空気が乾く冬場のコロナ対策に加湿と換気を

食卓

本ページはプロモーションが含まれています。

スパコンによる模擬実験で
冬場の効果的なコロナ対策を

空気が乾燥するこれからのシーズンは、室内の加湿と換気が新型コロナウイルス感染対策の鍵の一つとなるようです。

理化学研究所などの研究チームがスーパーコンピューター「富岳(ふがく)」を使ったシミュレーション(模擬)実験で明らかにしているのです。

本研究チームは、世界最高の計算速度と解析能力を誇るスーパーコンピュータ―、通称スパコン「富岳」を使い、飛沫(ひまつ)の拡散状況についてシミュレーション実験を行い、新型コロナウイルスのより効果的な感染対策を探る研究を続けています。

これまで、このスパコンによるシミュレーション実験により、顔全面を盾(たて)のように覆うフェイスシールドだけでは、飛沫の約半分が顔とフェイスシールドの隙間から漏れてしまい、不織布マスクの代わりにはならないことが確認されています。

また、布マスクは不織布マスクより目が粗いために空気を通しやすく、その目の粗い分だけ透過して出ていく飛沫の量が多いことも、この実験で明らかにされています。

飛沫の拡散は湿度で違う
乾燥すると飛沫量が倍増

今回の実験では、室内の湿度に合わせたより効果的な感染対策を探ったものです。

実験では、オフィス内を想定して1.8メートルの間隔で身体的距離を保ちつつ、対面、つまり向かい合って座っている人に、一方が咳をした場合にかかる飛沫の数をシミュレーションしています。

その結果、室内の湿度が30%まで乾燥すると、口から飛び出た飛沫は急速に乾いてエアロゾル(微細な粒子)になる量が増え、そのエアロゾルが霧状になって空気中に広がりやすくなり、飛沫全体の約6%が対面する人にかかることがわかりました。

一方で、湿度を60%と90%にすると、いずれの場合も、対面の人にかかる飛沫が全体の2%前後まで抑えられることが確認されています。

これらの結果から、研究チームは、部屋を加湿すると飛沫の空気中への拡散にブレーキがかかり、新型コロナウイルスの飛沫感染防止に役立つことが裏づけられたとしています。

高湿度の環境下では
落下する飛沫量が増加

ただし、このシミュレーション実験では、90%前後の高湿度にした環境下では、乾燥して空中に拡散しやすいエアロゾルが減る分、床や机などにすぐに落下する粒の大きな飛沫が、湿度60%のときに比べ2倍以上になることが確認されています。

この場合、ウイルスを含む飛沫が落ちた場所に直に触れるなどして起こる「接触感染」のリスクがより高まることが想定されます。

この点を踏まえ、研究チームはこのように指摘しています。

「加湿器を使い40%以上、できれば60~70%を目安に室内の湿度を維持すると同時に、空気中を漂うエアロゾルを希釈する(薄める)ためには室内を定期的に換気することも重要」

なお、加湿器についてはタンク内の水が原因で加湿器肺炎を起こしやすく、特にレジオネラ症には注意が必要です。詳しくはこちらの記事を読んでみてください。

新型コロナ対策も加わり、今冬は例年以上に加湿器を使うことになりそうだ。加湿器にはいくつか種類があるが、加熱しない水を使う加湿器では、タンク内でレジオネラ属菌が増殖し、その菌で汚染されたエアロゾルを吸い込みレジオネラ症を発症するリスクがある。その予防を。

手指の衛生等、接触感染対策の励行も

さらに、室内を加湿した場合は、飛沫が落下した場所に付着している可能性があります。

このリスクを踏まえ、手が触れる場所を消毒用アルコールで拭いたり、こまめにアルコール消毒、あるいは石けんと流水で手洗いをして手指の衛生を保つといった感染対策の基本を励行すること大切だとしています。

ちなみに、新型コロナウイルスはヒトの皮膚表面上で、インフルエンザウイルスの約5倍長い9時間程度生存することを、京都府立医大の研究チームが発表しています。

一方で、市販されている80%濃度のエタノールで15秒間手指を消毒する(手指に擦り込ませる)と、皮膚表面上の新型コロナウイルスが感染力を完全に失うことも確認されています。

寒さで体を冷やすことなく
室内を換気する方法は

コロナ対策としての室内の換気方法については、スパコン「富岳」を使った研究により、より効果的な換気方法には次の2点が必須としています。

  1. 定期的(30分間に1回、数分間以上全開放)に窓を開けて外気を取り入れる
  2. 対面の廊下側、または玄関側のドアも開放して通気をよくし、室内の空気を入れ替える

この場合、窓を開けると同時にエアコンや扇風機などを稼働させて室内の空気を循環させると、より換気が進み、空気が清浄化されやすいことがわかっています。

ただし、これからの冬場は、換気のために窓を開放して冷たい外気を定期的に取り入れていたら、せっかく暖房して温めた室内が寒くなり、体が冷えて風邪をひいてしまう、さらに深刻なヒートショックを起こすことにもなりかねません。

最近は、ダイキン うるさら ルームエアコン RXシリーズ のように換気機能が付いたエアコンも出回っていますが、一般的な家庭用エアコンは、風が流れているものの室内の空気を循環させているだけで、空気の入れ替えはできません。

浴室、トイレ、台所にある換気扇の活用を

そこで、たとえば2段階で換気をするというのはどうでしょうか。

自分がいる部屋ではなく、隣り合わせた部屋や廊下の窓を開放して外気を取り入れ、その清浄化された空気を循環させることで、温かさを残しつつ換気を図る方法です。

その際には、浴室やトイレ、台所など、屋内にある換気扇、あるいは扇風機やサーキュレーターを常に回しておけば、空気が循環して換気効率を高める効果が期待できます。

30分に1回窓を全開するのではなく、窓を常時2~3㎝だけ開けておき、その窓際に暖房を置けば、室内の空気を循環させるというのも温かい空気を逃さずに換気できます。

居室の状況に合わせて工夫してみることをおすすめします。