認知症予防をインド人の食生活に学ぶ

ターメリック

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インド人に
認知症が少ない理由は?

インド人に認知症、それもアルツハイマー病(アルツハイマー型認知症)が少ないことはよく知られています。発症率がアメリカ人の約4分の1というデータもあるようです。少ない理由として、「インド人は毎食のようにカレーライスを食べているから」とよく聞くのですが、これには少々誤解があるようです。

インド人は確かにカレーをよく食べているようです。でもそのカレーは、日本人が家庭でよくつくるものやレストランなどのカレー、あるいはレトルトカレーとはちょっとどころか、かなり違います。

さまざまな種類のスパイスをあらゆる料理に使う

彼らが作るカレーは、さまざまな種類のスパイス(香辛料)を、それはもう驚くほどたっぷりと使ったスパイシーカレーなのです。しかも、そのカレーに使うスパイスを、あらゆる料理に惜しみなく使い、毎食のようにスパイシーな料理を楽しんでいる、というのがインド人の食生活の特徴と言っていいようです。

彼らにアルツハイマー病が少ない本当の理由は、実はこのスパイスたっぷりの食生活にあることが、最近の研究で確認されています。

そこで今回は、インド人が毎日の料理に好んで使う数あるスパイスのなかで、脳の栄養不足を解消して脳の萎縮を抑える効果が期待できるとして専門医たちが注目している、「クルクミン」と呼ばれる成分について書いておきたいと思います。

脳血管性認知症と
アルツハイマー病

ところで、「認知症」と呼ばれる状態を招く原因のうち、長い間日本人に圧倒的に多かったのは、脳梗塞や脳出血など脳の血管の障害が原因で起きる脳血管性認知症でした。このタイプの認知症は、脳活、つまり脳の働きを活性化させて脳内の血液循環をよくすることにより、ある程度は予防(発症を遅らせたり、進行にブレーキをかけること)が可能です。

その予防法がさまざま紹介されていることについてはすでにご承知だろうと思いますが、こちらにまとめてありますので参考にしてみてください。

哲学者のカントによれば「手は外部の脳」とのこと。手を動かすことは脳を使うことであり、脳内細胞の活性化、血流アップにつながるというわけだ。これを認知症予防に生かさない手はない。80歳でピアノを習い始めた知人の話、ぬり絵の話等々を紹介する。

日本人に増えているアルツハイマー病

脳血管性認知症とは別に、最近になり日本人に目立って増えているのが、アルツハイマー型認知症、通称アルツハイマー病です。こちらのタイプは、脳の細胞が死滅するなどして脳そのものが萎縮する、一口で言えば「脳が縮んで小さくなっていく」ことに起因する認知症です。

このアルツハイマー病には、現時点において完治が期待できる治療法はありません。そこで多くの研究者たちが、何とか予防できないものか、完治は期待できないにしても、せめて脳が萎縮していくのにブレーキをかける手立てだけでも見つけ出せないものかと、日夜研究にいそしんでいるのが現状です。

インド人が好む
「クルクミン」が脳に効く!?

研究が続けられるなかで注目を集めたのが、認知症のなかでもアルツハイマー病の発症率が際立って低いインド人の食生活、とりわけ彼らが好んで料理に使っているスパイスに多く含まれる「クルクミン」と呼ばれる成分です。

クルクミンはポリフェノール*の一種です。ビタミンCやビタミンEに負けないほどの強い抗酸化作用(有害物質を無害な物質に変える作用)と抗炎症作用、肝臓を保護する作用、さらには消化不良や関節リウマチ症状の改善効果もあることが以前から知られ、その健康効果に大きな期待が寄せられています。

*ポリフェノールとは、植物の種子や表皮、種子に含まれる色素成分。強い抗酸化作用が、体内で増加する活性酸素によって身体のさまざまな機能が錆びつくのを防ぎ、正常に機能するように働いてくれる。
肝臓がん予防に効果が期待できるとされるコーヒーポリフェノールのクロロゲン酸、高血圧の改善や動脈硬化の予防効果が期待できるチョコレートの原料であるカカオ豆に含まれるカカオポリフェノールなどがある。

クルクミンが脳の萎縮を抑える!?

アルツハイマー病予防の観点からこのクルクミンに注目し、その関連性について研究を続けているのが、金沢大学の山田正仁教授ら研究チームです(山田教授は2022年4月より国家公務員共済組合連合会 九段坂病院 院長)。

研究チームは、試験管内でアルツハイマー病の脳の病変を再現させたマウスを使い、クルクミンを加えることで脳の病変に変化があるかどうかを調べる実験を行っています。

結果は十分期待の持てるものでした。クルクミンに、アルツハイマー病の原因である脳萎縮を引き起こす「アミロイドベータ」と呼ばれるたんぱく質を脳内に溜まりにくくする作用があることが、確認できたというのです。

認知症の予防に
「ターメリック」を

クルクミンは、鮮やかな黄金色(こがねいろ)をしている「ウコン」の主成分です。ウコンは生姜の仲間で、いくつか種類があるのですが、日本でウコンと言ったらアキウコン(「秋ウコン」とも書く)のことです。

アキウコンのクルクミン含有量は他のウコンとは比べものにならないほど多く、カレーのスパイスとして欠かせない「ターメリック」は、このアキウコンから作られています。

クルクミンをたっぷりとるには、市販のルーでカレーを作る際に、ターメリックをたっぷり加えるとか、カレーだけでなく炒め物やスープ類、てんぷらやフライなどにも色付けとしてターメリックを使うといいでしょう。GABAN ターメリックパウダー を加えて炊き上げるだけでできるターメリックライスもなかなかで、我が家ではよく作ります。

クルクミンには体に吸収されにくいという難点があるのですが、脂溶性の成分ですから、油と一緒に摂取することで体内への吸収率を高めることができます。そこで、ターメリックライスの吸収を助けるためには、炊きあがってから少々のオリーブオイルをかけたり、黒コショウを振りかけていただくのがおすすめです。

意外なところでは、たくあんの色付けにターメリックが使われることもあるようです。

このようにターメリックのかたちでスパイスとしてクルクミンをとっているぶんには、健康上まず問題はないと考えていいようです。ただ、胃潰瘍や胃酸過多などで治療中の方は、かかりつけ医に相談してからにしてください。

カレーライスがアルツハイマー病の予防にいいといっても、食べ過ぎると糖質のとりすぎにつながりがちです。糖質が気になる方は、ライス抜きのカレースープにしてみてはいかがでしょうか。

認知症予防にいいからとウコンをとりすぎない

一方で、クルクミンの含有量が多いアキウコンそのものをサプリメントや健康食品のかたちで一度に多量をとりすぎたり、長期間続けてとり続けるのは要注意。胃もたれ、胃痛をはじめ、便秘や下痢を繰り返すリスクがあるのです。

二日酔いなどでウコン系のドリンク剤などをよく飲んでいて、健康への影響が気になつている方も少なくないでしょう。

思い当たるふしがある方は、日本医師会の警告メッセージをこちらで紹介していますので、安全・安心のために一度目を通しておいてください。

サプリメントの摂りすぎを警告するメッセージを、日本医師会が発信しています。特に高齢者では、医師の処方薬と併用していると、薬本来の効果が低減して病状が悪化したり、副作用が強く出ることも。栄養補給の主役は食事であることの再確認を!!

血液検査で認知症のリスクチェックを

認知症は早い段階で発見して適切な手を打てば、発症を遅らせたり、症状を軽くするかたちで予防できることがわかっています。その早い段階、アルツハイマー型認知症の一歩手前の軽度認知障害のリスクを判定できる血液検査が開発され、実用化が進んでいます。

物忘れが気になったり、ついうっかりが多くなっている方は、この血液検査の詳細をこちらで参照してください。

認知症は早い段階で発見して先手を打てば予防も期待できることがわかっている。幸い、簡単な血液検査で、アルツハイマー型認知症の前の段階である軽度認知障害のリスクを判定する検査法が開発され、実用化されている。その紹介と、認知症予防策を紹介する。

アルツハイマー病に新薬登場

なお、2023年12月20日から医療保険で治療を受けられるようになったアルツハイマー病の新薬については、こつらをご覧ください。

アルツハイマー病の新規治療薬が公的医療保険の対象薬として承認され、12月20日から治療が始まる見通しだ。病気の進行を遅らせる効果が期待できるのは魅力だが、治療を受けられる患者はかなり絞られ、治療できる医療機関にも要件がある。その辺の話をまとめた。