禁煙治療は健康保険で受けることができます

禁煙

今年の世界禁煙デーのテーマは
「たばこの健康影響を知ろう」です

健康への影響を気にしながらも喫煙を続けている方は、毎年5月31日が世界ノータバコデー(わが国では「世界禁煙デー」)であることをご存知でしょうか。

厚生労働省は2022(令和4)年5月31日から6月6日までを禁煙週間とし、「たばこの健康影響を知ろう! ~若者への健康影響について~」をテーマと決定。

2022年4月1日から成年年齢が引き下げられたものの、喫煙に関する年齢制限は引き続き20歳以上とされていることを踏まえ、喫煙開始年齢と健康影響の因果関係について、以下の2点を中心に、若年性を中心とする広く一般にメッセージを伝える機会としています。

  1. たばこと健康に関する正しい知識の普及
  2. 公共の場・職場における受動喫煙防止対策
禁煙治療は補助薬と医療者による面接指導の両輪を基本に行われる。この補助薬として広く使用されてきた飲み薬の「チャンピックス」が、一部から発がん性物質が検出されたため出荷が2021年6月から停止されて1年になる。出荷の再開は2022年後半以降とされている。この間、ニコチンパッチやニコチンガムはあるものの、チャンピックスを使用できないことを理由に禁煙外来を休止する医療機関も出てきている。しかし、補助薬がなくても面接指導によりニコチン依存を解消することは十分可能であり、禁煙治療を諦めないでいただきたい。

医療のサポートを受けながら
健康保険で禁煙治療を

このところやや減少傾向にあるとはいえ、わが国の成人喫煙率、つまり習慣的に喫煙している人の割合は、いまだに16.7%もあるという喫煙大国です。

喫煙による健康被害は、今や医学的にも明らかにされているばかりか、その科学的根拠についてもさまざまなかたち、またさまざまな場所で盛んに喧伝されています。

にもかかわらず、そのことにあえて目を向けようとしない喫煙者、あるいはいったんは禁煙に挑戦したものの途中で挫折した喫煙者がまだまだ多いというのは残念というほかありません。

たばこのニコチンに「やめたくてもやめられない」依存性が

たばこに含まれるニコチンには、常に「依存」という問題が伴います。

依存とは、一言で言えば「やめたくても、やめられない」ということですから、自力だけで禁煙しようとしても残念ながら途中で頓挫してしまうのがおちです。

幸いなことに、私たちの国では一定の条件を満たしさえすれば、健康保険を使って医療機関の禁煙外来でサポートを受けながら禁煙治療を受けることができます。

とりわけ2020年4月からは、12週間に5回行われる禁煙治療のうちの初回と最終回は医師との対面治療ですが、それ以外の回については、スマートフォンなどによるオンラインでも受けることができるのです。

おそらく世界禁煙デーを機に改めて禁煙を決意するという方もいらっしゃるでしょう。

そんな方のために、保険診療による禁煙治療で満たすべき条件について具体的に紹介しておきたいと思います。

健康保険による禁煙治療で
満たすべき4条件とは

健康保険で禁煙治療を受けるためには、以下に示す4条件のすべてに該当し、担当医がニコチン依存症の管理が必要と認めることが必須条件です。

この条件を満たせば、12週間のうちに5回行われる禁煙治療に健康保険の「ニコチン依存症管理料」が適用されることになっています(資料:「禁煙治療のための標準手順書 第6版,2014」)。

  1. 「ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)」における得点が5点以上で、「ニコチン依存症」と診断された人
  2. 35歳以上で、喫煙による健康リスクを示す「ブリクマン指数(1日に吸うたばこの平均本数×喫煙していた年数の数式で割り出す)」が200以上の人
  3. 直ちに禁煙することを希望している人
  4. 「禁煙治療のための標準手順書」(日本循環器学会、日本肺がん学会、日本癌学会および日本呼吸器学会により作成)に基づく禁煙治療の方法について担当医から説明を受け、その内容を理解し、納得したうえで、禁煙治療を受けることを文書により同意している人

気になる保険適用後の自己負担額は?

ちなみに、健康保険が適用された場合の自己負担額は、治療に使用するニコチンパッチなど禁煙補助剤の種類や使用量などにより多少異なりますが、健康保険の自己負担割合が3割の方のなら、13,000~20,000円ですみます。

しかし、全額自己負担の場合はおおむねその3倍強の60,000円ほどになります。

なお、禁煙学会がまとめた禁煙治療に健康保険が使える禁煙外来・禁煙クリニックはコチラ*¹をご覧ください。

禁煙治療費については2020年4月より、治療の途中で挫折してしまう人を極力減らす狙いもあって、5回分の治療費(自己負担分)を初回に一括して支払うと個別に支払うよりも若干安くなる仕組みが新たに導入されている。

ニコチン依存症かどうかがわかる
スクリーニングテスト

治療費への健康保険適用に必要な上記3条件の「1」にある「ニコチン依存症のスクリーニングテスト(TDS)」は、以下の10項目の質問に「はい(1点)」「いいえ(0点)」で答えていく検査です。

全問答えたうえで、合計得点(「TDSスコア」と言います)が5点以上であれば「ニコチン依存症」と判定されるというものです。

質問に対する答えがいずれにも該当しない場合は、0点としてカウントされます。

  1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くたばこを吸ってしまったことがありましたか
  2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか
  3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、たばこがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか
  4. 禁煙したり本数を減らしたときに、次のどれかがありましたか(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重の増加)
  5. 上記の質問でうかがった症状を消すために、またたばこを吸い始めることがありましたか
  6. 重い病気にかかったときに、たばこはよくないとわかっているのに吸ってしまったことがありましたか
  7. たばこのために健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか
  8. たばこのために自分に精神的問題(いわゆる禁断症状ではなく、喫煙することによって神経質になったり不安や抑うつなどの症状が出ている状態)が起きているとわかっていても、また吸うことがありましたか
  9. 自分はたばこに依存していると感じることがありましたか
  10. たばこが吸えないような仕事やつきあいは避けることが何度かありましたか

喫煙による健康リスクがわかる
ブリクマン指数

健康保険適用条件「2」のブリクマン指数とは、喫煙による健康リスク、つまり喫煙が喫煙者自身の健康に及ぼす影響がわかる指数です。

ブリクマン指数は、「1日に吸うたばこの平均本数×喫煙していた年数」で割り出しますが、この値が高くなるほど、吸い込むたばこの煙に含まれる有害物質(ニコチン、タール、一酸化炭素、発がん物質など)による健康被害のリスクが高まると考えられています。

たばこの種類や吸い方によって、この値は微妙に違ってきますから、ブリクマン指数だけで健康リスクを正確に把握することはできませんが、一応の目安として次のように考えられています。

  • ブリクマン指数が400を超えると、肺がんの発症リスクが高くなる
  • ブリクマン指数が600を超えると、肺がんに加え肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(いわゆるCOPD)の発症リスクが高くなる
  • ブリクマン指数が1200を超えると、肺がん、慢性閉塞性肺疾患に加え喉頭がんの発症リスクも高くなる

加熱式たばこも禁煙治療の対象に

一方、加熱式たばこについても、2020年4月からは健康保険で禁煙治療が受けられるようになっています。詳しくはこちらを。

今回の診療報酬改定により、2020年4月から医療保険が使える禁煙治療の対象に、加熱式タバコが加えられた。また、12週間に5回行われる治療の初回と最終回は従来通り対面診療だが、2~4回はスマホなどによるオンライン診療も可能となった。その詳細をまとめた。

参考資料*¹:禁煙治療に健康保険が使える禁煙外来・禁煙クリニック