手を「洗ったつもり」「消毒したつもり」に注意

手洗い

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感染者急増のコロナに
立ち向かうために必要なこと

新型コロナウイルス感染者の急増に、マスメディア、特にテレビのニュースや報道番組、ワイドショーなどでは、ほぼ終日、新規感染者や重症者の数を追うことにことのほか力を入れているようにみえます。

併せて、集中治療や人工呼吸器、場合によっては人工心肺装置ECMO(エクモ)による治療を必要とするような重症者が日を追って増え続け、このままでは医療体制が逼迫する、といったことをアナウンサーが切羽詰まった表情で伝えているのですが……。

このような、人々の危機感をあおる一方の情報を繰り返し聞かされることに疑問を感じ、時に辟易して、チャンネルを換えたり、結局はテレビを消してしまうといった視聴者が私の周りにも少なからずみられます。

昨日も、よく行くコンビニで顔を合わせているうちに立ち話をする仲になった高齢男性が、こんなふうに嘆くというより、真剣に怒っていました。

「テレビをつけると、どのチャンネルも、コロナの感染者が過去最多を更新しただの、重症者用のベッドが足りなくなる、医療スタッフの手が全く足りていない……、といった話ばっかり。私たち一般人は具体的に何をしたらいいのかについてはほとんど何もを言っておらん!!」

おっしゃるとおり、まったくもって同感です。
ということで、僭越ながら、テレビ局各社への提案の思いも込めて、コロナ対策として、今この時期に再確認しておきたい感染対策の基本を書いてみたいと思います。

マスク着用の重要性が
改めて強調されてはいるが

まずは、政府が繰り返し強調している「マスク着用」の重要性についてです。

11月18日、各自治体が公表する新型コロナウイルスの新規感染者数(陽性者数)が、感染の流行第2波が落ち着いて以降初めて過去最多を記録しました。

その翌朝、11月19には、菅総理大臣自らが、
「改めてマスクの着用や3密の回避など、基本的な感染対策の徹底をお願いしたい」
と、記者団を前に呼びかけています。

加えて、専門家から大人数での飲食場面では感染拡大リスクが特に高まると指摘を受けたことに触れ、飲食場面でも会話を交わす際にはマスクを着用し、「静かなマスク会食」をするよう、広く国民に要請しています。

新型コロナ対策に
より効果的なマスクは?

マスク着用については、一時期その効果に否定的な見解を発表していたWHO(世界保健機関)も、今では感染拡大の抑制効果を認め、広く世界の人々にマスクの着用を呼び掛けていることはご承知のとおりです。

ただ、一口にマスクと言っても、国内だけを見ても使われている素材といい形状といい、実にさまざまなものが出回っています。

そのなかのどのマスクが、新型コロナ対策としてより有効なのでしょうか。
また、そのマスクをどのように着用したり、取り外したり、さらには保管するのが感染対策としてより効果的なのでしょうか。

その辺のことは、あまり伝えられていないように思います。

スパコンによる実験で確認された
サージカルマスクの性能

幸いわが国では、理化学研究所や神戸大学などの研究チームが、世界最高の解析能力を誇るスーパーコンピューター、通称スパコン「富岳(ふがく)」を使ったシミュレーション実験により、そのへんのことに明快な答えを出してくれています。

たとえば研究チームによる直近(11月26日)のシミュレーション実験では、若者世代に人気のウレタン製マスクについて、
「新型コロナ対策としての性能はあまりよくないことがわかった」
と表明しています。

そのうえで、人が集まって密になるような場面では不織布マスク、いわゆる「サージカルマスク」を着用するようすすめています。

また、テレビに出てくるタレントやお笑い芸人たちがよく着けているフェイスシールドや口の部分だけを覆うマウスシールドについては、期待できるウイルス防御効果が限られることも、スパコンの実験によって明らかにされています。

これらのシミュレーション実験の映像は、テレビ局なら容易に入手可能でしょうから、是非映像ともども確かな情報を伝えてもらいたいものです。

速乾性擦式消毒薬は
1回3㎖,15秒以上擦り込む

もう1点、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化しはじめた当初から、マスク以上に気になっているのが、手洗いや手指消毒の方法です。

手に目に見える汚れがある場合は、石けんと流水による手洗いが必須です*¹。

しかし、それ以外のときは、多くの方が、アルコールを含む速乾性の擦式(さっしき)消毒薬、つまり擦り込み式による手指消毒で済ませていることと思います。

その場合の注意点として、手指衛生に関するCDC(米国疾病管理センター)のガイドラインやWHOのガイドラインは、おおむね以下の3点をあげています。

  1. 十分な量(1回につき約3㎖、ポンプ式ボトルなら1プッシュ)の消毒薬を使用する。
    少量(1㎖以下)では、石けんによる手洗いより消毒効果が劣る。
  2. アルコールは、揮発するとき(乾くとき)に消毒効果を発揮するため、手が濡れていると消毒効果が低下する。
    手が濡れているときは、水分をよく拭き取ってから消毒薬を使用する。
  3. 消毒薬を手にしたら、15秒以上かけて乾燥するまでしっかりと手全体に擦り込む。
    10秒ほど擦り込んで手が乾いた感じになるようなら、消毒薬の量が足りないと判断して、再度初めからやり直す。

速乾性擦式消毒薬による手指消毒については、厚生労働省のパンフレット*²に消毒薬を擦り込む手順が具体的に紹介されていますから、是非一度確認してみてください。

手荒れが気になるという方は、「手荒れに配慮した保湿剤配合の手指消毒液」として資生堂から売り出されている手指消毒用エタノール液がおすすめです。

手洗い、手指消毒実験で
洗い残し、消毒し残し部分を確認

石けんと流水による手洗いの場合も、消毒薬による手指消毒の場合も完璧を期すには、以下を厳守することが求められます。

  1. 爪の間にウイルスが残らないように、常に短く切りそろえておく(マニキュアもとる)
  2. 手洗いや消毒をする前に、指輪や腕時計を外す
  3. 手の甲側、とくに指先の爪と皮膚の間、甘皮(あまかわ;爪のつけ根の皮膚と爪との境目にある薄い皮)の部分や親指、手のひらのしわの部分や親指の付け根、手首の部分に洗い残し、消毒し残しが多いことが確認されている。
    これらの部位を意識して手洗いや消毒を行う

このうち「3」については、手の汚れに見立てた蛍光塗料入りの手洗いチェッカーローションを手のひらに塗り、いつもどおりに手洗い、あるいは手指消毒をしたあと、特殊ライト、手洗いチェッカー用 ブラックライトなどにかざすと、汚れが残っている、あるいは消毒が行き届いていない部分が青白く光って見えるという実験を一度してみるのもいいのではないでしょうか。

参考資料*¹:厚生労働省「正しい手洗いの方法」

参考資料*²:厚生労働省「手洗いで感染予防ー手指消毒の手順」