夜間のトイレ回数とふくらはぎに思わぬ関係が

夜中

夜間のトイレ回数が増えて
悩んでいませんか

夜眠りについてから朝までぐっすり眠りたいのに、夜中に決まってトイレに起きてしまう。

それも1回だけでなく、2回、3回と頻繁にトイレに立つため、ついつい眠りが浅くなり、熟睡感が得られないまま朝まで疲労感を持ち越してしまう――。

こんな悩みを抱える方が、男女ともに、年齢が高くなるにつれ増えていると聞きます。

このような状態を、日本泌尿器科学会は「夜間頻尿(やかんひんにょう)」と呼んでいます。

夜間頻尿の原因は、人によって実にさまざまです。

持病で常用している薬が原因のこともあれば、就寝直前の水分の摂り過ぎやアルコールの飲み過ぎが影響することもあります。

膀胱炎や前立腺炎、あるいは前立腺肥大症などが原因だったり、過活動膀胱(かかつどうぼうこう)といって、膀胱が敏感になり十分量の尿がたまらないうちに尿意を催してトイレに起きてしまうこともあります。

さらに、夜間に何回もトイレに起きてしまう原因の一つに、「夜間多尿」と呼ばれる状態があり、そこに下半身、とりわけ「ふくらはぎ」が大きく関係している、という話を今日は書いてみたいと思います。

寝酒と夜間のトイレ:アルコールには利尿作用がある。加えて、腎臓から排泄される水分量をコントロールしている抗利尿ホルモンの働きを抑える作用もあるため、寝る前の飲酒、いわゆる寝酒により、夜間睡眠中に何度もトイレに起きることになってしまう。

「ナイトキャップ」とも呼ばれる「寝酒」は寝つきをよくしてくれるが、脳の疲労回復に欠かせないノンレムの深い眠りを浅くし、アルコールの利尿作用によりトイレのために中途覚醒を余儀なくされる。加えて、アルコール依存やアルコール性肝臓障害のリスクも。

ふくらはぎにたまる水分が
夜間のトイレの原因に

2020年4月、10年ぶりに改訂された「夜間頻尿ガイドライン」(日本排尿機能学会&日本泌尿器科学会編)が発表されています。

このなかで、高血圧や循環器疾患、前立腺肥大症などの疾病が直接関係している場合を除く夜間頻尿について、副作用が少ない治療法の第一選択として推奨されているのが、従来どおり行動療法としての生活指導です。

この生活指導では、水分摂取や減塩などに関する指導、禁煙等があげられています。

加えて、両下肢、特にふくらはぎの部分のむくみ(浮腫)をとる「弾性ストッキングの着用」と「夕方の脚の挙上」「下肢の筋肉運動」が記されています。

夜間頻尿の治療の基本は、睡眠中の尿量を減らすことです。

それには、夜間の睡眠中に、膀胱に尿がたまらないように、睡眠前の飲水量を調整する必要があります。そのために行われるのが水分摂取に関する指導です。

医師からこの指導を受ける際に参考になるのが「排尿日誌」です。

毎日の排尿時間とそのときの尿量、お茶などの水分摂取時間と摂取量を、1日を通して、時間を追って記録しておき、受診する際にそのメモを持参して医師に提示すると、より的確な診療に大変役立つようです。

排尿日誌のつけ方は、こちらで紹介しています。参考にしていただけたら嬉しいです。

トイレが近く、1日の排尿回数が8回以上の「頻尿」については、生命の危機に直結する心配がないこともあり受診につながりにくい。だが、なかには深刻な事態を招く頻尿もある。まずは「排尿日誌」をつけてみてはどうだろうか。

就寝時までに尿を出し切る

それとは別に、睡眠中の尿量を増やさないことも大切です。

その方法として、日中に下半身、とくにふくらはぎにたまっている余分な水分、いわゆる「むくみ」と考えていいようですが、これを床に就くまでの間に、尿として体外に出し切っておく必要があります。

その対策としては、尿量を増やして、体内の余分な水分の排出を促す目的で「利尿薬(りにょうやく)」が処方されることもあります。

しかし、副作用の心配がないうえに自分でできるのが、「弾性ストッキングの着用」や足元を少し高くして横になる「脚の挙上」、さらには「下肢の筋肉運動」というわけです。

ふくらはぎ中心に
脚のむくみを改善する

私たちの体は、体内の水分、いわゆる体液を常に一定に保つように、食事や飲み物として摂取した水分を汗や尿などに変えて体外に排泄するという仕組みを備えています。

ところが加齢とともに心臓のポンプ機能に代表される血液循環の機能が低下してくると、細胞外の体液の流れがとどこおりがちになります。

全身の血液は重力の関係で、約7割が下半身に集中しています。

そのため立ち仕事など、長時間立った姿勢でいることの多い日中は、下半身、主にふくらはぎの部分に血行がとどこおり、水分がたまりにたまってしまいます。

いわゆる「むくみ」の発生です。

ところが夜になり、床に就いて体を横にすると重力の影響が少なくなりますから、ふくらはぎを中心に下半身にたまっていた水分は上半身に移動を始めます。

具体的には、静脈から心臓に戻る血液量が増えるわけですが、その流れを受けて腎臓で尿がつくられ、その尿が膀胱にたまり、睡眠中にトイレに行きたくなるというわけです。

そこで、ふくらはぎを中心とする脚のむくみを床に就く前に改善して、夜間多尿による頻尿を防ごうというわけです。

弾性ストッキングの着用が
夜間のトイレ回数を減らす

その改善策として推奨されているのが、ふくらはぎの筋肉のポンプ作用を手助けして下肢静脈の血流を促す効果が期待できる弾性ストッキング(加圧、あるいは着圧ストッキングともいう)、あるいは足先の出るふくらはぎサポーターの着用です。

弾性ストッキングには、太ももまで、さらにはお腹まで包み込むようなものもありますが、膝下までのハイソックスタイプで、締め付けすぎて血栓を作らないように作られている弾性ストッキング メディカルソックス などが安心して使えます。

サイズは「SS」から」「LL」までの5段階が用意されていて、足首の太さに合わせて、あるいは靴を選ぶときの要領で足のサイズに合わせて選択できるようになっています。

弾性ストッキング、あるいはふくらはぎサポーターの着用は、日中の夕方、寝る2~3時間前までとします。

ふくらはぎマッサージを

ふくらはぎサポーターを外したら、ふくらはぎを足首から上に揉み上げるように軽くマッサージしておけば血流がよくなります。

ただし、弾性ストッキングの着用もマッサージも心臓血管系の疾患や糖尿病などの持病がある方は、かかりつけ医に相談してからにしてください。

足先を上げて30分間横になる

脚の挙上は、折りたたんだ座布団や適度な厚さのクッションなどを活用して足先を10~15㎝程度上げた姿勢で30分間ほど横になります。

時間帯は、日中の活動を終えてから寝る2時間ほど前までの時間帯がよさそうです。

日中の活動で疲れていると、ついウトウトしがちでしょうが、脚を挙上したままの姿勢で寝込んでしまうと、夜の睡眠に少なからず影響します。

そのうえ、心臓に負担がかかるリスクもあなどれませんから、くれぐれも寝込まないようにご用心を。

「つい寝込んでしまう」という方は、タイマーを30分にセットしておくといいでしょう。

晴れた日は家の周りをウォーキング

また下肢の筋肉運動としては、晴れの日は近所をウォーキングしてもいいでしょうし、室内なら足踏み運動やかかと上げ運動をするのも悪くありません。

このウォーキングについては、かかとを着地したときの脳への衝撃が、脳機能を活性化させて脳機能を高める効果を期待できることが実験で確認されています。

夜間の頻尿対策と同時に脳の活性化による認知症予防の効果も期待できるのです。

晴れた日は、是非ウォーキングを習慣に!!

有酸素運動の代表格であるウォーキングやジョギングに意外な効果を期待できることが実験で確認されている。着地したときにかかとにかかる衝撃が脳に伝わり、脳機能を高めるというのだ。衝撃を体の一部分に集中させないためには正しいフォームと衝撃に負けないシューズが必要だ。

参考資料*¹:排尿日誌の記入の仕方