高血圧の改善に減塩を助けるカリウムを!!

アボカド

高血圧で減塩中なのに
塩分を摂りすぎた……

脳卒中や心筋梗塞のような循環器系疾患の主因である高血圧の改善には、まず毎日の食事から摂る塩分を制限することが大切です。

ただ、かかりつけ医などからすすめられて日々減塩を心がけてはいるものの、ついコンビニなどの出来合い弁当や総菜、あるいはインスタントやレトルトといった調理済み食品を多用してしまい、図らずも塩分過多になりがちという方が少なくないと思います。

それと、「血圧が高めですから、減塩を心がけてください」などと医師から言われるような方には、押しなべて社会的にそれなりの立場にある方が多いものです。

仕事上の大切な付き合いの宴席などで、相手に減塩していることを知られたくないとの思いから、出されたものを満遍なく食べて塩分を摂りすぎてしまう、ということもあるでしょう。

そこで今日は、「塩分の多い食事をしてしまったら、どうやってその塩分をからだの外へ出すのか」、そのコツとなるカリウムの活用法について書いてみたいと思います。

適量なカリウムが
摂りすぎた塩分を追い出す

市販の弁当や総菜類はもちろんですが、外食や宴会などの席で出される料理やお酒のつまみも、味をよくするために半ば意図的に塩分多めにつくられています。

多少塩分が多い料理でも、食べる量を少なくすれば、その減らしたぶんだけ摂取する塩分量も少なくなります。

ですから、食べる量を調節すれば減塩につながることを、まずは頭に入れておきましょう。

そのうえで、腎臓が正常に機能していることが条件になりますが、「カリウム」を意識して多く摂ることをおすすめします。

カリウムは、塩分(ナトリウム)や鉄、カルシウムなどと同じ必須ミネラルの仲間です。

ミネラルは、筋肉や血液などの成分となることに加え、さまざまな生理作用にかかわり、からだの調子を整えてくれています。

なかでもカリウムは、からだの中の余分な塩分と結合して塩分の排泄を促し、減塩効果を高めて血圧を抑える働きをしてくれます。

高血圧の方に、減塩とともにカリウムをしっかり摂ることがすすめられるのはこのためです。

カリウムは、腎臓が正常に機能していれば余った分は尿中に排泄されるため、過剰に摂りすぎる心配はありません。
しかし、妊娠中であったり、腎臓病や糖尿病により腎機能低下が指摘されている方は、過剰摂取により「高カリウム血症」といって、場合によっては不整脈につながるリスクがあります。
腎機能が低下している方は、カリウムの摂り方についてあらかじめかかりつけ医などに相談しておけば安心です。

野菜に含まれるカリウムで
減塩効果を上げる方法

カリウムは、かつおなどの魚類や牛乳などの乳製品、ひじき、わかめといった海藻類にも含まれていますが、含有量が多いことで言えばやはり野菜や果物類が筆頭でしょう。

身近な野菜としては、ほうれん草や春菊、ブロッコリー、かぼちゃ、グリーンアスパラ、ミニトマト、ニラ、大豆もやし、さらにはじゃがいもなどのいも類にも多く含まれています。

1日に今より一皿増やすことを目標に、これらの食材を積極的に摂るといいでしょう。

その摂り方ですが、カリウムには、水に溶けやすいうえに加熱にも弱い性質があります。

保存・調理段階で食材に含まれるカリウムの30%ほどが失われますから、できるだけ新鮮なものをそのまま食べることをおすすめします。

あるいは、カリウムの多い野菜たっぷりの具だくさんみそ汁やスープにして、溶け出たカリウムごと摂れるようにするのもいいでしょう。

その際の味つけには、たとえば日本高血圧学会の減塩委員会が推奨する、普通タイプのだしに比べ60%も減塩してあるという味の素 お塩控えめのほんだし を使うなどして、減塩を厳守すべことは言うまでもありません。

日本高血圧学会減塩委員会が推奨する「減塩食品リスト」に関してはこちらで紹介しています。是非参考にしてください。

減塩に挑戦している人は、高血圧や高血圧関連疾患の患者だけで4300万人に及ぶと推定されている。減塩食には美味しくないイメージも強く、実際味気のなさから長続きしない。そこで日本高血圧学会は、減塩効果の期待できる食品のリストを作成し公開している。その紹介を。

カリウムを多く含む果物を
もっと毎日の食卓に

野菜類は、新鮮なものをそのままいただくのはなかなか大変です。

その点果物なら、調理なしで手軽にカリウムを摂ることができますから、栄養面でも手軽さという面でもおすすめのカリウム源です。

果物による減塩効果に関しては、2017年4月、英国の医学雑誌にとても興味深い記事が載っていました。

カリウムの豊富な生の果物を毎日食べる人はめったに食べない人に比べ、脳卒中や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)になるリスクが低くなることが調査で確認されたというものです。

食事のデザートとしてフルーツをよく摂る欧米人に比べると、日本人は生の果物を食べる習慣が少なく、世界的には最低レベルにあるといわれています。

日本人の果物摂取量は西欧人の3分の1以下

実際のところ、厚生労働省が2016年11月に実施した「国民健康・栄養調査」で明らかになった日本人の果物摂取量は、20歳以上の平均で1日約98.9gとなっています。

イタリアやイギリスなどの西欧諸国が1日300gを優に超えているのに比べると、いかに少ないかがお分かりいただけると思います。

私たち日本人は、今まで以上に意識して果物を摂るようにしたいもの。

なかでも減塩の観点からのおすすめはアボカドとバナナです。

アボカドには普通サイズの1個に相当する100gに720㎎、バナナには中くらいのサイズ1本分、およそ100gに360㎎のカリウムが含まれています。

また、保存がきく干し柿もカリウムの含有量が多く、普通サイズの1個から234㎎を摂ることができます。

これらを上手に活用して、とかくマンネリ化しがちな減塩食に花を添えつつカリウムによる減塩効果を高めながら、高血圧の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

減塩療法の新たな指標「ナトカリ比」

なお、高血圧対策を考えるうえで新たな健康指標としてこのところ注目の「ナトカリ比」は、塩分(ナトリウム)とカリウムのバランスを表すもので、減塩効果をあげるにはナトカリ比を低くすればいい、という考え方です。

詳しくはこちらを読んでみてください。

高血圧対策としての減塩療法において最近注目の指標に「ナトカリ比」がある。塩分(ナトリウム)と野菜や果物に多く含まれるカリウムはバランスが大事で、ナトリウムを減らす一方でカリウムはたっぷり摂って、ナトカリ比を下げることを目標に減塩療法を、という話をまとめた。