「糖質カット炊飯器」で本当に痩せられるの?

ご飯

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コロナ禍の巣ごもり生活で
体重が増加気味では?

新型コロナウイルス感染症については、5月8日(2023年)から感染症法上の位置づけが「5類感染症」に引き下げられ、もろもろの感染対策がかなり緩和されています。とは言え、新型コロナウイルス感染症がなくなったわけではなく、食料品購入のための外出も極力減らして家にこもりがちの方が依然として多いのではないでしょうか。

こうなると、運動不足による足腰の筋力の衰えから始まるフレイルが心配になりますが、それ以上に気になってくるのが、体重の増加です。

体を動かすことが少なくなり、運動量が落ちていますから、そのぶんエネルギー消費量は減っているはずです。

それなのに、食べることはおおむねいつもどおり。というよりも、むしろ家にいる時間がながいだけに時間を持て余して、つい甘い物に手が伸びる機会が増え、エネルギー摂取量が増えている結果の体重増加です。

糖質カット炊飯器で炊いたご飯のダイエット効果は?

そこで、このところ話題にのぼることの多い「糖質カットの炊飯器」を活用して、エネルギー摂取を無理なく減らすことを思いついたのですが――。

糖質カットのご飯に変えることで本当に体重増加にブレーキがかけられるでしょうか。

主食の糖質を大幅にカットしてしまって、栄養的に問題はないのでしょうか。

糖質カット炊飯器は決して安い買い物ではありません。購入前に、気になるこの2点を調べてみました。

糖質カット炊飯器について国民生活センターは2023年3月15日、一部の製品について商品テストを実施した結果、広告表示の糖質カット率よりも実際のカット率は低いことが確認されたことを公表。この結果を消費者庁に報告して事業者への注意を要請するとともに、消費者に対しては、食べるご飯の量に注意するよう呼びかけています。
国民生活センターより上記報告を受けた消費者庁は2023年10月31日、表示されている糖質カット率に合理的な根拠を示せなかったとして、東京都内の炊飯器販売会社4社(「forty-four」「ソウイジャパン」「EPEIOS JAPAN」「HR貿易」)に対し、再発防止などを命じる措置命令を出したと発表しています。
さらに2024年2月8日には、「ニトリ」「リソウジャパン」「Areti」「AINX」の4社に対し、糖質カット率の表示に事実誤認があるとして、改善を求める措置命令を出しています。

糖質がカットされるぶんだけ
エネルギー摂取量を抑えられる

糖質カット炊飯器は、数あるメーカーからさまざまなタイプのものが売り出されています。

いずれの炊飯器も、炊飯時に糖質をカットするメカニズムは、基本的に同じようです。

各社が独自に開発した中蓋をセットしてお米を炊き上げます。

その際、この中蓋が、炊飯時の吹きこぼれをキャッチするようになっていて、お米から溶け出した糖質成分を捨てることができるという仕組みです。

この場合の糖質カット率は、15%、20%とさまざまで、なかにはカット率が30%を超え、45%とアピールしている炊飯器もあります。

具体的に言えば、たとえばこのところ人気が高いと聞く[山善] 炊飯器 マイコン式 糖質カット は、白米1合を炊飯した場合で、角砂糖2個分に当たる約7.7gの糖質が減らせるようです。

糖質の体内におけるエネルギー量は1g当り4kcalですから、1合のご飯で糖質約7.7g減になるということは、なんとエネルギー摂取を30.8kcal減らすということになります。

このエネルギー量は、たとえば体重40キログラムの方が普通の速度で10分程ウォーキングをして消費するエネルギー量に相当します。

炊くだけで糖質を抑えながらおいしいご飯が食べられる、しかもお腹を満たしてもエネルギーオーバーにならないから太る心配もまずないとなれば、やはり魅力です。

捨てられる吹きこぼれには
ブドウ糖が多く含まれる

ただ、気になるのは、炊飯時に中蓋がキャッチして捨ててしまうという吹きこぼれです。

この吹きこぼれを捨ててしまうことについて、管理栄養士の友人は、こう懸念します。

「お米を炊き上げるときのあの吹きこぼれは、離乳食を始めてすぐの赤ちゃんや術後の患者さん、それと回復期にある方の食事に欠かせない重湯(おもゆ)のこと。それをあっさり捨ててしまうというのはちょっと気になりますね」

お米を炊き上げた時に出る吹きこぼれ、つまり重湯には、糖質のなかでもすぐに使えるエネルギー源として欠かせないブドウ糖が多く含まれています。

吹きこぼれを捨ててしまうということは、このブドウ糖を捨ててしまうということです。

糖質不足によりだるさを感じたり疲れやすくもなる

私たちの体は、ブドウ糖の補給が制限されて血液中のブドウ糖を使い切ってしまうような事態に陥ると、肝臓などに予備として蓄えられているグリコーゲンが分解されてブドウ糖として働く仕組みになっています。

ところが、肝臓に予備として蓄えられているグリコーゲンの量は限られています。

そのため、糖質の補給が十分でないと、体全体がエネルギー不足の状態に陥り、だるさを感じたり疲れやすくなったりするのです。

脳がブドウ糖不足に陥ると
脳の働きが低下する

とりわけ気になるのは、ブドウ糖を最も重要なエネルギー源としている脳や神経系が、ブドウ糖不足に陥るリスクがあることです。

脳に蓄えておくことのできるブドウ糖はごく少量に限られます。

そのため、主食からとるべき糖質をカットしていると、脳がエネルギー不足に陥ってしまうのです。

つまり、脳や神経系に十分なブドウ糖が行き届かなくなると、脳も神経系もフル稼働しにくくなります。

結果として、判断力が鈍る、集中力が落ちる、注意力が散漫になる、あるいは眠気が襲ってくる、といった状態に陥りやすくなります。

こうした影響は、年を重ねるにつれてついうっかりやもの忘れが増え、認知症が気になり始めているような方には、特に顕著に現れます。

認知症は、残念ながら現時点でこれといった特効薬はない。しかし、早い時期にそのサインに気づき適切な対応をとれば、病気の進行を遅らせることができる場合もある。その早期発見のきっかけに、多くの自治体が導入している「認知症簡易チェックサイト」を紹介する。

主食でカットした糖質は主菜や副菜で補う

そうならないためには、主食で糖質をカットしたら、そのカットしたぶんを主菜や副菜、つまりおかずをしっかり摂ってたんぱく質や脂質を補うようにし、肝臓に備蓄してあるグリコーゲンを糖質の補給に存分に使えるようにすることも大事になってくるとのこと。

「いずれにしても、特定の栄養素だけを制限すると、栄養バランスが崩れやすくなりますから、いつも以上に栄養バランスということを考えながら食事をすることをおすすめしたい」
と、管理栄養士さんからのアドバイスです。

ちなみに、栄養バランスを考えた食事を簡単に摂るには「まごたち食」がおすすめです。

まごたち食についてはこちらで詳しく解説しています。

「ピンピンコロリ」を望んでいても、歳を重ねるにつれて食が細くなり低栄養に陥りがち。低栄養が続けば活動は鈍くなり、「閉じこもり」や「寝たきり」になりがちです。その予防策として、おかずの食べ方の指針となる「まごたち食」を紹介します。

糖質カットに変えてレジスタントスターチ効果を

ところで、同じご飯でも、炊きたての熱々ご飯と、少し冷ましたご飯とでは、食べる量は同じでも消化・吸収率が違うため糖質カット効果を期待できるということをご存知でしょうか。

今注目の第三の食物繊維と呼ばれるレジスタントスターチ効果です。詳しくはこちらを。
→ 太りにくい主食「レジスタントスターチ」って?

なお、炊飯器に限らず「糖質カット」「糖質制限」「糖質オフ」の商品が増えていますが、これらの食品や製品を利用する際に心しておきたいおきたいことをこちらにまとめてありますので、一度読んでみてください。
→ 「糖質オフ」「糖質カット」で気をつけたいこと

また、同じ糖質の仲間ですが、オリゴ糖はカットしないでむしろ積極的に活用した方がいいという話はこちらで。

「糖質オフ」や「糖質カット」の加工食品や炊飯器などが人気だが、一方で同じ糖質なのに「オリゴ糖」には「腸にいい」「健康にいい」として注目を集めている。オリゴ糖とはカットの対象とされる砂糖などの糖質と何が違うのか、オリゴ糖の何が健康に資するのかを調べてみた。