適度な水分をこまめにとり続ける習慣を

水を飲む

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水分補給に
無頓着ではありませんか

いくつになっても健康で自立した生活を続けていくには、「栄養バランスのよい食事」と同時に「適度な水分」の補給が欠かせないことはご承知と思います。ところが、日々の生活を改めて見直してみると、食事の栄養バランスに気を使っている割には水分をとることには案外無頓着な方が、とくに高齢者に多いようです。

健康であれば、私たちの体は適度の「ぬくもり」と「うるおい」を帯びています。それは、体に必要な水分が体液(血液、リンパ液、消化液、唾液、尿など)として蓄えられ、体の中を循環しながら、酸素や栄養素を全身に送り届けると同時に、不要となった老廃物を体の外に排泄するなど、「代謝」と呼ばれる営みを絶えず繰り返しているからです。

体の中に適度な水分がないと、この代謝が滞ってしまい、結果として、たとえば体外に排泄すべき老廃物が体内に溜まり、便秘などのトラブルを招くことになります。

さらにこの状態が進んで老廃物が体内にたまり続けると、最悪の場合、意識状態にまでマイナスの影響を及ぼすことにもなりかねません。

また、体液は体温を調節するという重要な役割も担っていますから、水分不足のために体温調節に狂いが生じ、熱中症と呼ばれるような状態に陥るリスクもあるのです。

1日コップ5杯の水分で
体液の出納バランスを保つ

体の中の水分量にはかなり個人差がありますが、一般的な体格をしている成人の場合でいえば、体重の60~70%、活動量の低下とともに筋肉量などが減ってくる高齢者では、少なく見積もっても体重の50%程度を占めているのが健康上理想と考えられています。

これだけの水分量を常時保持しておくには、代謝の過程で不感蒸泄(発汗以外の、無自覚のまま皮膚や呼気から失われる水分)や汗として、また尿や便として体外へ出ていく水分量を、食べ物に含まれる水分や飲み物で補っていく必要があります。その量は、1日でおよそ2000~2500mlになると考えられています。

食事としてとる食材の中には、きゅうりやわかめ類のように90%ほどが水分のものもあれば、食パンやチーズ類、豆類のように水分含有量が30%前後と少ないものもあります。そのため食事の内容にもよりますが、一般的に、1日3回の食事からとっている水分量は1000mlと概算されています。

ということは、体液の出納(出し入れ)バランスを維持して不感蒸泄量と最低限必要な尿量を確保するには、残りの1000~1500mlを飲み物で補っていく必要があるということです。平均的な容量(約200ml)の湯飲みやコップでいえば、1日に少なくとも5杯ほどの水分をとったほうがいいということになります。

「飲水は少量ずつこまめに」
野菜や果物の水分も

水分補給と言うと、ついミネラルウォーターのような水を飲むことと考えがちです。しかし飲み物であれば、牛乳でも日本茶やコーヒーの類でも、また水分の多い果物類やジュース、また最近人気のスムージーでもOKです(ただし、降圧薬などを飲んでいる方はジュース類は避けた方が安心です)。

薬と食べ物や飲み物には相性の問題がある。特に高齢者の多くが服用している降圧薬のカルシウム拮抗薬には、グレープフルーツ(ジュース)と同時に摂ると、血圧が下がりすぎるタイプのものがある。処方を受ける際には、その点を確認しておくことをお忘れなく。

高齢になるとどうしても食が細くなります。また、食事が単調になり同じ物を食べ続けたり、食事の回数が減るなどして、低栄養からフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態で、要介護状態の前段階とされている)に陥りがちです。

そこで、コーヒーや紅茶に大人のための粉ミルク のような良質のたんぱく質を加えるとか、お湯を加えるだけで飲めるインスタントのスープ類を間食にとるようにすれば、水分と同時に、不足しがちなたんぱく質などの栄養分も補うことができて一挙両得です。

エンシュア・リキッドのような栄養補助食品を活用するのも一法です(エンシュア・リキッドについて詳しく知りたい方はこちらを参考にしてみてください)。

がん患者や誤嚥性肺炎のリスクにより口から食べることを「やめたほうがいい」と医師から言われる高齢者の間で、「エンシュア・リキッド」という栄養剤が人気と聞く。医薬品だから医師の処方が必要だが、胃瘻などの人工栄養を選択する前に検討してみてはどうか。

スープ類では塩分が気になる方もいるでしょう。その場合は水分を少し多めにとるようにすれば、腎臓に特に問題がないかぎり、余分な塩分は尿中に排泄されますから、そう心配する必要もないでしょう。

あるいは、余分な塩分を体から排出してくれる効果が期待できるカリウムを多く含む野菜や果物(ほうれん草、アボカド、レタスなど)をとる手もあります。

高血圧対策としての減塩療法において最近注目の指標に「ナトカリ比」がある。塩分(ナトリウム)と野菜や果物に多く含まれるカリウムはバランスが大事で、ナトリウムを減らす一方でカリウムはたっぷり摂って、ナトカリ比を下げることを目標に減塩療法を、という話をまとめた。

なお、誤嚥するリスクがありお茶などもとろみを付けないと飲めないためにどうしても水分不足になりがちな方は、こちらをご覧ください。

誤嚥リスクのある方の食事にと、ペースト食などとろみ付き食事の商品化が進んでいる。一方で水分補給に必須のお茶の類は、その都度とろみを付ける手間が必要だったが、その手間を省ける商品が市販されている。炭酸飲料やエンシュアなどのとろみの付け方も紹介する。

夜中のトイレが苦痛で
水分を控えている方は

それと、水分は一度にたくさんの量をがぶ飲みしても吸収が追い付きませんから、少量ずつこまめに摂取することが肝腎です。

ちなみに私は、起床時、10時ごろと午後3時のおやつタイム、夕方、入浴後の就寝前、の1日最低5回は、それぞれコップ1杯程度の飲み物を口にするように決めています。この他にも食後に日本茶などを飲みますから、必要量は過不足なくとれているはずです。

高齢の方にこの話をすると、「夜中トイレに起きてしまうから水分はできるだけ控えている」という方が必ずいらっしゃいます。しかし特に夜間に水分が不足すると、血液が濃くなって血管が詰まりやすくなるなどの弊害が起こりやすくなります。

どうしても夜中にトイレに起きるのが気になる方は、就寝前2時間半以降は口を潤す程度の水分に控えるとともに、就寝直前に必ずトイレに行って尿を出し切り、膀胱を空にしておくことをお勧めします。

飲み忘れがちな方はリマインダーの活用を

なお、仕事や趣味に夢中になって水分をとり忘れることがよくあるという方もいるでしょう。

そんな方は、水分補給の時間をあらかじめ設定しておくと自動でその時間になったことを通知してくれるリマインダー機能付きの「スマートウォッチ 」を活用して飲み忘れを防ぎ、こまめに水分をとる習慣をつけてはいかがでしょうか。

あるいはスマホを使い慣れている方は、定期的な水分補給のタイミングを通知してくれる「水分補給管理アプリ」を活用するのもいいと思います。

このアプリには多種多様なものがあります。無料のアプリもありますから、お持ちのスマホに合ったものを一度試してみてはいかがでしょうか。