食後の高血糖対策にこんにゃく粉入りお粥を

和食器

こんにゃくと血糖値に
思わぬ関係が

寒くなってくると、やはりアツアツの「おでん」が無性に食べたくなります。

ネット上にある、「好きなおでんの具ランキング」をいくつかチェックしてみたのですが、関東と関西では好みが微妙に違うようです。

ただ、関東も関西も、「大根」と「たまご」は概ね人気が高く、「こんにゃく」も3位か4位にランクインしていることが多かったように思います。

こんにゃくの魅力は、成分の90パーセント以上が水分で低カロリーなのに腹持ちがよく、ダイエットに効果的なところでしょうか。

もちろん、それだけではありません。こんにゃくには「グルコマンナン」と呼ばれる水溶性の食物繊維が豊富に含まれています。

このグルコマンナンには、食事をした後の血液中の糖分(血糖)とインスリンの両方の上昇を抑える効果があり、糖尿病の予防や改善に役立つことが研究で確認されているのです。

そこで今回は、糖尿病で治療中の方はいうまでもなく、糖尿病とは診断されていないものの、血糖値などから糖尿病が強く疑われる、いわゆる「糖尿病予備群」の方にとっても、朗報と言っていい研究成果を紹介してみたいと思います。

「こんにゃく粉入りお粥」で
食後血糖値の上昇が緩やかに

こんにゃくに豊富に含まれる「グルコマンナン」に着目し、その糖尿病の改善・予防効果に関する研究を行ったのは、群馬大学大学院の村上正巳教授ら研究グループです。

ご承知のように群馬県は、日本のこんにゃく芋のおよそ9割を生産しています。

県内にある群馬大学は、「食と健康」および「地元の産業活性化」の観点から、こんにゃく芋をはじめとする群馬県の伝統的な農作物や食品についてさまざまな研究を行っています。

今回の研究もその1つです。

地元企業開発の独自技術による「こんにゃく粉」

研究グループは、地元のグリンリーフ株式会社が独自の技術で開発した「こんにゃく粉」を入れたお粥を食べることにより、食後の血糖上昇とインスリン分泌を抑制する効果が得られるかどうかを調べることを目的に、研究に着手しました。

私たちが食事をすると、食事に含まれている糖分が、消化管から吸収されることにより、血糖値が一時的に上昇します。

このとき同時に、血糖を下げるように作用するインスリンと呼ばれるホルモンが膵臓から分泌され、血糖の上昇をほどよく調整する仕組みになっています。

糖尿病は、この血糖調整作用がうまく働かず、高血糖の状態が続く病気です。

こんにゃく粉入りのお粥を食べることにより、食後の血糖値とインスリン値の上昇を緩やかにすることができれば、糖尿病予備群の状態から糖尿病へ移行するのを抑制して、人々の健康増進に寄与できるのではないか、と考えから行われた研究です。

こんにゃく粉入り粥と普通粥で
食後血糖値の上昇度合いを比較

本研究では、37~60歳の健康な男性25人(ボランティアの被験者)に対し、まずは、糖尿病の診断に用いられる「75g経口ブドウ糖負荷試験」を実施しています。

75g経口ブドウ糖負荷試験、通称「75gOGTT」とは、ブドウ糖75gを水に溶かしたブドウ糖水を飲んでもらい、その後30分、1時間と2時間後に採血をして血糖値を測るという検査です。

この検査により、被験者のうち8人が健常者、17人が糖尿病予備群と判定されています。

次に、被験者全員に「普通の5分粥」「こんにゃく粉を0.4%加えた5分粥」「こんにゃく粉を0.8%加えた5分粥」の3種類のお粥(いずれも約80Kcal)を食べてもらい、食前と食後30分、60分、120分の時点で、血糖値とインスリン値を測定しました。

その結果、5分粥にこんにゃく粉を0.8%加えると、普通の5分粥を食べた場合と比較して、食後30分にピークとなる血糖値とインスリン値の上昇を抑えられることが確認できたというのです。

健常者より糖尿病予備群でより強い抑制効果

また、こんにゃく粉を加えたことによる食後30分の時点での血糖値の上昇抑制効果は、健常者のグループより糖尿病予備群のグループにおいてより強く、またこんにゃく粉の濃度がより高いとより強い抑制効果が得られたそうです。

一方で、その他の時間(食前、食後60分、120分)においては、両グループの間に血糖値とインスリン値の上昇抑制効果に差は認められなかった、とのこと。

以上の結果から研究グループは、こんにゃく粉入り粥が血糖とインスリン、両方の上昇を抑制するという初めての効果が確認できた、としています。

同時に、こんにゃく粉の食後血糖値とインスリン値の上昇を抑制する作用は、炭水化物の多い主食に混ぜると、より強く発揮される可能性が示唆された、とも報告しています。

こんにゃく粉を混ぜたお粥が血糖上昇を抑える理由としては、お粥に加えられたグルコマンナンが豊富なこんにゃく粉が胃の内容物の粘りけを高めて食物の胃内通過時間を延ばし、腸管における糖質の吸収を抑えるためと考えられる、と説明しています。

この研究で食後血糖値の抑制効果が確認された「こんにゃく粉入りお粥は」は、「とろみこんにゃく入り有機おかゆ」として、こんにゃく粉を開発したグリンリーフ株式会社の公式Webサイトから購入することができます。

高齢者は食後高血糖を起こしやすい

なお、糖尿病患者の半数を占めているのは65歳以上の高齢者です。

高齢者の糖尿病には、食後高血糖を起こしやすいものの、その症状がはっきりしたかたちでは出にくいうえに、低血糖症状についても成人の場合と現れ方(症状)が異なるなどの特徴があることがわかっています。

この点についてはこちらで詳しく書いています。是非一度読んでみてください。

糖尿病患者の約半数を高齢者が占めるなか、高齢者に特化した診療ガイドラインが作成されている。「食後の高血糖を起こしやすい」「低血糖のサインが通常と異なる」「認知機能の低下により自己管理が難しい」など、その特徴を踏まえておくことが、治療の継続には必須だ。

また、食後の血糖値の上昇を「笑い」が抑えることも研究で確認されています。

「笑うこと」がもたらす健康への効用は、がん患者の免疫力を高めるだけではない。2型糖尿病患者の食後血糖値の上昇を抑えるという効果が期待できることも、研究チームと吉本の芸人との実験で確認されている。大事なことは、とにかく笑いを日々の生活を取り込むこと。

この笑いについては、免疫力を高めることもよく知られています。

コロナ対策はもちろんのことインフルエンザなどの感染症対策として免疫力のアップは必須ですが、この場合の笑いは、横隔膜が動くような笑い方が理想です。詳しくはこちらの記事を読んでみてください。

ウイルスなどの外敵と闘い我が身を守る「免疫力」が「笑い」により強化されることはよく知られている。が、ただ笑っていればいいという話ではない。外敵にとって殺し屋として働くナチュラルキラー細胞(NK細胞)の働きを助けるには、横隔膜が動く笑いがいいという話を。

参考資料*¹: 群馬大学PRESS RELEASE 2020年7月17日

参考資料*²:グリーンリーフ株式会社Webサイト