少量で栄養効果の高い「イノラス」に新規格品

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少食の方に人気の
経腸栄養剤「イノラス」

十分な食事がとれないときや消化・吸収力が弱り低栄養の状態にあるようなときに用いるドリンクタイプの医療用医薬品、正確には「経腸栄養剤(けいちょうえいようざい)」は各種ありますが、その一つに「イノラス」があります。

イノラス、正確には「イノラス®配合経腸用液」は、「少量でも高たんぱく・高カロリーを補給できる」ように組成されている総合栄養剤です。

食事中に誤嚥(ごえん:飲食物や飲み込んだ唾が、誤って気道に入ってしまうこと)をして救急搬送されて以来、誤嚥性肺炎のリスクを避けようと、エンシュア・リキッドをメインにした食生活を送っている先輩がいます。

この先輩が、もともと少食だったこともあり、「1食ごとにエンシュア・リキッドを1缶(250ml)飲むのはしんどいのですが、栄養はきちんと確保したい。何かいい方法はないでしょうか」と、かかりつけ医に相談したことがあります。

そのとき提案されたのが、エンシュア・リキッドからイノラスへの切り替えでした。その話やイノラスの特徴、期待できる作用や起こり得る副作用など、詳細はこちらをご覧ください。

胃瘻や胃チューブに頼らずに最後まで自分の口で食べる選択をする患者に人気の「エンシュア・リキッド」。だが、歳を重ねるにつれ小食となり、1缶を飲み切れなくなることも珍しくない。そんな人のためにと、少量でも高たんぱく・高カロリーを補給できるイノラスを紹介する。

現存のイノラスを
飲み切れなくて困っている方に

イノラスは2019年6月に、イーエヌ大塚製薬より発売されている経腸栄養剤です。エンシュア・リキッド同様、医療用医薬品ですから、医師による処方箋があれば公的医療保険が適用され、自己負担分だけで入手できます。

先輩のようにもともと少食の方や食欲が落ちている方にとって、イノラスは少ない量で効率的に必要な栄養素やエネルギーを補給できる製品として人気が高いと聞きます。

ただ、現存のアルミパウチ入りイノラスは、1パウチの容量が187.5mlですから1回にこれだけの量を飲み切るのは容易ではありません。そこで半分だけ飲み、残りは冷蔵庫に保管して、できるだけ開封したその日のうちに飲み終えるようにしている方が多いと聞きます。

しかし、つい飲み忘れたり、24時間以内に飲み切れなかったりして、結局破棄することになってしまうことも少なくないようで、パウチを一度開封したらそのまま飲み切ることができるように、容量の少ないイノラスを求める声が数多く製造元に届いていたそうです。

小容量のイノラスは
1パウチ125mlで200kcal

こうした声に応えて製造元のイーエヌ大塚製薬は、飲み切りやすい小容量タイプのイノラスとして、1パウチ125ml入りの製品を追加し、今年(2023年)7月6日に発売しています。

イノラスは1ml当たりのカロリー(エネルギー量)が1.6Kcalですから1パウチ(125ml)で200Kcal、たんぱく質は1パウチで8gと、飲める量が少量でも十分量のエネルギーとたんぱく質がとれることになります。

またイノラスには、脂質がエネルギー源となるうえで重要な役割を果たす「カルニチン」や「コリン(細胞膜や神経組織の構成と補修に不可欠)」など、他の経腸栄養剤には含まれていない微量栄養素が配合されているのも魅力です。

この小容量タイプには、患者の好みに合わせて飲めるように、コーヒーフレーバー(味)と紅茶フレーバーの2種類が用意されています。

医師の処方により
保険適用で入手できる

新規格品のイノラスは、現存の1パウチ187.5mlのイノラス同様、医師による処方箋があれば即、公的医療保険が適用になります。

イノラスの薬価は2023年6月時点で、1.46円/mlです。1パウチ125mlですから、1パウチ182.5円となり、医療保険の自己負担分に応じて、3割なら1パウチ54.75円、2割なら36.5円、1割なら18.25円を支払えば手に入れることができます。

ただし、患者向けに用意されているイノラスの「くすりのしおり」には、「次のような方は使う前に必ず担当の医師と薬剤師に伝えてください」として、「牛乳たんぱくアレルギーがある」等、いくつか項目があげられています。

いずれにしても入手には医師の処方箋が必要ですから、かかりつけ医に「イノラスの小容量タイプを使ってみたい」と話し、あなたの状態に問題なく使えるかどうか相談してください。

牛乳アレルギーなら「エレンタール」を

なお、医療用医薬品としての経腸栄養剤のなかには、牛乳アレルギーでも飲めるものがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

胃瘻や点滴などによる人工的栄養法を嫌い、口から食べることにこだわる人は少なくない。その際はエンシュアやエネーボ等の経口可能な経腸栄養剤が頼りになる。だが、牛乳アレルギーでそれらを利用できない方には安心して摂取可能なエレンタールを紹介する。