医師とのコミュニケーションに2つの秘策

納得

医師とのコミュニケーションは
スムーズですか

元気で意識がはっきりしているうちに、人生の終末期に望む医療やケアを明確に表明しておく「事前指示書」を作るには、前もって自分の健康状態や病気、さらには予後の見通しについて正確に知っておく必要があります。

そのためには、まず自分の健康状態や病状を把握してくれている主治医やかかりつけ医(ホームドクター)とのコミュニケーション(会話・意思疎通)が欠かせません。

さらにいえば、最近の医療現場では、事前指示の考え方からさらに一歩進んで、家族や医師ら医療スタッフと自分の終末期の医療・ケアについて話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」(ACP)が行われるようになっています。

医師と何度話してもなかなかわかり合えない

この話し合いにおいて、患者と医師とのコミュニケーションがスムーズに進むかどうかが、納得のいく最期を迎えられるかどうかに大きく影響してきます。

ところが、この医師とのコミュニケーションでは、少なからずズレが生じてしまうといったことが避けられないようです。

何度話し合いを重ねても、なかなかわかり合えないことにお互いがストレスを感じ、信頼関係を損なうことにもなりかねないという困った問題があります。

そこで今日は、医師とのコミュニケーションをスムーズにするために患者として心がけておきたいこととして2つお伝えしておきたいと思います。

わからないことがあれば、
その場で遠慮なく質問を

今や医療現場では、「インフォームド・コンセント(医師による十分な説明を受けたうえでの患者の合意)」ということが積極的に行われています。

毎日の診療場面において、ほとんどの医師は、患者さんやご家族の理解が得られるように、病状や検査、治療法について、さらには予後についても、できるだけ詳しく、ていねいに説明して納得し合えるようにと心がけています。

ところが医師を取材していると、「どんなに言葉を尽くして説明をしても、患者さんにきちんとわかっていただけないことが多くて困っている」という苦言をよく耳にします。

そこで、そうなる原因を尋ねると、「患者さんはただうなづくばかりで、あまり質問してくれませんから」と答える医師が少なくありません。

予備知識を持って質問してくれるといいのだが……

患者さんに説明するときは、たとえば専門用語を極力使わないように心がけているものの、つい使ってしまうことがあるそうです。

「そんなときに理解できなかったら、すぐにその場でどういう意味かと問いただしてもらえれば、別の言葉で説明し直すこともできます」

ところが患者さん側は、軽くうなづくだけでなかなか尋ねてもらえないもの――。

「そのため話がどんどん先へ進んでしまい、結局こちらが説明したことの半分もわかってもらえなかったということも珍しくないのです」

とにかく話がわからないときは、遠慮なくその場で聞き返してもらいたい、というのが医師の言い分です。

加えて、今や情報社会ですから、病気や治療に関する情報は十分すぎるほどネット上にも各種の書誌にもあふれかえっています。

「患者さんも、ご自分の病気に関する基本的な情報は事前に調べるなりして、予備知識を持って僕らに質問してくれると、話はスムーズに進むのではないでしょうか」

医師とのコミュニケーションに、
看護師をパイプ役として活用

この場合、つまりある程度の予備知識を踏まえ上での質問のしかたについても、医師から提案があります。

ただ「わからない」「理解できない」を繰り返すだけでは、話のどの部分が、どうわかっていないのかがつかめません。

そうではなく、自分なりに今の説明をどのように理解したのかを、自分の言葉におきかえて「〇〇ということですね」と確認をとるようなかたちで聞いてほしい、とのこと。

そうすれば「ああ、この部分の説明が足りなかった」と気づくことができ、説明し直すことができる、と言います。

医師が、患者さん個々にかけられる診療時間については、「3時間待って3分診療」と揶揄されるような状況が長く続いていました。

最近はかなり改善されてきているようですが、それでも依然としてたいていの医師は、ごく限られた時間の中で患者さんに向き合わざるを得ません。

そのため患者さんとのコミュニケーションに十分な時間がとれないこともあるはすです。

看護師には話をじっくり聴いてもらえる

そのような場合は、常に患者さんのそばにいてくれる看護師を、医師とのコミュニケーションのパイプ役として、あるいはときに医師によるインフォームド・コンセントの通訳として活用してみてはいかがでしょうか。

また最近では、インフォームド・コンセントの場面に看護師が同席することが当たり前のようになっていますから、「さっきの〇〇先生の話ですが、こういうことをおっしゃっていたんですよね」などと、自分が理解したことが間違っていないかどうか看護師に確認をとってみてはいかがでしょうか。

医師との相性の悪さを感じたら

あるいは、どうも今の担当医とは相性が悪くてわかり合えない、聞きたいことも聞けないということもあるでしょう。

そんなときは、「リエゾン精神看護専門看護師」あるいは「リエゾンナース」と呼ばれる専門看護師に相談してみるのもいいかと思います。

「傾聴(けいちょう)」といって、相手の話をじっくり聴くことについてはプロの看護師ですから、話してみれば、何かいい解決策を提案してくれるはずです。

あるいは、最近増えている「看護外来」を活用するとか、「患者アドボカシー相談室」に相談してみるのもいいと思います。

「看護外来」については、こちらの記事で紹介しています。

長期にわたり医療的かかわりが必要な、いわゆる「慢性疾患患者」の増加に伴い、その療養生活について個別支援を行う「看護外来」や「看護専門外来」に注目が集まっている。そこで受けられる支援の内容、予約の手続法、かかる費用などについて概要をまとめた。

また、「患者アドボカシー相談室」については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、ご一読の上、役立てていただけたら嬉しいです。

「患者アドボカシー相談室」を設置する病院が増えている。従来の、苦情受付のような相談室とは違い、そこにいる医療メディエーターが、中立第三者の立場で患者と医療者間、ときに患者と家族間の対話を仲介して関係の修復を図り問題解決の手助けをしてくれるという。