新型コロナウイルスの影響で
自ら命を絶つ方が増えています
新型コロナウイルスの影響で、長らく何もかもが異例づくめの日々が続いています。
感染を極度に恐れたり、今後の生活への不安に耐えかねてのことでしょうか。自ら命を絶つ方が増えているのはなんとも残念な事態です。
警察庁は11月10日、10月の1カ月に全国で自殺者した人の数が2153人で、去年の同じ時期に比べ39.9%増加したとする速報値を発表しています。
1カ月の自殺者が2000人を超えるのは、2018年3月の2005人以来のことだそうです。
新型コロナウイルス感染症が拡大し始めた今年1月から10月末までの全国の自殺者数は1万7219人で、去年の同じ時期を160人上回ったとのこと。
性別では、男性が67%の1万1541人、女性が5678人となっています。
この間、今年の6月までは去年の同じ時期に比べ減少傾向でした。ところが7月以降、増加に転じ、7月、8月、9月は3カ月連続で1800人を超え、10月には、1か月の自殺者としては、この5年間で最も多くなっています。
「ひとりで悩まないで」
厚生労働省が呼びかけ
こうした事態に厚生労働省は、「自殺する方が増えた詳しい原因は現時点ではわからないが、重く受け止めている」としています。
そのうえで、「新型コロナウイルスの影響で生活に不安を感じている方が多いと思うが、どうかひとりで悩みを抱え込まず、まずはご家族やご友人、職場の同僚など、身近な人に相談してほしい」と呼びかけています。
しかし、なかには、身近な人には相談しづらい、あるいは安心して相談できる人が周りにいないという方も少なからずいると思われます。
そのような場合の相談先を具体的に提示し、こう呼びかけています。
「あなたの不安やつらい気持ちを伝えてください。
あなたからの相談を待っています。
支えにつながるその一歩を、どうか踏み出してください」
生活全般でお困りなら
最寄りの自治体の相談窓口へ
その相談先ですが、お金に関することや仕事、住居など、生活全般に関する悩みに関しては、「生活困窮者自立支援制度」を利用することができます。
制度の内容、およびあなたが受けられる支援等の詳細は、お住まいの自治体に用意されている
「自立相談支援機関の相談窓口」に、電話、ファックス、メールのいずれかで相談してみてください。
なお、新型コロナウイルス感染症に罹患したり、感染拡大の影響を受けて収入が大幅に減少し、生活に困窮している方のうち、次に該当する方には給付制度が用意されています。
- 生活資金で悩んでいる方には、「生活福祉資金の特例貸与」
- 住居を失うおそれがある方には、「住居確保給付金」
このうち⑴の特例貸与には、次の2ケースが用意されています。
- 緊急・一時的に生活費が必要な方を対象とする「緊急小口資金」
- 生活再建までの間の生活費が必要な方を対象とする「総合支援資金」
制度の概要と相談先(コールセンター)は、厚生労働省の「生活支援特設ホームページ」にアクセスしてみてください。
生きていることさえつらい方は
こころの健康相談窓口へ
一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染者やその家族、さらには新型コロナウイルス感染症の治療やケアに当たっている医療・介護従事者に対する差別や偏見によるいじめや嫌がらせ等が社会問題化しています。
そういった被害に遭うなどして、安心して眠れないといった悩みや、職場や近隣の人々との人間関係の難しさなどで生きていることさえつらい、しんどいという方も少なくないようです。
最寄りの精神保健福祉センター相談窓口
このような方の相談先としては、「全国の精神保健福祉センター」が用意されています。
センターにより支援内容は異なりますが、「新型コロナウイルス感染症のこころのケアに関するページ」を特設して、以下の対象別にメンタルヘルス指導を行っているセンターもあります。
- 感染拡大で不安を感じている一般の方
- 無症候性あるいは軽症の感染者で宿泊療養や自宅療養により行動が制限されている方
- 新型コロナウイルス感染症で大切な人をなくされた方
- 新型コロナウイルス感染症に対応している医療従事者
- 高齢者向け介護施設などで働いている方
- 保育所や児童施設で働いている方
また、ストレスチェック法や簡単なリラクゼーション法を紹介しているセンターもあります。
まずは最寄りの精神保健福祉センターにアクセスしてみてはいかがでしょうか。
「まもろうよ こころ」サイトの活用も
また、悩みや不安を抱えて困っている時、気軽に相談できる場所として厚生労働省がWeb上に開設している「まもろうよ こころ」もあります。
このサイトでは、「もし、あなたが悩みを抱えていたら、相談してみませんか?」と呼びかけ、相談方法として、「電話で話したい方」「SNSで話したい方」向けに、さまざまなサポートを行っています。
ご自分に合った窓口を選んで、とにかく話してみることをすすめています。
また、自分の悩みはどこに相談するのがいいのかわからないこともあるでしょう。
そんなときのための「支援情報検索サイト」では、悩み別、相談の方法別、地域別ごとに、あなたに合った相談窓口にアクセスできるようになっています。
一度で諦めずに何度でも相談を
なお、一部の相談窓口では、相談者の一時的な急増により、すぐに電話を受けられなかったり、メールやSNSのメッセージに直ぐに返信できなかったりするケースも出ているようです。
こうした事態に厚生労働省は、「何度か電話をしてもつながらなかったり、返信がもらえなかったりする場合は、それで諦めず、他の窓口も探して、なんとか相談先を見つけていただきたい」としています。