味覚に異常を感じたら亜鉛不足を疑って!!

牡蠣

亜鉛不足による味覚障害が
高齢者に増えている

毎日、三度三度の食事を美味しくいただけているでしょうか。
「最近、食べ物の味がわからなくなった」「食べ物の味が変わった」「食事をすると薬臭い感じがして美味しくない」「いつも口の中で苦い味がしていて食欲がわかない」
こういった症状を毎日のように自覚しているという方は、味覚障害かもしれません。

私たちが食べ物や飲み物の味を楽しむことができるのは、舌に「味蕾(みらい)」と呼ばれる味覚を感じとるセンサーとも言うべき細胞の集合体があるからです。

この味蕾が感じとった味を、味覚神経を通じて大脳に信号を送り、「甘い」「苦い」「酸っぱい」「塩からい」「うまい」というように、それぞれ味を判別しているわけです。

ところが、このセンサーそのものや伝達経路のどこかになんらかのトラブルが発生すると、味覚に異常を感じるようになります。いわゆる「味覚障害」です。

味覚障害は、服用している薬が原因のこともあればストレスなどによる心因性の場合もあるのですが、最近高齢者を中心に増えているのが「亜鉛不足」を原因としたケースです。

通常の食生活を続けていれば
亜鉛不足による味覚障害は防げる

必須ミネラルの1つである亜鉛(Zn)は、体内のいたるところで休みなく繰り返されている細胞の新陳代謝に深くかかわっています。

味覚でいえば、舌の味蕾を構成している味細胞一つひとつの新陳代謝にも関与しています。

この味細胞は、体内にあるさまざまな細胞のなかでもとりわけ新陳代謝が活発です。
約1カ月ごとに古い細胞から新しい細胞へと入れ替わっているのですが、この新しい細胞を形成するうえで、亜鉛が重要な働きを果たしているのです。

亜鉛自体は、魚介類、肉類、海藻、野菜、豆類、木の実などの種実(しゅじつ)類、玄米など、さまざまな食材に含まれています。

そのため通常の食生活を続けてさえいれば、不足する心配はないだろうと言われています。

ところが、食事からの亜鉛の摂取量が不足したり、せっかくの亜鉛も胃腸機能の低下で十分消化吸収されなかったり、あるいは薬などのために亜鉛の吸収が阻害されたりすると、からだが亜鉛不足に陥り、それが即、味覚障害につながりかねません。

ファーストフードに依存した食生活が
亜鉛不足から味覚障害へ

亜鉛不足の状態に陥りやすい原因として高齢者でよく指摘されるのは、歳を重ねるにつれて食が細くなり、食事の摂取量自体が目に見えて減少してくることです。

加えて、特に高齢者二人だけの家庭や単身者では、手間のかからない出来合いの総菜や弁当、菓子パンといったファーストフード(ファストフードとも言う)で簡単に食事を済ませてしまうことが多くなっているのはないでしょうか。

同様に、手軽さが魅力でつい利用したくなるハムやソーセージ、ちくわやかまぼこのような魚肉の練り製品、つくだ煮、さらにはカップ麺に代表されるインスタント食品やレトルト食品、スナック菓子類などの加工食品もファーストフードの範疇に入ります。

これらの調理済み食品には、亜鉛の吸収を妨げる食品添加物が、微量ながら含まれています。

そのため、時々摂取するぶんにはまず問題はないのですが、これに頼りすぎて毎食のように食べ続けていると、やがて亜鉛不足に陥り、味覚障害へとつながりかねません。

晩酌の習慣がある方では、アルコールの飲み過ぎも原因となります。
体内におけるアルコールの分解には亜鉛が使われますから、アルコールの量が増えれば増えるほど体内の亜鉛は減っていきます。
その結果として、亜鉛不足から味覚障害になりやすいというリスクがあるのです。

亜鉛の吸収を抑制する薬により
亜鉛不足に陥るリスクも

亜鉛不足による味覚障害は若者に比べ高齢者に圧倒的に多いのですが、食生活とは別に考えられる原因として、高血圧や脳卒中などの循環器病に代表される生活習慣病の方が長期間にわたり飲み続けている薬の問題があります。

薬そのものが原因で味覚障害を招くこともあります。
それとは別に、降圧薬のほか、多くはめまいや意欲の低下といった脳梗塞後遺症の症状軽減を目的に処方される脳循環改善薬やがん治療に使用される抗腫瘍薬、抗うつ薬などのなかには、「亜鉛キレート作用」と言って、亜鉛の吸収を抑制する作用をもつ薬があります。

このタイプの薬の服用を続けていると、より多くの亜鉛が尿に排泄されてしまうため亜鉛不足に陥り、やがて味覚に異変を感じるようになってくるのです。

この場合は、気づいた時点でかかりつけ医に「味がしなくなった」ことなどを伝え、薬の変更を検討するなど適切な対応をとってもらうことをおすすめします。

なお、2020年1月以降世界的に感染が拡大し、3月にはパンデミック(世界的大流行)の状態になり多くの感染者、さらには死者も出ている新型コロナウイルス感染症と味覚障害の関係については、こちらの記事で詳しく書いていますので参考にしてみてください。

牡蠣やうなぎ、ナッツ類で
亜鉛不足を防ぐ

亜鉛不足による味覚障害は食欲を減退させます。
そのままにしていると、フレイルと言って、体力も気力も低下して日々の生活に介護が必要な状態に陥りかねませんから、毎日の食事では、意識して亜鉛を摂るようにしたいものです。

なお、フレイルが気になる方は『健康長寿は「フレイル」の自己チェックから』を参考に、ご自分のフレイルリスクをチェックしてみてはいかがでしょうか。

前述したように、亜鉛はあらゆる食材に含まれているのですが、身近な食品で含有量が多いものとしては、ウナギのかば焼き、牡蠣、たらこ、シシャモ、レバー、カシューナッツ、アーモンドなどがあります。

ただしカシューナッツやアーモンドは、歯がよほど健康でないとそのままではなかなか口にする気にならないでしょうから、サイレントミルサー などで粉砕し、ふりかけとして気軽に摂ることができるようにしておくことをおすすめします。

牡蠣は抜群に亜鉛が多く、普通サイズのものを3個も摂れば、1日の推奨量をほぼ補うことができます。「海のミルク」とも呼ばれるように、亜鉛だけでなく、低脂肪のたんぱく質に加え、ビタミン類もカルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラルも豊富で、栄養価がきわめて高いことで知られています。

ただ、冬に流行するノロウイルスによる感染性胃腸炎の感染源となるリスクもありますから、流行期にはきちんと加熱調理をするなどの注意を怠らないようにしてください。

なお、食事からの亜鉛摂取だけでは心もとないときは、エビオス錠でお馴染みのビール酵母にビタミンB と亜鉛を強化したスーパービール酵母Z (亜鉛配合)を使ってみるのも一法です。

ビール酵母について詳しく知りたい方は『「エビオス錠」で低栄養によるフレイルを防ぐ』を参考にしてみてください。