「うっかり」や「もの忘れ」が気になるあなたに

パソコンとコーヒー

「うっかり」や「もの忘れ」が
最近増えて認知症が心配?

「ついうっかり」や「ちょっとしたもの忘れ」は、高齢者のみならず40代、50代になってくると、程度や頻度の違いはあるものの、誰もが経験するものです。

そんなときは、「あらいやだ、もう認知症かしら」などと、少し弱気になったりもします。

ただ、最初にお断りしておきますが、「人の名前をなかなか思い出せない」とか「メガネをどこに置いたかを忘れる」といったレベルの「もの忘れ」は、多くの場合、生理的な健忘(けんぼう)であって、認知症にそのまま直結するようなものではありません

認知症でいうところのもの忘れは、「朝食を食べたことを忘れて、朝食を繰り返し催促する」とか、「自分の子どもの顔を忘れて、どちらさん?と尋ねる」など、自分が体験したことをすっぽり忘れているのに忘れている自覚がない、といった、文字通り病的な健忘です。

今日は、どちらかといえば前者のタイプの「ついうっかり」や「ちょっとしたもの忘れ」がこのところ特に気になっているという方に、このついうっかりやもの忘れを極力減らす効果が期待できるというコーヒーについて書いてみたいと思います。

コーヒー豆成分「トリゴネリン」が
「うっかり」や「もの忘れ」を減らす

ところで脳をフルに使ってデスクワークをしたり、読書に夢中になったりしていると脳の疲れを感じて集中力が途絶えたり、生あくびが出たりすることがよくあります。

そんなときコーヒーを一杯飲むだけで、集中力や思考力が回復するものですが、それは、コーヒーに脳を興奮させて頭をスッキリさせるカフェインが含まれているからです。

このカフェインとは別に、焙煎する前段階のコーヒーの生豆には、脳の働きを活性化させる成分が含まれていることが研究により確認されています。

それが、知的栄養成分としても知られる「トリゴネリン」と呼ばれる成分です。

このトリゴネリンについては、かなり早い時期に富山医科薬科大学の研究チームが、脳の神経細胞の樹状突起(じゅじょうとっき)の形成を促す作用があることを、マウスを使った実験で確認し、報告していました。

「ついうっかり」や「もの忘れ」と脳内ネットワーク

樹状突起は脳内で、いわば情報を送受信するアンテナのような働きをしています。

脳の神経細胞が減ってその数が少なくなると、樹状突起も少なくなりますから、脳内のネットワークの構成に不具合が生じ、情報伝達に支障をきたすようになってきます。

仮にそのような事態になっても、トリゴネリンによって樹状突起の数を増やし、新たなネットワークを構成して情報のやり取りができるようにしてあげれば、「ついうっかり」や「もの忘れ」を相当程度減らすことができるのではないかと、理論上は考えられるわけです。

熱に弱い弱点をクリアした
トリゴネリン2倍のコーヒー

ただ、トリゴネリンには「高熱に弱い」という困った性質があります。

そのため、コーヒー豆を通常の方法で加熱焙煎したり、熱湯で淹れたりすると、その過程でトリゴネリン特有の作用が半減、あるいはゼロになってしまうのです。

そこで、なんとかこのトリゴネンの働きを生かせないものかと、認知症予防の研究で著名な鳥取大学の浦上克哉教授と澤井珈琲が共同研究にとりかかったのです。

まず研究チームは、極力低温で焙煎する技術を開発――。

続いて、トリゴネリン成分を生豆から抽出して氷温(0℃以下で凍る寸前の温度)で熟成させる技術を開発し、この熟成させたトリゴネリンを焙煎後のコーヒーにプラスすることにより、トリゴネリンが通常の2倍も含まれるトリゴネコーヒー を誕生させました。

場所を選ばず、誰もが手軽に飲めるようにと、1回分がピラミッド型のティーバッグにおさめられていますから、コーヒーカップに入れてお湯を注ぐだけ。使用済みのバッグはそのまま捨てられますから、面倒な片付けの手間もいりません。

このところ過剰摂取による健康リスクが話題になっていることもあって、カフェインは避けたいという方も多いようですが、そんな方のために、カフェインを含まないタイプのトリゴネコーヒー(カフェインレス) も用意されています。

カフェインの過剰摂取と健康リスク
カフェインを多く含む眠気防止薬や「エナジードリンク」のようなカフェイン含有量のとりわけ多い清涼飲料水などによる中毒が相次いで起きていることを受け、厚生労働省は「カフェインに健康リスクがあることを知って」と呼び掛けている。
過剰に摂取した場合の症状としては、めまい、心拍数の増加(胸のドキドキ)、興奮、不安、不眠、下痢など。肝機能が低下している人はコーヒーを飲み過ぎないなどの注意も必要としている。

トリゴネコーヒーと一緒にブドウ糖を

なお、脳や神経系がフルに働くためのエネルギー源として最も重要な栄養素はブドウ糖です。

このブドウ糖は、脳に備蓄できる量がごく少量に限られますから、炭水化物を大幅に制限するなどをしていると、脳がエネルギー不足に陥ってしまいます。

炭水化物は糖質で、糖質は体内に入って代謝され、即ブドウ糖になりますから、脳の活性化のためには、適量の炭水化物をとる必要があるわけです。

脳に疲れを感じたりしたときは、紹介したトリゴネコーヒーと一緒にブドウ糖、たとえばブドウ糖100%の ラムネ などをつまむと、脳の疲れがとれていっそう元気に働いてくれるようになります。

脳とブドウ糖の関係について関心のある方は、こちらの記事がお役に立てると思います。
→ 脳が疲れる前にブドウ糖でエネルギーチャージ

また、脳を活性化して脳の若返りを図り、認知症の発症を遅らせたり進行を緩やかにする方法については、こちらにまとめてあります。是非参考にしてください。

毎年6月14日は「認知症予防の日」。予防といっても「認知症にならない」方法はないが、認知症の発症を遅らせたり、仮に認知症になっても進行を緩やかにする方法はすでにかなり確認されている。多々あるなかから、日々の生活に無理なくできる方法を紹介する。

認知症かどうかをチェックできるサイト(無料)の利用も

なお、認知症が気になるという方は、各自治体が開設している「認知症簡易チェックサイト」にアクセスしてチェックしてみてはいかがでしょうか。詳しくはこちらを。

認知症は、残念ながら現時点でこれといった特効薬はない。しかし、早い時期にそのサインに気づき適切な対応をとれば、病気の進行を遅らせることができる場合もある。その早期発見のきっかけに、多くの自治体が導入している「認知症簡易チェックサイト」を紹介する。

認知症の一歩手前の段階のリスク判定が血液検査で可能に

認知症は早い段階で発見して適切な手を打てば、予防、つまり発症を遅らせたり進行を緩やかにさせることが可能であることがわかっています。

その早い段階、認知症の一歩手前の軽度認知障害のリスク判定を、簡単な血液検査でできるようになっています。

「うっかり」や「物忘れ」が気になっている方はこちらを参照して、リスクチェックをしてみてはいかがでしょうか。

認知症は早い段階で発見して先手を打てば予防も期待できることがわかっている。幸い、簡単な血液検査で、アルツハイマー型認知症の前の段階である軽度認知障害のリスクを判定する検査法が開発され、実用化されている。その紹介と、認知症予防策を紹介する。