糖質をカットしてもオリゴ糖はカットしないで

シロップ

「糖質カット」ブームのなか、
「オリゴ糖」が注目されるのは?

炊くだけで低糖質のご飯が炊ける「糖質カット炊飯器」がなかなかの人気と聞きます。

炊飯器だけでなく、加工食品やスポーツドリンクなどの飲料も、「糖質オフ」や「糖質カット」、あるいは「糖質ゼロ」と銘打ったものが続々と売り出されています。

糖質の摂りすぎは「肥満のもと」だとか「内臓脂肪を増やす」などとしてとかく敬遠されがちです。

しかしその一方、同じ糖質でも「オリゴ糖」については、「腸にいい」「健康にいい」として広く注目されています。

実際、特定保健用食品(いわゆる「トクホ」)として認められていますし、お菓子などのスウィーツ類にも使われていて、日常生活の中で目にする機会も増えています。

そもそもこのオリゴ糖とはどのような糖で、その何が健康にいいというのでしょうか。

今回はその辺のことに特にこだわって書いてみたいと思います。

オリゴ糖には
消化性と難消化性がある

まず名前の由来ですが、オリゴ糖の「オリゴ」とは、ギリシャ語で「少ない」という意味です。

オリゴ糖は、糖質の最小単位である「単糖(ブドウ糖や果糖など)」がいくつかつながった糖類で、その数は2~10個、一般的には3個以上といわれています。

この数は、10個以上の単糖がつながった「多糖類(でんぷんなど)」に比べると明らかに「少ない」ことから、オリゴ糖という名前になったとされ、「小糖類」とも呼ばれています。

このオリゴ糖には、「消化性」と「難消化性」の2種類があります。

消化性のオリゴ糖は、砂糖の成分である「ショ糖」や果物に含まれる「果糖」、牛乳などの乳製品に含まれる「乳糖」と同じように、体内では唾液や胃液などの消化酵素によって分解されて体のエネルギー源になります。

エネルギー源になるといっても、砂糖のカロリーが1グラム当たり4Kcalであるのに対し、オリゴ糖はおおむねその半分、1g当たり2Kcal程度ですから、カロリーオーバーによって太る心配はまずないと考えていいでしょう。

難消化性のオリゴ糖は
おなかの調子を整える

一方、難消化性のオリゴ糖は、唾液や胃液などの消化酵素ではほとんど消化されず、そのまま大腸に直接届きます。

消化されずに大腸に届いたオリゴ糖は、腸内細菌によって分解され、そこで善玉菌であるビフィズス菌の「エサ」となってビフィズス菌を増やし、腸内環境を改善して便通の改善や免疫力を高めるなど、健康にいい働きをしてくれるのです。

一般に、整腸効果、つまり「お腹の調子を整える」として人気のオリゴ糖は、この難消化性のオリゴ糖を指しています。

また、難消化性のオリゴ糖には、消化酵素で分解されないために胃や小腸で糖質として吸収されず、食後血糖値の上昇をゆるやかにする効果も期待できます。

この点から、血糖値を気にしている方にとっては注目すべき糖質というべきでしょう。

淡い甘味が特徴の天然成分
フラクトオリゴ糖

オリゴ糖には、単糖の組み合わせによりさまざまな種類があり、それぞれ特徴があります。

そのなかでオリゴ糖シロップなどとしてよく使われている難消化性オリゴ糖としては、「フラクトオリゴ糖」「イソマルトオリゴ糖」「ガラクトオリゴ糖」「キシロオリゴ糖」の4種類が代表的なものです。

このうちフラクトオリゴ糖は、アスパラガスや玉ねぎ、ゴボウ、バナナ、大麦、小麦といった野菜や果物に多く含まれる天然成分です。

淡い甘味(砂糖の30~60%)が特徴で、フラクトオリゴ糖を100g当り40g含む特定保健用食品「トクホ 日本オリゴのフラクトオリゴ糖 」の愛用者も多いと聞きます。

通称「トクホ」として知られる特定保健用食品は、国の厳しい認定基準を満たし、審査をパスしていますから、砂糖に置き換えてオリゴ糖を使ってみたいという初心者には、安心して試していただけるのではないでしょうか。

参考までに、「日本オリゴのフラクトオリゴ糖」のパッケージには、健康への効能として「本品はフラクトオリゴ糖を原料とし、おなかの環境を良好に保つように工夫された食品です」と表示されています。

熱や酸に強く料理に使える
イソマルトオリゴ糖

また、ほかの糖類に比べ熱や酸に強いのが特徴のイソマルトオリゴ糖は、もともと麹菌(こうじきん)によって産生され、味噌やしょう油、みりんなどの発酵食品に多く含まれています。

まろやかで旨味(うまみ)のある甘さ(砂糖の約20~50%)があり、加熱に強く煮くずれを防ぐ効果もあることから、市販の冷凍食品などによく使われています。

市販されているイソマルトオリゴ糖のシロップ「[トクホ] 昭和 オリゴタイム 」も、特定保健用食品の認可を得ており、これはトウモロコシから作ったイソマルトオリゴ糖を主成分としたものです。

パッケージにはその効能として、「ビフィズス菌を増やして腸内環境を良好に保つので、お腹の調子に気をつけている方に適しています」と表示されています。

コーヒーや紅茶、ココア、あるいはヨーグルトにも砂糖代りに、また加熱に強い特徴を生かして家庭での調理にも使われているようです。

難消化性オリゴ糖を使いすぎると
お腹が張ったり、時に下痢も

オリゴ糖は砂糖に比べて甘さが、ほぼ半分以下と控えめです。そのため、砂糖の代りに使っていると、つい使いすぎてしまいがちです。

しかし、難消化性のオリゴ糖は、その名のとおり消化が悪いのが特徴ですから、使いすぎると腸の活動が活発になりすぎてガスがたまり、お腹が張ったり、おならが出たり、時には下痢を起こすこともあります。

難消化性オリゴ糖の摂取量の目安は、1日小さじ4杯まで(約12g)とされています。

ただし、オリゴ糖の種類によって違ってきますから、必ず商品パッケージに表記してある使用量を厳守することをおすすめします。

なお、ウエイトコントロールや内臓脂肪対策などで「糖質オフ」や「糖質カット」の加工食品や炊飯器を常用している方に知っていただきたいことについてはこちらにまとめてあります。是非一度読んでみてください。

「糖質オフ」「糖質カット」「糖質ゼロ」などの商品が増え続けている。糖質制限や炭水化物制限ダイエットに取り組む人も増えている。しかし、炭水化物にはダイエットに不可欠な食物繊維が含まれているし、糖質のなかのブドウ糖は脳の働きに必須だ。この点をどうクリアするか。