こんなときこそ背筋を伸ばして深呼吸を!!

深呼吸

重症化リスクが高くても
新型コロナウイルスに負けない

肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの日本国内における感染拡大に歯止めがかからず、新たな感染者が連日報告されています。

この見えない敵、新型コロナウイルスは感染力が強く、「クラスター」と呼ばれる患者集団が、北海道、千葉県、東京都、神奈川県、大阪府、愛知県、和歌山県……と、全国に点在するかたちで発生し、感染者を増やしています。

感染力は強いのですが、重症度はさほど高くなく、感染者のおよそ80%は症状が比較的軽く、通常の風邪が長引く程度で治まっているようです。

ただ、高齢者や糖尿病、心不全、高血圧、さらには肺気腫に代表されるCOPD(慢性閉塞性肺疾患)など、慢性疾患の持病がある方、あるいは透析治療中、抗がん剤や免疫抑制剤を使用中の方は、油断できません。
感染・発症すると、入院を要するほど重症化するリスクが高いと警告されているからです。

これらの条件に当てはまる方は、感染を受けないように極力外出を控え、やむを得ず外出する際はマスクをするなどして、文字どおり息をひそめるようにして日々生活しているのではないでしょうか。

そんな方に今回は、
「意識して大きく深呼吸をしましょう」とおすすめしたいと思います。

感染を恐れるストレス状況下では
胸式呼吸による酸素不足状態に

すでに80を超える国と地域において感染者が確認されている新型コロナウイルスの感染拡大について、WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は、5日の記者会見で、
「世界的な大流行、いわゆるパンデミックの段階には達していない」
とし、世界各国が協調して取り組めば封じ込めは可能とする見解を表明しています。

一方で、テレビの情報番組などに登場して、
「すでに世界はパンデミックの状態にある」
などと、ことの深刻さをことさら強調して不安を煽る専門家(?)もいます。

そんな話のあれこれを繰り返し聞かされていると、
「自分も感染するのではないだろうか、もし感染したら年齢的に重症化リスクの高いグループに入るから、人工呼吸器が必要な状態になってしまうのでは……」
などと、悪い方へ悪い方へと考えてしまい、気が休まらない日々が続いている方も少なくないのではないかと、少々心配になってきます。

なぜなら、私たちは今のようなストレス状況におかれると、無意識のうちに呼吸が、胸腔の上の部分だけを使った浅い呼吸、いわゆる「胸式呼吸」になりがちだからです。

胸式呼吸では横隔膜の動きが少ない

胸式呼吸では、胸腔の下の部分、具体的には胸腔と腹腔を仕切っている横隔膜(おうかくまく)と呼ばれる薄い板のような筋肉がほとんど動きません。

横隔膜は、息を吸ったり吐いたりして肺を広げたり縮めたりすることにより、肺の中で酸素と二酸化炭素の交換をしていくうえで、最も重要な働きをしています。

そのため、この横隔膜が満足に動かない浅い胸式呼吸だけを続けていると、肺におけるガス交換が十分に行われず、慢性的な酸素不足に陥ってしまうのです。

横隔膜を動かす腹式呼吸で
身体全体に酸素を送り届ける

この酸素不足を解消してくれるのが、横隔膜を上下に動かす「腹式呼吸」です。

大きくゆっくり深く腹式呼吸をして、横隔膜を思いっきり下に押し下げて胸腔を広げます。
すると、浅い胸式呼吸ではあまり使われていない肺の下の方まで新鮮な空気がたっぷり入り込んでいきますから、肺でのガス交換も完璧に行われ、身体の隅々まで酸素が十分に行き渡ります。

結果として全身の血行がよくなりますから、不安やストレスから凝り固まりがちだった全身の筋肉の緊張がほぐれて、身体が軽くなり、気分も落ち着いてきます。

また、横隔膜が動けば腹腔内の内臓も刺激を受けますから、活発に機能するようになります。
内臓の動きが活発になれば新陳代謝が活性化し、おのずとウイルスと闘う力も高まることが期待できるというわけです。

個人差はありますが、私たちは平均して1分間に15回前後呼吸をしています。
1日に換算すると2万~3万回になるでしょうか。

この2万回を超える呼吸の、全部とは言わないまでもできるだけ多くの回数を腹式呼吸に変えることができれば、知らず知らず身体の機能はもちろんのことこころの働きもより活発になるはずです。

坐禅の大きく深い呼吸法が
理想的な腹式呼吸

腹式呼吸のイメージは、赤ちゃんが気持ちよさそうに熟睡しているときの、あの大きくゆったりとお腹を上下させながら繰り返される、リズム感のある深い呼吸です。

身近な方法としては、最近、日本国内以上にフランスやイギリスなどの西欧諸国で、ストレスの多い中間管理職クラスのビジネスマンを中心に静かなブームになっているという「坐禅」の呼吸法が、まさにここで言う腹式の深呼吸です。

実は私、もうかなり前のことになりますが、東京・青山の西麻布にある永平寺別院の長谷寺(ちょうこくじ)で毎週月曜日に開かれる「坐禅会」に、ほんの一時期でしたが、通い続けたことがあります(坐禅会は現在も続いてはいるのですが、今のこの時期に限り新型コロナウイルス感染予防のため一時的に休会となっているそうです)。

坐禅堂の静寂そのものの中に静かに坐り、僧侶の方から言われるままに、何も考えずに軽く目を閉じ、ゆっくり深く、リズム感をもって腹式呼吸を繰り返していると、血行が良くなるからでしょうか、自然に身体が温かくなってくるのを感じます。

同時に、呼吸が整ってくるのに伴い、こころも整えられるからでしょう、不思議と気持ちが落ち着いてくるのを実感できたことを覚えています。

コツを覚えてからは自宅で、現在も、毎日ではありませんが、気持ちが落ち着かないときや寝つけない夜などに、20~30分間ほどお香を焚いて坐禅を組むことを習慣にしています。

なお、坐禅を組んで深呼吸する習慣をつけようという方は、お尻の下に敷く座禅布団(座布) と、煙が少なく、燃焼時間が25分ほどに調整されている棒状のお線香として日本香堂 微煙線香【花風(かふう)三種入】を用意してみてはいかがでしょうか。

鼻から空気を吸い込んで
口からゆっくり吐き出す

腹式呼吸は、必ずしも坐禅を組む必要はなく、換気のいい部屋で椅子に腰かけても、立ったままでもできます。
背すじをピンと延ばした姿勢で、まずは鼻からゆっくり大きく息を吸い込みます。

このとき口からではなく鼻から吸い込むのがポイントです。
というのは、鼻から吸い込む空気には3つの効用があるからだと言われています。
①ゴミを取り除く、②温度調節をする、③湿度調節をする、の3つです。

また、息を吸い込むときに、丹田(たんでん)と呼ばれるお臍の下の部分に空気を貯めていくイメージでお腹を膨らませるのがコツです。

■息を吐き出す時に口をすぼめる
空気を目一杯吸い込んだら、お腹をへこましながら口からゆっくり息を吐き出します。
このとき軽く口をすぼめ、目の前にあるロウソクの明かりを静かに吹き消すようなイメージで、肺の中にある空気をゆっくり出し切るのがポイントです。

■吸うのが1、吐き出すのが2のバランスで
鼻から吸うのが1、口から吐き出すのが2のバランスでゆっくり繰り返します。
息を吐き出すときに口をすぼめると、それによって生じる口腔内の空気抵抗圧が気道内の圧を高め、狭くなっている気道を広げる効果があるようです。

これにより、肺の中に残りがちだった二酸化炭素をしっかり吐き出し、そのうえで酸素をたっぷり送り込んで、身体中に酸素が十分行き渡る効果が期待できるというわけです。

最初は、深く大きい腹式呼吸をゆっくり5回ほど繰り返します。
これを1日に3~4回行うことからスタートし、慣れてきたら徐々にその回数を増やしていくといいでしょう。

腹式呼吸を上手くできないとき

上手に腹式呼吸ができないという方もいるようです。
その場合は、腹式呼吸のエクササイズ専用に開発された 腹式呼吸エクサ ロングピロピロ を活用するのもいいでしょう。

腹式呼吸のトレーニング用マウスピースも各種市販されています。
しかし、このなかには肺にかかる負荷があなたの肺機能レベルには大きすぎて、かえって肺に負担がかかりすぎるといったリスクを伴うものもあります。

マウスピースタイプのトレーニング器具の購入に際しては、かかりつけ医に相談することをおすすめします。