免疫力を下げないために
よい睡眠の確保を
このところ新型コロナの新規感染者が全国いたる所で増加しており、「感染第8波」につながるリスクが高いとして、あるいは「すでに第8波に入りかけている」と、ワクチン接種の必要性がアピールされています。
そんななか、感染への不安や長引く自粛生活によるコロナストレスにより、よく眠れない夜が続いている方も少なくないと思います。
毎年9月3日は、秋の「睡眠の日」。その前後15日間、8月27日~9月10日は秋の睡眠健康週間となります。
例年は、「より良い眠りのために」等々、睡眠に関するさまざまなイベントが各地で開催されるのですが、今年はコロナ禍でイベントは自粛されました。
感染を受けないためには免疫力を高めておかないといけないと言っても、睡眠不足の状態が続いていたら当然免疫力も下がってしまう……。
こんな悩みを抱えている方に、睡眠健康推進機構が公開している、「外出自粛中によい睡眠を確保するための5つのヒント」を紹介したいと思います。
コロナ対策で外出自粛中に
よい睡眠を確保するヒント
「外出自粛中によい睡眠を確保するための5つのヒント」は、江戸川大学睡眠研究所(福田一彦所長)が作成したもので、睡眠健康推進機構のWebサイトで紹介されています*¹。
外出自粛などの、政府や自治体が要請する感染対策により、幼い子どもから高齢者に至るまで、多くの方が普段より長い時間を自宅で過ごすようになっています。
当然ながら、これまで続けてきた生活習慣や生活リズムは大きく変化しています。
日中の活動量が大幅に低下すると同時に、感染を受けることへの不安やストレスは日増しに高まり、睡眠も乱れやすくなっています。
このような状況のなかで、「よい睡眠を確保し、健康的に過ごすためのヒント」として、
以下の5点が挙げられているのです。
- 毎日、普段どおりの時間に起きて日光を取り入れましょう
- 長い時間の昼寝をしないようにしましょう
- 布団は夜に眠る時のみ使用しましょう
- お昼と夜のメリハリをつけましょう
- 1日・2日眠れないことがあっても気にしない
(引用元:外出自粛中によい睡眠を確保するための5つのヒント*¹)
いつもと同じ時間に起きて
朝の自然光を浴びる
外出自粛により、いつもの出勤や通学がなくなり、時間に縛られない生活に変わると、どうしても起床時間が遅れがちになります。
起床時間が遅くなり、朝の自然光を浴びないでいると、私たちのからだにセットされている「体内時計」は目覚めてくれません。
体内時計は、太陽が作り出す昼夜のサイクルに合わせながら、体内のさまざまな機能が活動と休息のリズム、いわゆるサーカディアンリズム(生体リズム)を刻む働きをしています。
体内時計が目覚めてリセットされないことには、脳やからだに「朝になったから目を覚ますように」と働きかけてくれません。
そのため、いつ起きたのかわからないような状態で1日を過ごすことになり、夜になって床に就いてもなかなか寝つけない、といったことになりがちです。
体内時計によるサーカディアンリズムを乱さないコツは、まずはいつもどおりの時間に起きて、朝の自然光をしっかり浴びることです。
昼寝をするなら
布団に入らず20分以内に
自粛生活では、外出するのは食材や日用品を購入するための買い物程度で、残りの時間は家の中で本を読んだり、趣味に興じたり、テレビを見たり、といった生活になりがちです。
自ずと日中、眠気が襲ってきます。
その際は、終始ウトウトして過ごすよりも、思い切って昼寝をしたほうが、生活にメリハリをつけるという点ではいいようです。
ただ、長々と昼寝をしていると、体内時計がその睡眠を夜間の睡眠として認識してしまい、結果として、夜になって床に就いてもなかなか寝つけなくなります。
あるいは、夜中に目が覚めてそのまま寝つけずに、朝すっきり起きられない、熟睡感が得られない、といったことになりがちです。
体内時計によるサーカディアンリズムを狂わせないためには、昼寝をするとしても、布団に入らずにソファなどで、20分以内にしておくのがいいようです。
昼夜のメリハリをつけて
質のよい睡眠の確保を
睡眠については「何時間眠るか」ということだけを重視する傾向があるように思います。
しかし、睡眠時間以上に「質のよい眠り」、つまり熟睡できているかどうかが大事なのだという話をよく耳にします。
確かに、人はなぜ眠るのかと言えば、日中の活動により消耗した脳とからだをメンテナンスしてもとの状態に回復させ、翌日の活動に備えるためです。
このメンテナンスに要する時間は、成人では平均して7~8時間と考えられていますが、これにはかなりの個人差があります。
むしろ脳とからだのメンテナンスに欠かせないのは、質のよい眠り、つまり「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い眠りと「レム睡眠」と呼ばれる浅い眠りをバランスよく繰り返す眠りです。
朝目覚めたときの爽快感から眠りの質を判断
心地よい熟睡感とともに、心身ともに快適な状態で朝を迎えることができるのは、このような質のよい眠りができたときなのです。
したがって、「このところ毎日数時間しか眠れていない」といったことはあまり気にしすぎないほうがいいでしょう。
むしろ、朝目覚めたときの爽快感や日中の眠気の有無から判断し、「どうも眠りが浅いようだ」となれば、自らの生活習慣を見直し、日中軽い運動をするなどしてみることをおすすめします。
なお、Apple Watch のような睡眠モニター付きスマートウォッチなどを活用して、自分の睡眠パターンや眠りの深さ、眠りの質をモニタリングしてみるのも一法です。
引用・参考資料*¹:外出自粛中によい睡眠を確保するための5つのヒント