パルスオキシメータ使用時は「やけど」に注意

パルスオキシメータ

新型コロナウイルス陽性者の
自宅療養とパルスオキシメータ

新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出たものの、
無症状ないし、咳などの風邪を思わせる程度の症状はあるが「軽症」と診断され、
自宅で隔離、療養される方が日に日に増えています。

たとえば、1月28日の時点で、累計陽性者(いわゆる「感染者」)数が9万7571人と、
全国トップの東京都では、このうち6600人が自宅療養をしているそうです。

全国レベルでみると、2万6130人が自宅療養中とのこと(厚生労働省1月27日統計)。

そんななか、「自宅療養中に急変して亡くなった」
という、なんとも残念なニュースが、このところ何件か報告されています。

パルスオキシメータで重症化サインをキャッチ

そこで、自宅療養中の軽症者または無症候性感染者(無症状の感染者)が、
自らの重症化の兆候をいち早くキャッチできるようにして、
深刻な状態に陥るのを未然に防ごうと、さまざまな取り組みが進められています。

その1つとして、血液中の酸素飽和度や脈拍などを測定する医療機器、
「パルスオキシメータ」を貸し出す自治体が徐々に出てきているようです。

このパルスオキシメータは、今回のコロナ禍が始まる以前から、
「COPD(シーオーピーデー)」としても知られる慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん)で在宅療養をしている方などが、
セルフケアに使用していて、精度も安全性も確かなようです。

ただ、使い方を誤ると、ときにトラブルが発生することがあります。
そこで、その予防のために知っておいていただきたいことを書いておきたいと思います。

パルスオキシメータは管理医療機器で、使用には専門的な知識の下で適切に管理する必要がある。販売には、登録認証機関の医療機器認証および都道府県知事の許可が必要であることが薬機法で決められている。
最近、この認証番号のない機器が売られていることがニュースとなっている。
購入する際は、医師や看護師に相談のうえ正規なルートから購入すること。

パルスオキシメータで
血中酸素飽和度をチェック

パルスオキシメータとは、指先に洗濯ばさみのような「プローブ」と呼ばれるセンサーを装着して、血液中の酸素濃度、正確には「動脈血酸素飽和度」と脈拍を測定する装置です。

ちなみに、この酸素飽和度のことを、医師や看護師等の医療スタッフは、
「SPO₂(エスピーオーツー)」と呼んでいます。

新型コロナウイルスに感染しても、普通の風邪を思わせるような咳やのどの痛み、鼻水程度の症状であれば、一般に「軽症」と診断されます。

その場合は、重症化の要因である糖尿病などの持病がないことを確認できれば、
本人の意思を確認したうえで、「自宅療養で様子を見ましょう」となります。

新型コロナウイルス感染症重症化のサイン

ただ、自宅療養中に、当初の風邪症状に加えて、身体のだるさ、つまり倦怠感(けんたいかん)や息苦しさ、呼吸が速くなる、などの症状を自覚した場合は、
重症化のサイン*と判断し、直ちに医師の診断を受けるなど、医学的対応が必要となります。

とは言え、病気に関しては素人の一般の方が、
自覚症状の変化だけから重症化のサインだと判断することには限界があります。

そこで、パルスオキシメータを活用して動脈血酸素飽和度を測定することにより、
重症化のサインにいち早く気づけるようにしようと、
自宅療養者にパルスオキシメータを貸し出す自治体が出てきているわけです。

*厚生労働省が軽症者向けに示した「緊急性の高い13の症状」
表情・外見
・顔色が明らかに悪い
・唇が紫色になっている
・いつもと違う。様子がおかしい
息苦しさなど
・息が荒くなった(呼吸数が多くなった)
・急に息苦しくなった
・生活をしていて少し動くと息苦しい
・胸の痛みがある
・横になれない。坐らないと息ができない
・肩で息をしている
・突然(2時間以内を目安)ぜーぜーしはじめた
意識障害など
・ぼんやりしている(反応が弱い)
・もうろうとしている(呼びかけても返事がない)
・脈がとぶ。脈のリズムが乱れる感じがする

パルスオキシメータの
プローブ装着部位に低温やけど

パルスオキシメーターの取り扱い方や測定方法、酸素飽和度の値の評価については、
各自治体からパルスオキシメーターを借り受ける際に、
医師や看護師から詳しい説明があるはずです。

また、日本呼吸器学会が、一般の方や患者向けに、Q&A形式でまとめた小冊子
『よくわかるパルスオキシメーター』*²も参考になります。

たとえばこの小冊子の冒頭にある、「パルスオキシメータの基本事項」のなかに、
「プローブをずっとつけていると火傷(やけど)になりますか?」という「Q」があります。

この「Q」に対する「A」には、こう書いてあります。

「発光部直下の温度上昇は約2~3℃ですが、密着タイプのプローブを過剰にテープで固定し長時間経過した場合、低温熱傷が発生する危険があります。長時間、同じ部位に装着しない方が安全と考えられます」

低温熱傷とは、40~50℃程度のさほど高くない温度で起こる熱傷、つまり「やけど」のこと。カイロや湯たんぽの説明書などに、注意事項として、
「低温やけどに注意してください」と書いてあるのをご覧になったことがあるかと思いますが、その「低温やけど」です。

パルスオキシメータプローブの
装着部位を一定時間ごとに変える

パルスオキシメータのプローブには、手指をはさむタイプが多いようですが、
手指を差し込むタイプ、あるいは粘着テープで固定するタイプなど種々あります。

いずれのタイプでも、体を動かすと同時にプローブも動いて測定値に誤差が出ないように、
指先にしっかり密着させた状態で固定しておく必要があります。

このとき、プローブを装着した状態では、プローブ先端の発光部位(装着部位)は、
温度が2~3℃上昇するため、その熱により装着部位に低温やけどなどの皮膚トラブルが起こることがあるというわけです。

この低温やけどを防ぐには、一定時間ごとにプローブの装着部位を変える必要があります。

高熱時や皮膚の弱い方は特に注意を

装着部位を変える時間間隔としては、通常は約4時間ごととされていますが、
なかには30分程度のものもあるようです。

また、ディスポーザブルといって、使い捨てタイプのプローブもあるのですが、
このタイプでは装着時間8時間以内と、比較的長くなっています。

いずれにしても、正確を期すためにも、使用するパルスオキシメータの取り扱い説明書や添付文書を改めて確認しておくことをおすすめします。

なお、高熱時や皮膚の弱い方、末梢循環障害のある方などは、
プローブ装着部位に低温やけどなどの皮膚トラブルが発生しやすいため、
より頻繁に装着部位を変更することがすすめられています。

いずれの場合も、プローブの装着部位を変える際は、
装着していた部位の皮膚に異常がないかどうかチェックし、
異常を認めた場合は、直ちに皮膚科医の診察を受けるなど、
必要な処置を受けることをお忘れなく。

参考資料*¹:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る施設療養・自宅療養における健康観察における留意点について」

参考資料*²:日本呼吸器学会『よくわかるパルスオキシメータ』