「ホットミルクを飲むと熟睡できる」は本当?

ホットミルク

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免疫力アップのためにも
熟睡できていますか

睡眠トラブルに悩まされている方は少なくないと思いますが、睡眠不足の状態が長引けば、1日中気分がすぐれない日が続くことになり、憂うつな気分に陥ったりしがちです。

何よりも、新型コロナウイルスやインフルエンザのような感染症から我が身を守るには、免疫力を低下させないことが必要ですが、それには睡眠をしっかりとること――。

そんな話をしていたところ、友人から、「寝る前にホットミルクを飲むと熟睡できると聞いたけど、本当かしら」と尋ねられました。

よく聞く話ですが、さて真偽のほどはどうなんでしょうか。

ホットミルクに含まれる
熟睡に導く休息・睡眠アミノ酸

ホットミルク、つまり牛乳と聞いてとっさに浮かぶ栄養素は、とりわけ女性にとっては骨の健康に欠かせないカルシウムでしょうか。

カルシウムには、イライラする気持ちを静める働きも期待できると言われています。

しかし、マグカップ一杯の牛乳に含まれるカルシウムの量はごく微量です。

むしろ牛乳の主成分はたんぱく質、それも必須アミノ酸の含有量が多く、アミノ酸スコアの高い良質なたんぱく源です。

たんぱく質を構成するアミノ酸は、約20種類あります。

そのなかには、熟睡によって「すっきり目覚める」うえで重要な役割をしているアミノ酸がいくつかあることが、最近の研究でわかっています。

グリシン、トリプトファン、L-テアニン

「グリシン」「トリプトファン」「L-セリン」「L-テアニン」といったところが、その代表で、いずれも「休息アミノ酸」とか「睡眠アミノ酸」と呼ばれています。

最近では多くのメディアが睡眠サプリメントのCMを頻繁に取り上げています。

そのCMで、これら休息・睡眠アミノ酸の名前を「聞いたことがある」という方も少なくないと思うのですが、いかがでしょうか。

牛乳にも、これら熟睡に導いてくれる休息・睡眠アミノ酸が含まれています。

ただ、たとえば寝る前にホットミルクを、マグカップに一杯、ほぼ200mlを飲んだとしても、そこに含まれるグリシンやトリプトファンなどの量は、そう多くはありません。

それだけの量では、熟睡するだけの効果は、残念ながら期待できないと考えられています。

牛乳に含まれるトリプトファンについては、たとえば夕食に摂取すると、生成されるセロトニンに気分や感情を鎮める効果が期待できることがわかっています。さらに、セロトニンは就寝前にメラトニンに変化するのですが、このメラトニンには自然な眠気を催す作用があり、寝つきがよくなり睡眠の質もよくなる効果が期待できるとされています。ただし、寝る直前に飲むホットミルクでそれだけの効果は、まずは期待できないだろうと考えられています。

ホットミルクを飲むと
からだが温まり眠くなる

では、ホットミルクが睡眠の質を改善するうえでまったく役に立たないのかというと、そうとも言い切れないようです。

実際、「毎晩、床に就く1時間ほど前にホットミルクを飲んでいるから、よく眠れている」という方も少なからずおられます。

それはおそらく、牛乳に含まれる何種類かの休息・睡眠アミノ酸による効果というよりも、温熱効果、つまりホットドリンクによりからだの内部が温まるからだろうと考えられています。

あるいは、そのホットミルクを自ら用意して、ゆっくり飲むというその時間の流れが、日中の慌ただしさから解放されるリラックスタイムとなっているから、とも考えられます。

寝る直前までパソコンやスマートフォンを操作し、ブルーライトを浴びていることに比べれば、睡眠の質はずっと上がるはずです。

このところの時間栄養学の進歩により、カルシウムの吸収効率がいいのは夕方以降であることがわかっている。したがって、就寝前のホットミルクは、睡眠効果より、むしろ骨粗鬆症予防につながる可能性があると説明されている。

ホットドリンクは
65度以下に冷まして飲む

このように考えると、牛乳に限らずホットドリンクであればからだは温まります。

また、ホットドリンクを用意する時間も、ONからOFFへのスイッチの切り替えになりますから、ホットミルク同様の効果が期待できるということになります。

この場合、レモネードでもカモミールなどのハーブティーでも、ノンカフェインであればいいわけですが、ホットドリンクの温度には特に気をつけてください。

というのは、5年余り前になりますが、WHO(世界保健機関)の外部組織でフランスに本部を置く「国際がん研究機関(通称IRAC)」が、コーヒーの発がん性を指摘する声が高まっているのを受け、次のような見解を出しているからです。

発がん性とコーヒーの関係を調べた研究で

「コーヒーの成分に発がん性の可能性を示す決定的な証拠はない。むしろ発がんの危険があるのは、ホットドリンクの温度である」

この場合のホットドリンクの温度は、65度以上とのこと。

コーヒーも65度以下の温度であれば、発がんリスクを気にする必要はない、というのがIRACの研究チームが出した見解です。

ですから、ホットミルクにしても、ホットレモネードにしても、温度には気をつけて、65度以下に冷ましてから、ゆっくり飲むようにしてください。

その目安は、マグカップの外側を触って、少し熱いが、しばらくは触っていられる程度の熱さ、といったところでしょうか。

睡眠薬や睡眠サプリメントに頼る前に

季節に関係なく、次のようなかたちで睡眠トラブルを抱えている方も少なくないのではないでしょうか。

  • からだは疲れているのに、床に就いてもなかなか寝つけない
  • 寝ても2~3時間で目が覚めてしまい、その後眠れない
  • 眠っても熟睡感が得られず、疲れがとれない
  • すっきりした気分で朝を迎えられない」

該当する方は、睡眠薬や睡眠サプリメントに頼る前に、熱すぎないホットドリンクを試しに飲んでみることをおすすめします。

GABAのリラックス効果も活用を

なお、GABA(ギャバ)と呼ばれるアミノ酸には、一時的なリラックス効果があることから、このリラックス効果を生かして睡眠の質の向上を図ろうと機能性表示食品のスピカフェが売り出されているのをご存知でしょうか。

また、このGABAは、白味噌にも豊富に含まれています。

夕食に白味噌料理を一品加えると、リラックスして床に就き、熟睡できるといった話をこちらで書いています。是非参考に。

コロナ対策には免疫力を高める食事が鍵となるが、欠かせない食材の一つに発酵食品がある。その代表格の一つ、米味噌には赤味噌と白味噌とがある。たとえば味噌汁にその健康への効用をフルに生かすには、朝食には赤味噌、夕食には白味噌がいいという話を書いてみた。

ホットドリンクはよくても「寝酒」はすすめられない

なお、アルコール入りのホットドリンク、つまり「寝酒」は、寝つきをよくしてくれるものの、心身、とくに脳の休息やリフレッシュに欠かせない深い眠りを浅くしてしまいます。

また、寝酒を長く続けていると、アルコール依存や肝障害のリスクもありますから、ホットドリンクにアルコールを入れて飲む、なんてことはやめてください。

詳しくはこちらを読んでみてください。

「ナイトキャップ」とも呼ばれる「寝酒」は寝つきをよくしてくれるが、脳の疲労回復に欠かせないノンレムの深い眠りを浅くし、アルコールの利尿作用によりトイレのために中途覚醒を余儀なくされる。加えて、アルコール依存やアルコール性肝臓障害のリスクも。

寝室に木材や木の香りを

睡眠の質を向上するための対策として本ブログでは、以下の方法も紹介しています。

新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念されるなか、いずれのウイルスにも負けないためにはしっかり睡眠をとり免疫力を高めておくことが大切。そのための寝室の環境づくりについて書いてみた。寝室は真っ暗に、騒音対策にはホワイトノイズ、そして木製の家具類を。