フレイル予防のたんぱく質は夕食より朝食に

たんぱく質

朝食にたんぱく質を多くとる人に
フレイルが少ない可能性

高齢者を対象にした調査研究で興味深いデータを目にしました。

筋肉が落ちて体が衰えていくのを防ごうと、運動に併せて、毎日の食事でたんぱく質を多くとることを心がけている方は多いと思います。

そのたんぱく質のとりかたですが、朝食でより多くとっている人は、夕食にたんぱく質をより多くとっている人よりも、サルコペニア、さらにはその先のフレイルが少ない可能性を示すデータが確認されたというのです。

フレイルとは

ここで言う「フレイル」が、年齢とともに筋力をはじめとする体力や気力が低下した状態を指すことはすでにご承知のことと思います。

このような状態は、かつては「歳のせい」として、とかく見過ごされがちでした。

しかし、フレイルが進行すれば、日常生活に介護が必要な「要介護」の状態、さらには寝たきりの状態へとつながりやすいこともわかってきました。

そこで、フレイルの前段階とされるサルコペニアの兆候に気づいた段階、理想としてはさらにもっと前の段階から適切な手を打って、フレイルへと進む流れにブレーキをかけようという取り組みが国を挙げて進められているのです。

サルコペニアとたんぱく質

「サルコペニア」とは、全身の筋肉量が減少して筋力が低下し、たとえば握力が落ちて物をよく落としたり、歩く速度が遅くなっているような状態を指します。

筋肉は、主にたんぱく質でできています。

そこで、フレイルの前段階であるサルコペニアを予防してフレイル予防につなげるために、筋肉運動に加え、筋肉の材料となるたんぱく質の摂取量を増やそうという話になっていることはすでによくご承知のことと思います。

健康長寿を全うする条件の一つは足腰が丈夫であること。健脚を維持するには「サルコペニア」と呼ばれる筋肉量の減少による筋力低下を防ぎ、フレイルにすすめさせないことが課題となるが、そのために欠かせないのがたんぱく源、特にアミノ酸スコアの高い鶏卵を。

たんぱく質を
「いつ食べるか」が大事

そこで、たんぱく質のとり方ですが、これまでは「なにを、どのくらい食べると筋肉量の維持、増量につながり、サルコペニアやその先のフレイル予防に効果的か」といったことにエネルギーが注がれてきました。

ところがこのところの栄養学の領域では、「なにを、どのくらい食べるか」に加えて「いつ食べるか」、つまり「食べるタイミングこそが大事」という「時間栄養」の考え方が重視されるようになってきたのです。

時間栄養とは、私たちの体にセットされている体内時計が刻んでいるリズム、いわゆるサーカディアンリズム(「隔日時計」とも呼んでいる)を意識した食事をすることで、健康を維持して健康寿命を伸ばそうという考え方です。

早い話が、体のリズムや消化・吸収・代謝の時間帯を考慮して食事をしようというわけです。

研究で確認された
朝食たんぱく質の重要性

時間栄養に関する調査研究は、この5年ほどの間に急速に進んでいます。

私たちの日々の生活に応用できるエビデンスがいくつか確認され、最近ではネット上でも話題にのぼるようになっています。

その一つとして注目されているのが、「朝食たんぱく質の重要性」です。

冒頭で紹介したのは、日本人の高齢女性を対象に、朝食にたんぱく質をより多くとっているグループと、夕食にたんぱく質をより多くとっているグループについて、筋肉量や握力などを比較した調査研究の結果です。

朝食にたんぱく質をより多くとっている人は、夕食にたんぱく質をより多くとっている人よりも、筋肉量が多く、握力も高いことが確認されているのです。

サルコペニア、さらにはフレイル予防においても、朝食たんぱく質の重要性が確認されているというわけです。

不足しがちなたんぱく質を意識した朝食を

ところが、国民の健康増進を図ることを目的に毎年行われている「国民健康・栄養調査」*のデータによれば、高齢者はいうまでもなく他のどの年齢層でも、朝食におけるたんぱく質の摂取量は、昼食や夕食に比べて少ないことがわかります。

*2020(令和2)年と2021(令和3)年は新型コロナウイルス感染症の影響で調査は中止されています。

時間的に余裕のない朝食では、どうしても簡単な食事になりがちですが、早速明日の朝から、たんぱく質が不足しがちであることを意識して、魚や卵、牛乳やチーズなどの乳製品、豆腐や納豆などの大豆製品をメインにした朝食をとることをおすすめします。

朝はどうも食欲がなくてそう多くはとれないという方もいるでしょう。

そんな方は、こちらで紹介している、手軽にたんぱく質をとれる大人用粉ミルクなどを活用することも試してみてはいかがでしょうか。

在宅で要介護者を介護している家族を対象に行った調査で、48%の要介護者が低栄養の傾向にあるとの結果が報告されている。低栄養状態はフレイルに陥りやすく、栄養状態の改善は必須だ。手軽な栄養源として、良質なたんぱく源である「大人用粉ミルク」を紹介する。

参考資料:田原優「時間栄養学研究の現状と展望」『臨床栄養 February 2023』Vol.142 No.2.p178-183