「栄養価の高い」納豆――いつ、どう食べる?

納豆

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納豆と死亡リスクの関連を
国立がん研究センターが調査

関西人には「あのネバネバ感と何とも言えないニオイがどうもねぇ―」と、敬遠する方が少なくないと聞きます。しかし、国立がん研究センターの研究チームが発表した研究結果を聞けば、「そうも言っていられないな」と考え直す方も出てくるのではないでしょうか。何しろ「納豆を食べると死亡リスクが低下する」というのですから……。

研究チームは1995年、全国10都府県に住む40~59歳の男女約9万人を対象に、毎日の食事内容を尋ねるアンケート調査を実施。続いてこの調査結果をもとに、大豆食品や納豆のような発酵性大豆食品の摂取量に応じて対象を5グループに分け、約15年間にわたり、死亡との因果関係を追跡調査しています。

その結果、男女ともに発酵性大豆食品である納豆の摂取量が多いほど、死亡リスクが低下することを確認したというのです。

2021年2月19日、国内で初めて「日本人の健康寿命を延ばすために必要な予防行動や習慣」をまとめた提言が公表されています。
そのなかでも「大豆製品を多く摂取する」ことが推奨され、特に納豆に代表される発酵性大豆食品の重要性が指摘されています。

毎日1パックの納豆で
死亡リスクが約10%低下

味噌も醬油も発酵性大豆食品ですが、最も注目すべきは「納豆」です。死因別に納豆の摂取状況との関連を分析したところ、がんによる死亡では関連は認められなかったものの、脳卒中や心筋梗塞のような循環器疾患による死亡については、「男女とも納豆の摂取量が多いほど死亡リスクが低下することが認められた」とあります。

この結果から推して、さらに「では、納豆を食べるとして一体どのくらい食べたら言われているような効果を期待できるのかしら」と、知りたくなります。

この点については、「発酵性大豆食品を最も多く食べているグループ(1日におよそ50グラム)は、最も少ないグループと比べて、男女ともに約10%死亡率が低かった」という結果が紹介されています。発酵性大豆食品50グラムを納豆で言えば、スーパーなどで売っている1パックほどです。

研究チームは、納豆や味噌のような発酵性大豆食品は「日本特有の食品であり、日本人の長寿の要因の一つかもしれない」と考察しています。

大豆の豊富な栄養素に加え
血液サラサラと脳の活性化効果

納豆は、大豆を納豆菌によって発酵させた食品です。大豆はもともと、アミノ酸バランスのよい植物性たんぱく質が豊富なアミノ酸スコアの高い食品で、脳の働きを活発にする「ブレインフード」とも呼ばれています。

加えて、各種ビタミンやカリウム、鉄、カルシウム、マグネシウムといったミネラル類、さらには食物繊維も多く含まれている理想的な食品です。

このような大豆本来の豊富な栄養素に加え、納豆には、大豆が納豆菌によって発酵する段階で生成されるあの”ネバネバ”に、「ナットウキナーゼ」という酵素が含まれています。

このナットウキナーゼには、血栓(けっせん)、つまり血の固まりのもととなるたんぱく質を溶かして、血液をサラサラにしてくれる働きがあります。

血栓は、止血(しけつ)と言って、出血を止める場面では重要な働きをしてくれます。ところが、血管内にできた血栓が大きくなると、動脈硬化を進行させたり、血管を塞(ふさ)いでしまうリスクがあります。

具体的に言えば、血栓が血流に乗って心臓の筋肉に酸素や栄養を送り込んでいる血管に移動すれば心筋梗塞を、脳の血流に入り込めば脳卒中を引き起こす可能性があります。

このような深刻な事態を防ぐ効果を期待できることから考えると、独特なニオイやネバネバが気になっても、日本人の食卓から納豆が消えることはまずないと言っていいでしょう。

納豆は熱を加えずそのままを
朝食よりも夕食で食べる

ただ、ナットウキナーゼには「熱に弱い」という難点があります。熱が加えられると発酵が繰り返されることになります。その繰り返しが、ナットウキナーゼの栄養効果を低減させてしまうようです。

そのため、「血液サラサラ効果」を狙うなら、納豆レシピとして人気の高い「納豆オムレツ」や「納豆チャーハン」「納豆パスタ」としてではなく、手間をかけずにそのまま食べるのがいいということになります。

それと、日本人の多くが好むのは、熱々のご飯に納豆をのせて食べるスタイルでしょうが、その際には、ご飯を少し冷ましてから納豆をのせること。また、特に気温の上がるシーズンでは、冷蔵庫から出した納豆をそのまま室内に長い時間放置しておくのも避けたいものです。

ナットウキナーゼの効用を生かすには

一方で血栓についても、深夜から早朝にかけての睡眠中にできやすいことがわかっています。

ですから血栓予防を狙うなら、これから活動を始めようという朝食よりも、血栓ができやすい静かに過ごす時間帯に入る前の夕食で食べた方が、ナットウキナーゼの効用をより生かすことができると考えられています。

不足しがちなたんぱく質補給が目的なら朝食に

ただ、納豆は貴重なたんぱく源です。とかく私たち日本人は朝食を簡単に済ませる傾向にあり、たんぱく質が不足しがちですから、朝食でたんぱく質をしっかりとりたいという方には、納豆ご飯がおすすめです。

最近は料理にかけるだけでOKのフリーズドライ ひきわり納豆 もありますから、「朝はパン」という方もトーストに、あるいはサラダにかけるなどして手軽にとることができます。

なお、納豆にはマグネシウムも多く含まれているのですが、このマグネシウムが便秘解消にいいことも分かっています。詳しくはこちらをご覧ください。

納豆も食べ過ぎると
腎臓に過分な負担を強いる

納豆に期待できる栄養効果を紹介してきましたが、健康にいいからといって多くとればいいというものではありません。納豆は高たんぱく食品です。たんぱく質は食べ過ぎると、その老廃物を処理するために腎臓に過分な負担を強いるリスクがあります。

納豆に限らずたんぱく質を多くとる際には、腎機能が正常に機能していることを確認しておく必要があります。かかりつけ医に確認すれば安心でしょう。あるいは、病院などで渡される尿や血液検査の結果報告書で、「尿たんぱく」が陰性、また血液中の「尿素窒素(BUN)」や「クレアチニン(Cr)」の値がそこに示されている基準値の範囲内であれば、腎機能はまず正常に機能していると考えることができます。

ワルファリン服用中なら
納豆は禁止する

納豆を食べる際にもう一点気をつけていただきたいのは、内服薬との相性の問題です。循環器疾患で治療中の方のなかには、血液を固まりにくくして血栓が作られるのを予防する、いわゆる抗凝固阻止薬の処方を受けて常用している方も少なからずいると思います。

「ワルファリン」はその代表ですが、納豆に多く含まれるビタミンKにはそのせっかくの薬効を弱める働きがありますから、ワルファリンの処方を受けている方は、納豆は禁物です。

なお、ワルファリンの処方を受けたもののどうしても納豆を食べたい方は、かかりつけ医にその旨を話して、ワルファリンの代用薬である「ダビガトラン(商品名:プラザキサ)に薬を変えてもらうのも一法です。詳しくはこちらをご覧ください。