「フレイル」予防に岡山県のリーフレット活用を




蜂蜜

「食事はフレイル予防の第一歩」
高齢者こそ十分な栄養摂取を

加齢に伴い筋力をはじめとする心身の活力が低下し、やがては認知機能も低下して、要介護状態や寝たきり状態につながりやすい「フレイル」――。

このフレイルを、栄養状態を改善したり、筋力や体力をアップして未然に防ごうと、全国各地でさまざまな取り組みが進められています。

国レベル、都道府県レベル、そして自治体レベルでも地方色豊かで独創的な取り組みが行われているのですが、なかでもこのところ特に注目を集めているのが、岡山県の「食の改善」を前面に打ち出した取り組みです。

同県では健康推進課が中心となり、「食事はフレイル予防の第一歩」を合言葉に、高齢者に十分な栄養摂取をよびかけるリーフレット「食育ナビ~フレイル編~」を2万部作成。県内11カ所の保健所や保健所支所で高齢者に配布しています。

かつては「もう歳だから」と諦めていた体力や気力が低下した「フレイル」と呼ばれる状態は、その兆候に早めに気づき生活習慣を改善すれば、要介護状態への進行を食い止めることができます。その第一歩となるフレイルチェックの方法を紹介します。

フレイル予防は
筋力・運動能力の自己チェックから

A4版にして7ページというハンディなこのリーフレットは、幸いなことに、岡山県のホームページからダウンロードすることができます(コチラ)。
まずは一度アクセスしてみてください。
ご覧のように、カラーのイラスト付きでていねいに解説されています。

いきなり食事の話に入るのではなく、まずは自分の筋力・運動能力を知ることから――。
「指輪っかテスト」と呼ばれる簡単な方法で、自らの筋肉が衰えていないかどうか、骨量は減っていないか、運動機能が低下して転倒や骨折のリスクが高くなっていないかチェックしてみることをすすめています。

そのうえで、転倒や骨折予防に役立つ「貯筋」、つまり筋肉をコツコツ増やしていく運動として、「台所仕事をする」「買い物に行く」「掃除機をかける」「階段を使う」「地域の行事に出かける」といった活動を、日々の生活の中で積極的に行うよう促しています。

さらに、誰もが手軽にできる運動量を増やすウォーキングのポイントを紹介しています。
ウォーキングは有酸素運動です。有酸素運動が体脂肪を燃焼させるためにダイエット効果があることはよく知られていますが、筋力の強化、さらには呼吸や循環器系の機能の向上にもつながるメリットがあります。

自分の口で食べることが
フレイル予防には欠かせない

もう一点、このリーフレットの特徴ともいえるのが、三度三度の食事をいつまでも自分の口で食べ続けることができるようにと、嚥下力、つまり飲み込む力を維持する口の体操をイラスト入りで紹介していることです。

加齢に伴い、食事中にむせたり、咳き込んだりすることが多くなりがちです。
そうなってくると、食べたものが誤って気管に入り込むことによる「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を心配して、「口から食べるのをやめて胃ろうでも……」といった話になりがちですが、それを避けようというわけです。

また、かねてから私たちの国では、「8020(ハチ・マル・ニイ・マル)」をスローガンに、歯の健康の大切さをアピールする運動が厚生労働省と日本歯科医師会により推進されています。「万80歳で健康な歯が20本残っている」ことを目標にしているわけですが、そのための虫歯予防の注意点も盛り込まれています。

フレイルを予防には
炭水化物とたんぱく質が必要

そしていよいよ食事のポイントです。
高齢者の食事では、からだを動かすエネルギーのもととなる「炭水化物」と、筋肉や骨の材料となる「たんぱく質」がとりわけ重要です。
この二つが不足すると、日常の活動量の減少や食欲低下を招き、要介護の状態になる可能性が高まるとされているからです。

厚生労働省は国民健康・栄養調査を毎年実施していますが、その2017年の結果を見ると、65歳以上の男性の12.5%、女性の19.6%が低栄養傾向にあることがわかります。
さらに80歳以上の低栄養傾向となると、男女ともに2割を占めています。

こうした結果を踏まえてリーフレットは、からだを動かすエネルギーとなる食品、からだ(血や筋肉や骨)を作る食品の具体例を明記して積極的に摂取するよう促しています。

さらにその参考にと、1日に摂りたいたんぱく質の目安量約50gを、具体的な食品と量を「切り身魚70g」「牛乳200g」「薄切り肉60g」「豆腐120g」「卵1個」「納豆1パック」といったかたちでイラストともに紹介し、1日の献立にこれらを上手に組み合わせてまんべんなく取り入れていくことにより、たんぱく質摂取量をアップできるようにしています。

焼き魚のおろしにサラダ油で
エネルギーアップを!!

フレイル予防には、毎日十分なエネルギーとたんぱく質が豊富なバランスのよい食事が不可欠だとは頭でわかっていても、毎日のこととなると、ついコンビニの食事で間に合わせたくなったり、インスタント物に頼りがちにもなります。

そこで、リーフレットでは、「献立作りのポイント」として、手軽にエネルギーとたんぱく質をアップする方法を「ご飯派のあなたへ」「パン派のあなたへ」「めん派のあなたへ」と分け、それぞれに一品加える方法や「みそ汁に卵を落として植物油を小さじ一杯加える」といった具体的なヒントを提示しています。

缶詰を上手にアレンジしてエネルギーとたんぱく質をアップする方法には「なるほど」と納得させられます。また、普通の焼き魚も、「大根おろしにサラダ油やマヨネーズを混ぜる」ことで、あるいは「鮭などは焼くよりムニエルに」してエネルギーアップをはかる、といったヒントが満載です。
ダウンロードして是非活用を!!。

来年に向け改定作業が進行中の「日本人の食事摂取基準」では、高齢者のフレイル予防の観点から、たんぱく質の1日摂取目標量が引き上げられる予定だ。たんぱく源は多彩だが、筋力アップには必須アミノ酸の多い良質なたんぱく質が欠かせない、という話を。