寒い時期の高血圧対策は
「頭寒足熱」の室温管理を
新型コロナウイルスの新しい変異株「オミクロン株」は、はっきりした正体がつかめていないだけに、警戒感は高まる一方で、気持ち的にも落ち着きません。
これからの時期、感染第6波も予測され、感染者、とりわけ重症者の急増による「医療崩壊」の懸念も伝えられています。
実際、救急搬送を受け入れてくれる病院がなかなか見つからないといった事態が各地で頻繁に起きているとも報じられています。
そんなニュースに、高血圧などの基礎疾患を抱えながら在宅療養をしている方は、「自分が急変したら……」と、不安に駆られているのではないでしょうか。
なんとしても今年の冬は、自己管理をいつも以上に徹底して行って、持病を悪化させるような事態だけは避けたいものです。
いずれにしても脳卒中や心筋梗塞など、高血圧を主な発症リスクとする循環器疾患による住宅内での死亡者数はつね冬季は夏季の2倍であることも報告されています。
ということで今回は、厳しい寒さが続く今の時期にあって、高血圧の方が血圧を上げないための鉄則とされる「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」の話を書いてみたいと思います。
頭の部分と足元付近の
温度差により血圧が上昇
「頭寒足熱」とは、古くから語られてきた健康法です。
改めて説明するまでもないでしょうが、文字どおり、頭の部分は涼しくして足元付近を温かく、という意味です。
慶応義塾大学の伊香賀俊治教授や自治医科大学の苅尾七臣(かりお かずおみ)教授らの研究チームは、オムロンヘルスケアなどとの産学連携により、室温の変化が血圧に与える影響について実証実験を行った結果を報告しています*¹。
実験では、断熱性や気密性が高く、部屋全体、特に足元付近の室温が適度に保たれている住宅と、断熱性・気密性が低く足元付近の室温が低くなってしまう住宅について、血圧の変動を比較検証しています。
その結果、断熱・気密性能が低く足元付近(床から0.1mの高さ)の温度が低くなってしまう住宅では、暖房器具によって床上1.1m付近(着席時の頭の高さ)の室温を20℃に温めても、足元付近の室温は10℃程度と、倍近い温度差が出ることを確認しています。
この温度差により、血圧は上がりやすく、平均して9㎜Hg上昇することが確認され、住環境の室温による血圧への影響が少なくないことが示唆されたと言うのです。
部屋全体の温度管理より
足元付近を冷やさない工夫を
この結果から、たとえば寒い冬に多いヒートショックのような、急激な寒暖差による血圧の上昇による脳卒中や心筋梗塞のようなトラブルを避けるには、断熱性が高く、室温を適温に保つことができる住宅に住むのがいいという話になります。
とはいえ、高血圧あるいは血圧が高めで、室内の温度差による脳卒中などのリスクを避けたいからという理由だけで、誰もが高断熱の住宅に住み替えたり、住宅の断熱性を高めるために住宅をリフォームするといったことがそう簡単にできるわけではありません。
そこで、寒い時期の温度変化による血圧の上昇を避けるには、部屋全体の温度管理よりも足元を冷やさないための温度管理や足元が冷えない防寒対策が必要となります。
ふくらはぎを温めて
全身に温かい血液を巡らせる
最近普及しているホットカーペットを敷くのもいいでしょう。
しかし、ポイントとなるのは、「第二の心臓」と呼ばれるほど下半身の血液を心臓に戻すポンプとして重要な役割を担っている「ふくらはぎ」です。
全身の血液は、重力の関係で約7割が下半身、特にふくらはぎに集中しています。
ふくらはぎを温めてあげれば、体全体のあらゆる部分に温かい血液を送り届けることができますから、温度差による血圧の変動を防ぐことができるのです。
ふくらはぎを温めるには、ロングサイズ の レッグウエアー を着用するなり、遠赤外線でふくらはぎを温めてくれる遠赤レッグウォーマーなども上手に活用するといいでしょう。
減塩食に加え「高GABAトマト」も
先刻ご承知と思いますが、血圧対策には食事の管理も重要です。
減塩は言うまでもなく、たとえば「高GABAトマト」などの活用もおすすめです。