カカオポリフェノールで心疾患や脳卒中予防を

カカオ

カカオポリフェノールに
高血圧改善・動脈硬化予防効果が

植物の樹皮や表皮、種子には、「ポリフェノール」と呼ばれる色素や苦み、渋みの成分が含まれています。

このポリフェノールに、ビタミンCやビタミンEに負けないほどの強い抗酸化作用があることはすでによくご承知のことと思います。

ポリフェノールは、この抗酸化作用により、外敵である活性酸素から自らの身を守ると同時に、私たちの体内で発生し続ける活性酸素に対しても、からだのさまざまな機能が錆びつくのを防ぎ、正常に機能し続けるように働いてくれているのです。

ポリフェノールは、ほぼすべての植物に存在しており、その種類は5000種を超えると考えられています。

種類が違えば、当然その化学構造も違ってきますから、私たちが恩恵を受ける健康効果も微妙に違ってきます

たとえば、ブルーベリーに多く含まれる「アントシアニン」と呼ばれるポリフェノールが目の健康にいいことはよく知られています。

生姜のポリフェノールである「ショーガオール」には血行をよくして冷えを改善する効果や、免疫力を高める効果が期待できることも多くの方がご存知だろうと思います。

そんななかで最も広く知られ、活用されているのは、「カカオポリフェノール」に期待できる高血圧改善や動脈硬化の予防効果ではないでしょうか。

カカオポリフェノール含有量が
70%以上のダークチョコを

カカオポリフェノールは、チョコレートの原料であるカカオ豆に多く含まれていますが、その含有量はチョコレートの種類によって異なります。

たとえば「ミルクチョコレート」として一般に市販されている白い色のチョコレートのカカオポリフェノール含有量は30%程度と言われています。

一方、「ダークチョコレート」(「ビターチョコレート」とも言う)と呼ばれるやや苦みの強いチョコレートには、苦みのもとであるカカオポリフェノールが70%以上も含まれています。しかも、砂糖や脂肪の含有量が通常のチョコレートに比べかなり抑えられています。

この高カカオチョコレートを少量ずつ継続的に摂取したところ、血圧の低下や善玉コレストロールの増加が認められたとする研究結果が報告されているのです。

カカオポリフェノールの血管を拡げて血液の流れをよくし、血圧を下げる作用や、悪玉コレステロールの酸化を抑えて善玉コレステロールを増やし、動脈硬化のリスクを下げる作用により、高血圧や心疾患、脳卒中といった循環器疾患の予防効果が期待できるというわけです。

カカオポリフェノールの効用を
治療に活用する「嗜好品外来」

埼玉県戸田市にある戸田中央総合病院には、専門外来の1つに「嗜好品外来」という、他には見当たりそうにない、なんともユニークな外来があります(コチラ)。

この外来を担当しているのは、循環器専門医の椎名一紀医師です。

椎名医師は、薬をできるだけ使わずにその人が日々好んで口にしているもので病気を防いだり、せめて病気の進行をスローダウンさせることができれば、患者の負担が軽減されるうえに、増え続ける医療費の削減にもつながるのではないか、との考えからこの外来の開設に踏み切ったのだそうです。

この外来で椎名医師の診察を受けている知人によれば、初診時には、問診、血液検査、心電図といった通常の診療が行われ、その結果から心臓病や脳卒中など循環器疾患のリスクの度合いが判断されます。

そのうえで、通常の食事や運動に関する指導が行われるわけですが、その話のなかで患者それぞれの嗜好品を俎上に載せ、その効果的な摂取方法について具体的かつ詳細に説明する、といったことが行われているようです。

患者は、医師から指導を受けた嗜好品を取り入れた予防・治療法を進めながら経過観察を続けていくことになるわけです。

その指導でよく登場するのがポリフェノール類が多く含まれている嗜好品、とくにカカオポリフェノールを70%以上含む高カカオチョコレートです。

カカオポリフェノールは
毎日適量を摂り続ける

高カカオチョコレートには、血圧低下など循環器疾患への効果のみならず、食後血糖値の低下や認知症の発症を遅らせる効果、さらには腸内環境を改善して便秘を予防するなど、さまざまな健康効果が実験により確認されていることから、自ら積極的に日々の生活に取り入れている方も少なくないようです。

その活用法ですが、カカオポリフェノールなどのポリフェノールは、からだの中に入るとすぐに消化吸収されてしまい、ためておくことができません。

そのため意図した健康効果を得るためには、毎日一定量を摂り続ける必要があります。

その際、チョコレートのような嗜好品は、つい食べ過ぎになりがちですから、その量には特に注意が必要です。

なかでもカカオポリフェノールの多い高カカオチョコレートは、カカオの含有量が多いぶん、普通のチョコレート以上に脂質の量が多く、食べ過ぎるとエネルギー(カロリー)オーバーになってしまいます。

厚生労働省と農林水産省が策定した「食事バランスガイド」では、チョコレートのような嗜好品から摂取するエネルギーは、1日200Kcal以内に抑えるのが望ましいとしています。

一口にチョコレートと言っても、国産品か輸入品かにより、また同じ国産品でも銘柄により成分量が異なりますから、パッケージに明記されている栄養成分表示を目安に、常に適量を摂るように心がけることをおすすめします。

カカオポリフェノールの1日摂取量は、200~500㎎とされている。よく知られている明治 チョコレート効果 カカオ72% で言えば、1枚(5.0g)に含まれるカカオポリフェノールは127㎎と推定されていることから、効能を上げるには1日に2~4枚が適量となる。しかし、病状にもよるため、主治医や管理栄養士に相談することをおすすめする。