夏に多い脳卒中、高血圧・糖尿病患者は要注意!




脱水予防

脳卒中、とりわけ脳梗塞は
6~8月に集中して起きている

介護予防や寝たきり状態、最悪の場合は死にも直結しやすいことで恐れられる脳卒中(脳血管障害)には、「冬に起きやすい」というイメージが根強くあるのではないでしょうか。

確かに「ヒートショック」ということが言われるように、「暖房の効いた部屋からいきなり冷たい外気に触れ血管が収縮して脳卒中に」といったことも少なくないのですが……。
実際には夏場こそリスクが高いことをご存知でしょうか。

厚生労働省の研究班による調査によれば、脳卒中の6割以上を占めているのは脳梗塞で、その発症は6~8月に集中していることが明らかになっています。
日本脳卒中協会が毎年5月25~31日を「脳卒中週間」として、脳卒中予防や早期受診を広く一般に呼びかけているのは、このエビデンスに基づくものです。

とりわけ今年のように、梅雨が長引いたところに、いきなり最高気温が35℃を超えるような猛暑日がやってきた酷暑のなかにあっては、高血圧で血管自体がもろくなっていたり、糖尿病により動脈硬化が進み、血管の内腔が狭くなっているような方は、いつも以上の注意が必要です。
ということで、今回はその辺の話を書いてみたいと思います。

健康長寿の実現を難しくしている要因の一つである入浴中の事故死が、交通事故死を超えて増えています。原因は、冬場の急激な温度差による血圧の変動、いわゆる「ヒートショック」です。その防止策としての入浴法や「ヒートショック予報」を紹介します。

熱中症対策の徹底と
脳卒中予防10か条の見直しを

ご承知のように、脳卒中には梗塞と出血がありますが、夏場に多発しやすいのは、脳の血管が詰まることによって起こる脳梗塞です。
その多くは、暑さで大量の汗をかいているのに水分補給が十分でないときに発症しがちです。

水分不足から、まさに熱中症の一歩手前の脱水状態に陥ると、血液はドロドロの状態となり、その血液が血管内で停滞して、血管が詰まりやすくなるのです。

このような状態を防ぐ夏場ならではの脳梗塞予防策は、熱中症対策同様、まずは「こまめな水分補給」と「就寝前にコップ一杯(200mlほど)の水を飲むこと」、そして「適度な冷房で暑さを避けること」になるでしょうか。

そのうえでの対策として、日本脳卒中協会が脳卒中予防のための知識をわかりやすくまとめた、以下の「脳卒中予防10か条」を参考に、自らの生活を見直すとともに、万が一脳卒中を疑う症状、片方の手足のしびれや麻痺、ロレツがまわらないなどを自覚した場合の救急対応を再確認しておくことをおすすめします。

  1. 手始めに 高血圧から 治しましょう
  2. 糖尿病 放っておいたら 悔い残る
  3. 不整脈 見つかり次第 すぐ受診
  4. 予防には たばこを止める 意志を持て
  5. アルコール 控えめは薬 過ぎれば毒
  6. 高すぎる コレステロールも 見逃すな
  7. お食事の 塩分・脂肪 控えめに
  8. 体力に 合った運動 続けよう
  9. 万病の 引き金になる 太りすぎ
  10. 脳卒中 起きたらすぐに 病院へ

(引用元:日本脳卒中協会

重症化しやすく、再発を繰り返す
心原性脳塞栓症

脳卒中と聞けばとっさに脳出血やくも膜下出血を思い浮かべる人が多いだろうと思います。
いずれも脳の血管が破れて起こるタイプの脳卒中です。
これらも深刻な病ですが、脳卒中のなかで最も重症例が多いのは、「心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)」だと言われています。

心原性脳塞栓症(「心原性脳梗塞」とも呼ばれる)とは、心臓にできた血液のかたまり(血栓)が動脈内を流れて脳に移動し、脳の太い血管を一気に詰まらせ(塞栓)、血流を遮断してしまうことによって起こります。

太い血管の血流が一気に途絶えると、何の前触れもなく、手足の麻痺や立てない、歩けない、ロレツが回らないなど、場合によっては意識障害までもが突然起こります。
これらの症状は重症化しやすく、しかも再発を繰り返すのが特徴とされています。

心原性脳塞栓症予防には
不整脈に気づいたらすぐ受診を

心原性脳塞栓症の原因となる血栓が心臓内にできるそもそもの原因は、不整脈です。
心房細動などの心臓疾患による脈の乱れ、つまり不整脈が続くと、心臓、とくに心房が十分に収縮しないために血液がよどみ、心房内に血栓ができやすくなります。

この血栓がはがれて血液の流れにのって全身にとぶのですが、脳の血管に引っかかって脳塞栓を起こすのが、心原性脳塞栓症です。

ですから、脳卒中予防10か条の「3」にあるように、手首の動脈を自分で触れてみて、トン、トン、トンと規則正しくリズムを踏んでいるなかに、ちょっと乱れが出るとか、健康診断で「不整脈がありますね」などと指摘されたら、すぐにかかりつけ医に相談するか、循環器内科などを受診して心電図のチェックを受けることをおすすめします。

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