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交通事故死より多い
入浴時の突然死
健康で長生きする、いわゆる「健康長寿」の実現を難しくしている要因の一つに、入浴中の突然の事故死という問題があります。
これまで事故死と聞けば、とっさに頭に浮かぶのは交通事故でした。ところがここ数年は、入浴中に突然死した人の数が交通事故死した人の数を上回る状況が続いていることから、消費者庁は、高齢者を中心に注意を呼びかけています。
入浴中の急死が多いのは、家の中において「ヒートショック」が起きやすい冬場です。暖かい部屋から寒い浴室へ移動し、さらに熱い湯にいきなり入ることによって生じる急激な温度差により、血圧が大きく変動することによって起こります。
寒い日の入浴中に、このヒートショックにより脳出血や脳梗塞、心筋梗塞の発作を起こして倒れ、浴槽内で「溺死」しているところを発見されるというケースが多いようです。
入浴中溺死者の約9割が65歳以上だが若い方も
消費者庁が、厚生労働省による人口動態統計をデータ分析した結果では、入浴中の溺死者の約9割を65歳以上の高齢者が占めているとのこと。とりわけ近年は75歳以上の年齢層で目立って増加しているそうです。
とは言え若い方も、高血圧や動脈硬化ですでに治療中の方は当然ながら注意が必要です。加えて、高血圧などの診断を受けていない方でも、健診などで血圧が高めなこと、あるいは動脈硬化が進んでいることなどを指摘されている方、またそのご家族は、冬場の入浴方法や入浴環境に十分注意する必要があります。
その日のヒートショック・リスクは
「ヒートショック予報」をチェック
入浴中の事故死を防ぐ対策として消費者庁は、ホームページ上で以下の6点を挙げて、広く一般に注意を呼びかけています。
- 入浴前に脱衣所や浴室を暖めましょう
- 湯温は41℃以下、湯につかる時間は10分までを目安にしましょう
- 浴槽から急に立ち上がらないようにしましょう
- アルコールが抜けるまで、また食後すぐの入浴は控えましょう
- 精神安定剤、睡眠薬などの服用後は危険ですので注意しましょう
- 入浴する前に同居者に一声掛け、同居者は、いつもより入浴時間が長いときは入浴者に声掛けをしましょう
引用元:消費者庁News Release*¹
日本気象協会も、ヒートショックによる入浴中の事故死が増加しているのを受け、2017(平成29)年2月より、ホームページ上でその日の20時時点の「ヒートショック予報」*²を告知し、広く注意を呼びかけています。
ヒートショック予報とは、気温などの気象予測情報をもとに、家の中におけるヒートショックのリスクを、日本気象協会と東京ガスが共同で開発したノウハウを用い、全国の市区町村別に配信しているものです。そこでは屋内におけるヒートショックのリスクを、以下の5段階に分けています。
- 油断は禁物 :体調に気をつけて入浴しましょう
- 注 意 :ヒートショックに注意してください
- 警 戒 :ヒートショックに警戒が必要です
- 気温差警戒 :1日の気温差が大きくなります。ヒートショックに警戒が必要です
- 冷え込み警戒:今夜は冷え込みます。ヒートショックに警戒が必要です
入浴中のヒートショックは、
寒暖差を5℃以内に収めて防ぐ
ヒートショックを防ぐポイントは、寒暖の温度差をなくすことですが、5℃以内に収めることが理想的だと言われています。
そこでまず浴室関連ですが、シャワー給湯、つまりシャワーで浴槽にお湯をためることにより浴室全体を暖めるのも一つの方法です。このとき浴室のドアを開けたままにしておけば、脱衣所も同時に暖まり、温度差を少なく抑えることができます。
幸いなことに最近は、壁に取り付けるなど、スペースが限られた脱衣所でも安全に使えるように工夫されたヒーターのような暖房器具が各種市販されていますから、入浴前に早めにスイッチを入れておけば、浴室と脱衣所の温度差を少なくすることができますから、ヒートショック対策としては万全です。
夜中にトイレに起きる方もヒートショック対策を
なお、ヒートショックによる急死は入浴中に起こるケースが圧倒的に多いのですが、夜中にトイレに起きた際に起きることもあります。暖かい布団の中から、寒さで冷え込んだ廊下を歩いてトイレへと移動することになるわけですが、この間の寒暖差がヒートショックのリスクを高めてしまうのです。
この場合のヒートショック予防には、トイレに、また寝室からトイレまでの距離が長い場合はその廊下にも、セラミックファンヒーター のような人の動きを感知して作動するセンサー付きヒーターを設置しておけば、急激な温度差による血圧の上昇を容易に防ぐことができます。
夜中にトイレに起きる習慣のある方の寝室をトイレの近くにして、寝室からトイレに行くまでの間に体が冷えないようにするのもいいでしょう。あるいは寝室内にポータブルトイレを設置することを検討してみるのはいかがでしょうか。
なお、万が一に家族がヒートショックに陥った場合に備え、こちらをあわせてご覧ください。
参考資料*¹:消費者庁News Release 令和2年11月19日
参考資料*²:日本気象協会「ヒートショック予報」