認知症が心配ならチェックサイトで確認を

認知症

自治体が開設している
「認知症簡易チェックサイト」

パソコンや携帯電話、スマートフォンで自分や家族の認知症リスクを簡単に調べられる「認知症簡易チェックサイト」が、自治体レベルで開設されているのをご存知でしょうか。

残念ながら、現時点で認知症にはこれといった特効薬がありません。

しかし、できるだけ早い時期にそのサインに気づき、相応の対応をとることができれば、病気の進行を遅らせたり、予防したりすることができる場合もあります。

自分自身で、あるいは家族など身近な方が「何か最近おかしいな、認知症ではないだろうか」と感じるようなことがあったら、早期発見のきっかけとしてこのチェックサイトにアクセスしてみてはいかがでしょうか。

「認知症簡易チェックサイト」は自治体のサイトですが、誰でも無料(通信料は自己負担)で利用することができます。

また、チェックサイトを利用するに際し、個人情報、つまり氏名や年齢、最終学歴、病歴などを入力する必要はなく、「近所の人に知られるのでは……」といった心配もいっさいなく、気軽に活用することができます。

「もしかして、認知症?」
不安になったらチェックを

認知症とは、もともと問題なく機能していた脳の知的機能、すなわち物事を記憶したり、学習したり、自分の置かれている状況を理解したり、判断したりする能力が低下することによって、「できないこと」が徐々に多くなった状態をいいます。

ただ、「メガネをどこに置いたか忘れてしまった」とか、「度忘れして先週会った人の名前が思い出せない」といった、いわゆる一般にいう「もの忘れ」は、生理的な脳の老化によるもので、加齢とともに多くの人に認められるものです。

こうした老化によるもの忘れと認知症によるもの忘れは全く違います。

とはいえ、たびたびこうしたもの忘れを経験すると、否応なく自らの老いを自覚することにつながりますから、なんとなく物悲しい気持ちになったり、「もしかして、認知症?」と強い不安に陥ったりしがちです。

こんなことがあれば、まずネットでチェックを

そこで、以下のようなことがあったら、まず「認知症簡易チェックサイト」でチェックしてみることをおすすめします。

  • 同じ話を無意識のうちに繰り返す
  • 知っている人の名前が思い出せない
  • 物のしまい場所を忘れる
  • 今、しようとしていることを忘れる

自治体のチェックサイトなら
相談先を活用できる

「認知症簡易チェックサイト」には、ネット検索すればすぐにアクセスできますが、チェックした結果によっては、かえって不安が募るということもあるでしょう。

そんなときは直ぐ専門機関等に相談できるように、チェック結果が表示される画面には、相談先として利用できる地域包括支援センターや家族支援のサービス案内、医療機関などが各自治体に応じて掲載されるようになっています。

この相談先を活用するためには、「認知症簡易チェックサイト ○○市(町)」のように、現在お住まいの自治体名を添えて検索してみてください。

自治体名で検索しても見つからない場合は、お住まいの都道府県名を添えてチェックしてみてください。

身近な人向けと本人向け
2種類の認知症簡易チェック

実際にアクセスすればすぐにわかりますが、このチェックサイトには、以下に示す2種類の簡易チェックが用意されています。

  1. 家族など身近な人の状態をチェックできる「これって認知症?」
  2. 自分の状態をチェックできる「わたしも認知症?」

このうち「1」では、「切ったばかりなのに、電話の相手を忘れる」「新しいことが覚えられない」「趣味や好きなテレビ番組に興味を示さなくなった」など、20項目の設問で判定するようになっています。

判定結果が「レベル2」あるいは「レベル3」であれば、「以下までお気軽にご相談ください」と相談先や医療機関の受診を促されます。

一方で、「2」の「わたしも認知症?」は、「漢字を忘れる」「外出がおっくうだ」といった10問に該当するかどうかを自分で答えるようになっています。

合計点が、0~20点中8点以内であれば「正常」で、「もの忘れも老化現象の範囲内、疲労やストレスによる場合もあります」と評価されます。

チェック結果に応じて
医学的な認知症診断を

このサイトのチェック内容や評価基準、アドバイスはいずれも精神科医(東海大学医学部・市村篤医師)の監修のもとに作成されたものです。

しかし、同サイトに「医学的な診断基準ではないので暮らしの目安に」と明記してあるように、実際の認知症診断には、さらに精密な検査が必要となります。

チェック結果のいかんにかかわらず認知症が心配という方は、チェック結果画面に掲載されている相談先、あるいはかかりつけ医に、早めに相談することをおすすめします。

なお、自治体によっては別の認知症チェックシートを導入しているケースもあることをお断りしておきます。

「せん妄」が気になる方はこちらを

また、高齢の方にしばしばみられる「せん妄(せんもう)」は、認知症症状と捉えられがちですが、いわゆる「寝ぼけ」の強い状態です。

認知症とは必ずしも同じではないこと、その見分け方などをこちらで説明しています。是非一読を!!

高齢者にしばしばみられる「せん妄」は「認知症」の症状と思われがちだ。しかしせん妄は、「寝ぼけ」のような一種の意識障害であり、認知機能の低下による認知症とは症状の現れ方が明らかに違う。対応を誤らないためには、両者の違いを知っておくことが大切だ。

血液検査で認知症のリスクチェックを

なお、認知症の大半を占めるのはアルツハイマー型認知症ですが、その一歩手前の軽度認知障害のリスクを血液検査で判定できるようになっています。詳しくはこちらを。

認知症は早い段階で発見して先手を打てば予防も期待できることがわかっている。幸い、簡単な血液検査で、アルツハイマー型認知症の前の段階である軽度認知障害のリスクを判定する検査法が開発され、実用化されている。その紹介と、認知症予防策を紹介する。