外食・中食に広がる「スマートミール」の活用を

外食

コロナ禍で変わる食生活
加工食品の利用が増加

収束の気配がいっこうに見えない新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活、とりわけ食生活にさまざまなかたちで深刻な影響を与えています。

たとえば、新しいタイプの減塩、「かるしお」でお馴染みの国立循環器病研究センター「かるしお事業推進室」が5月15日~29日(2020年)にWeb上で実施したアンケート調査*¹によれば、「(新型コロナの)緊急事態宣言以降あなたの食生活は変わりましたか?」の問いに、回答者の8割を超える人達が「変わった」と答えています

その「変わった」内容として最も多かったのが「間食する頻度が増えた」でした。

同時に、出来合いの、持ち帰り弁当や総菜類の「テイクアウト」やデリバリーなど、加工食品の利用が「従来以上に増えた」とする回答も多くなっていました。

調理済み食品や加工食品が家庭の食卓に並ぶ、いわゆる「中食(なかしょく)」と呼ばれる食事スタイルをとる機会が増えたというわけです。

実際、コロナ禍によりテイクアウトやデリバリーに新たに取り組むレストラン等の飲食店も大幅に増え、売り上げも拡大しているようです。

コロナ禍は食生活に深刻な影響を与えている。国立循環器病研究センターの調査では、間食の回数が増えたり、外出自粛による調理済み食品の利用が増え、結果として塩分過多の傾向が伺える。無理なく美味しく食べられる減塩食に「かるしおレシピ」をすすめたい。

「健康的な食事」の普及を目指す
「スマートミール認証制度」

調理済み食品も加工食品も、最近では保存技術が急速に発達したことにより、かなり長期の保存が可能になっています。

ただ、保存期間が長くなれば、そのぶん栄養価は減少します。

また、保存性をよくするために味つけはどうしても濃くなります。

結果として、調理済み食品や加工食品の多用は、糖質や脂質、塩分の多い食事になってしまうことが避けられないでしょう。

そこで思い出していただきたいのが、2018年9月からスタートしている「スマートミール認証制度」です。

スマートミール認証制度の正式名称は、「健康的な食事・食環境」認証制度*²。

これには外食、中食(持ち帰り弁当)、給食(学食や社員食堂など)の3部門があります。

栄養バランスのとれた健康的な食事(スマートミール)を、禁煙など健康的な環境で継続して提供しているかどうか――。

この観点から、日本栄養改善学会や日本高血圧学会、日本糖尿病学会など13の団体が参加するコンソーシアム(事業共同体)*が審査し、条件に合う外食、中食、給食を提供している店や事業所を認証しているのです。

*健康な食事・食環境コンソーシアム参加13団体
日本栄養改善学会(世話役)、日本給食経営管理学会(副世話役)、日本高血圧学会、日本糖尿病学会、日本肥満学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓病学会、日本公衆衛生学会、健康経営研究会、日本健康教育学会、日本補綴歯科学会、日本産業衛生学会、日本がん予防学会(2020年8月現在)

1食で主食・主菜・副菜が揃い
栄養バランスが良く美味しい

スマートミールとは、健康づくりに役立つ栄養バランスのとれた食事、つまり「1食で主食・主菜・副菜が揃い、野菜が多く、食塩のとりすぎにも配慮した美味しい食事」を言います。

具体的には、厚生労働省の「生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安」*³等に基づき設定された①エネルギー量、②料理の組み合わせ、③食塩相当量、④野菜類の重量をはじめとする7つの基準を満たしていることが条件となります。

スマートミールの基準には「ちゃんと」と「しっかり」の2パターンがあり、それぞれの目安は次のようになっています。

なお、エネルギー量と食塩相当量の基準については、「食事摂取基準2020年版」を受けて今後見直しを行い、数年をかけて低下させていく予定となっています。

  • 「ちゃんと」は、栄養バランスを考えて「ちゃんと」食べたい女性や中高年男性向け
    1食450~650kcal未満、食塩相当量3.0g未満、野菜類140g以上
  • 「しっかり」は、栄養バランスを考え「しっかり」食べたい男性や身体活動量の高い女性向け
    1食650~850kcal(2023年度からは620~850Kcalに変更)、食塩相当量3.5g未満、野菜類140g以上

認証は、2018年9月の第1回認証以降、2022年8月までに6回実施され、2022年8月現在、全国で547事業者(外食部門107、中食部門76、給食部門364)が認証を受けています。

最寄りの外食・中食認証店舗は、スマートミールのWebサイト*⁴で検索することができます。

ウイズコロナの食卓に
スマートミール認証の中食を

スマートミール認証事業者(中食部門)のなかには、新型コロナウイルス感染拡大予防対策として、日用品など必要な買い物のついでに利用できるように、持ち帰り弁当に力を入れているところが数多く出てきているようです。

その一例が、全国どこでも入手可能なコンビニ「ファミリーマート」が販売している予約弁当の「炙り焼 鮭幕の内弁当」です。

この弁当はスマートミールの「しっかり」基準に適合し、認証されています。

主食、主菜4品、副菜4品のこの弁当は、1食当たり668Kcalで、食塩相当量2.5g、野菜重量142gが特徴です。

食べた人からは「美味しい」「減塩のお弁当とは思えなかった」「この野菜の量は嬉しい」「また食べたい」等、評価は上々とのことです。

なかには、この弁当を家庭での食事作りのヒントにして、主食と主菜、副菜が揃い、栄養バランスのとれた食事を摂るようにしている人もいるそうです。

一度試してみてはいかがでしょうか。

参考資料*¹:緊急事態宣言後の食生活に関するアンケート調査結果
参考資料*²:「健康な食事・食環境」認証制度
参考資料*³ : 生活習慣病予防その他の健康増進を目的として提供する食事の目安
参考資料*⁴:全国認証事業者一覧(あなたの街のスマートミールを探してみよう)