくなっているのです。

また、マスクを着用していると、いちいちマスクを外して水分を摂ることを面倒に感じ、つい水分不足になってしまうといった問題もあります。

すぐ近くに人がいてフィジカルディスタンス(身体的距離)を確保しにくい状況にあったりすれば、感染を受けるリスクからマスクを外すことをためらうあまり、ついつい水分補給の機会をのがしてしまうといったことも考えられます。

運動量の低下による筋肉量の減少で脱水に

理由「2」の、感染対策としての外出自粛などによる運動量の低下により筋肉量が減ることと脱水の関係については、ちょっとピンとこないという方もいるかもしれません。

この点について本委員会は、筋肉にはもともと水分を蓄えて体内の水分を一定量に保つ役割があると説明しています。

水分を蓄えるための筋肉が減少するということは、そのまま体内の水分量が少なくなることを意味し、結果として脱水のリスクが高まるというわけです。

かくれ脱水チェックシートで
セルフチェックを

本委員会で副委員長を務める谷口英喜(たにぐち ひでき)医師(済生会横浜市東部病院患者支援センター長)は、冬の脱水はじわじわやってくるため、気づきにくいことが多いと指摘。

65歳以上の高齢者向けに「かくれ脱水チェックシート」*を公表して、「かくれ脱水」の可能性をセルフチェックしてみるようすすめています。

ちなみにこのチェックシートでは、以下を脱水のサインとしてあげています。
⑴ 皮膚が乾燥してカサつく、皮膚につやがない
⑵ 口の中がねばつく、食べ物がパサつく
⑶ 便秘になった、あるいは以前よりひどくなった
⑷ 手の甲の皮膚をつまみ上げて離した後に、つまんだ跡が3秒以上残る
⑸ 脚のスネに”むくみ”が出るようになった

冬の脱水予防は
1時間に1回180㎖の水分で

冬の脱水の予防策としては、夏の脱水対策同様、「のどが渇いていなくても、こまめに少量ずつでいいから水やお茶を、できれば時間を決めて飲むことが大切」とのことです。

具体的には、室内にいてあまり動かない場合でも、日中は、1時間に1回は湯飲み一杯程度、目安としては180㎖の水やお茶を飲むといいようです。

毎日の食事で摂る栄養バランスには気を使っても、水分補給となると無頓着になっていないでしょうか。健康のためには「少量ずつ、こまめに」を原則に、1日に少なくともコップに5杯の水分を補給する必要があります。その補給法について書いてみました。

外出して体を動かしていたり、室内でも運動をするなどして体を動かしている場合は、さらに小まめに水分補給することがすすめられています。

運動して発汗が多いときの水分としては、発汗で失われるミネラルを補えるポカリスエット などのスポーツドリンクがおすすめです。

ただし糖尿病の方は、糖分量をチェックしてから――。

鍋料理をできれば1人鍋で

また、このシーズンならではの対策として、「鍋料理」もいいようです。

鍋料理なら、たんぱく質が豊富な肉類や魚類、あるいは豆腐に加えて、今が旬の白菜を始め野菜やきのこ類もたっぷり摂ることができます。

栄養バランスの面で理想的なだけでなく、汁も一緒に摂るようにすれば、水分補給にもなりますから、文字どおり一石二鳥です。

ただしコロナ対策としては、極力1人鍋にしたいところです。

やむを得ず1つの鍋を家族や友人と囲む際には、みんなで直箸(じかばし)でつついて食べるのだけはやめ、具材を取り分ける専用の箸を用意することをお忘れなく。

誤嚥があれば経口補水ゼリーを

なお、脱水リスクが高いものの、誤嚥したりむせるなどの嚥下トラブルによりこまめに水分を補給することが難しい方も少なくないでしょう。

そのような場合の対策として本委員会のメンバー秋山正子保健師は動画*²を使って、経口補水液 オーエスワンゼリーパウチ のような経口補水液ゼリーの活用をすすめています。

参考資料*¹:かくれ脱水チェックシート

参考資料*²:『なんとかしたい!高齢者の脱水』