手足の先がいつも冷たい方は脳梗塞にご用心!!

皮の手袋

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季節にいっさい関係なく
手足の先が常に冷えている

仕事仲間のKさんは、50代前半の男性です。かねてから彼の最大の悩みは冷え性だと聞かされていました。

寒いときは、だれでも手足の先が冷たくなることがあります。これは、寒さによって血液の流れが悪くなることで起こる正常な生体反応です。そんなときは、手先や足先を軽くマッサージして血流を促してあげると、ほどなくして、冷えは改善してくるものです。

ところが彼の場合は、季節にいっさい関係なく、格別寒いわけでもないのに、常に手足の先が冷え切っているとのこと。「だから手袋や靴下を手放せない」と話してくれたときは、それほど頑固な冷え性も珍しい、それも男性が……、と驚いたものです。

「末端冷え性の人は脳梗塞になりやすい」は本当か

そんな彼と一緒に、脳神経外科の医師を取材したときのことです。その日は、「脳梗塞(のうこうそく)」がテーマでした。取材がひととおり終わり、一息ついたところで、かねてから気になっていたことを質問してみました。

「彼がかなりの冷え性、それも、いわゆる末端(まったん)冷え性のようなのですが、末端冷え性の人は脳梗塞になりやすいというのは本当でしょうか?」

医師の答えはYESでした。そして、「女性の例ですが……」と断ったうえで、ある診療体験を聞かしてくれたのです。今回はそのときの話を紹介してみたいと思います。

「冷え性」も「末端冷え性」も西洋医学の診断名ではない。したがって明確な診断基準はないが、多くの人が寒さを感じない程度の温度環境にいて、手足や腰、下半身などが冷えて、つらいと感じる場合を「冷え性」、その冷えが手足の末端に限る場合を「末端冷え性」とし、社会通念的な病名として使用されている*¹。

深刻な末端冷え性の女性が
脳梗塞発作で搬送されてきた

40代後半の女性が、仕事中に職場で脳梗塞の発作を起こして倒れ、救急搬送されてきたことがあったそうです。

付き添ってきた同僚の女性に、患者さんが倒れる前の健康状態を尋ねたところ、「病院に通院しているとは聞いていないし、薬を飲んでいる様子もありませんでした。今日も、特別変わった様子もなく、普段どおりに淡々と仕事をこなしていました」とのこと。

ところが、少しの沈黙の後、「そういえば彼女は……」と話すのを聞き、すぐに納得したそうです。その患者さんは、社内でも知らない人がいないほど深刻な冷え性だった、と――。

冷え性にもいくつかタイプがあるのですが、その方の場合は、手先や足先が極端に冷たいからと、夏でも指なしの長い手袋や厚めのハイソックスが手放せなかったほどで、「かなり深刻な末端冷え性だったと考えられます」。

手や足先の毛細血管まで温かい血液が届きにくい

末端冷え性では、もともと血液がドロドロだったり、血管の老化が年齢以上に進んで細くなっているケースが多いとのこと。結果として血液の流れがスムーズにいかなくなってくると、手や足の指先の毛細血管まで温かい血液が行き届きにくくなります。

血液は体温調節にも深く関わっていますから、まずは内臓を温めようと、からだの中心部分に血液が集まります。そのため、血液のめぐりが悪いと、からだの末端部分、つまり手先や足先が冷たくなってしまうというわけです。

同時に、血管内で血液が滞りがちになりますから、血管が詰まりやすくなって脳梗塞を起こしやすいのだ、と説明してくれたのでした。

筋肉運動により血流を促し
末端冷え性を改善する

末端冷え性の改善策として、「是非取り組んでいただきたい」と医師が勧めるのが、筋肉を使って血流アップを図るための毎日のエクササイズでした。

「特に筋肉量の多い太ももやふくらはぎの筋肉をよく動かして血流を促し、その刺激で血管を若々しく保っておくことが、末端冷え性の改善や進行を防ぐ一番の対策です」

たとえば軽いウォーキングを日課にするとか、仕事の合間や就寝前にスクワットやストレッチをする程度でも、血行がよくなります。

スクワットとは、両足を肩幅程度に広げて直立した姿勢をとり、ゆっくりと膝を曲げて腰を落とし、5秒ほどその状態を保持してから、ゆっくり膝を伸ばして立ち上がることを、一度に10回ほど繰り返す運動です。

最近は、エアバックによってふくらはぎを加圧マッサージしてくれるオムロン エアマッサージャー のような製品もあります。これでしたら、椅子やソファに座ってテレビを鑑賞したり、スマートフォンを操作したり、あるいは本を読んだりしながら、ふくらはぎの筋肉運動ができますから、活用してみてはいかがでしょうか。

温かい朝食をとり
からだを温めて血行促進を

食事の面でのアドバイスとして医師が強調したのは、朝食を抜かないこと。「インスタントやフリーズドライ食品でも結構ですから、温スープのような温かい朝食をとって、まず内臓を温めてから1日をスタートすることです」

それと、からだを温める食材としてよく勧められるのが「生姜(しょうが)」です。生姜に含まれている「ショーガオール」と呼ばれるポリフェノールに、血行を促進して冷えを改善する効果が期待できるといわれています。

スライスした生姜をたっぷりの蜂蜜に着けてあるしょうがはちみつ漬 を1本常備していると、
そのままお湯を注いでも、また紅茶に入れて生姜紅茶として飲むのも、手っ取り早くからだを温められますから、即、血行促進になります。

内臓を温めることで知られる「ヒハツ」と呼ばれるスパイスを、毎日の食事でコショウに代えて使ってみるのもおススメです。

コロナ対策に免疫力アップは必須。国民の8割が経験しているという「冷え性」は、免疫力低下の主因の1つ。そこで、内臓を「ヒハツ」というスパイス(香辛料)で温めて冷えを解消するという説を紹介する。ヒハツは漢方薬にも使われる薬草。コショウに代えて使ってみてはどうか。

喫煙者が末端冷え性なら直ちに禁煙を

冷え対策としては、「大椎(だいつい)」と呼ばれる温感のツボがある首回りや足首を温めたり、保温効果が持続する炭酸系の入浴剤(ホットタブ  [医薬部外品])などを入れた湯船にゆったり浸かったりして、からだの芯まで温まるのも大切です。

なお、取材後の雑談で、脳神経外科医の医師は、彼に、「君、たばこはやらないでしょうね」
と尋ねたうえで、彼がもじもじしていると、こんなアドバイスをしてくれました。

「喫煙は血管を収縮させ、血液の粘度を高めて、末端への血行を妨げますからね。喫煙しているなら、直ちに禁煙することです。今は医療保険で禁煙治療を受けられますから、すぐに挑戦されたらいかがですか」

毎年5月31日~6月6日は禁煙週間。今年は「受動喫煙のない社会を目指して」をテーマに全国各地でキャンペーン活動が展開される。禁煙治療は健康保険で受けられることは周知されているが、その自己負担分を助成する自治体が増えていることも紹介する。

参考資料*¹:健康長寿ネット「低体温」