40歳以上の女性にできやすい「胆石」の話

肉食

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胆のう炎の原因は
胆のう内にできた胆石だった

友人の女性が「胆石性胆のう炎」で胆のうを摘出する手術を受けました。胆のう内にできた胆石が胆汁の出口をふさいでしまい、そのために胆のう内にたまった胆汁が細菌に感染して炎症を起こす病気です。

手術と言っても、開腹(かいふく)、つまりお腹を切り開いたわけではありません。腹腔鏡(ふくくうきょう)と呼ばれる内視鏡による手術でしたから、術後の回復は思った以上に早く、3日で退院し、翌週には仕事に復帰していました。

腹腔鏡手術では、腹腔鏡をお腹の中に入れるために、腹部の3~4か所に直径0.5㎜前後の小さな穴を開けます。そのため手術後は、その個所に切り傷のような跡が残り、その傷跡に多少の違和感があったものの、術後は痛みもなくスムーズに経過したそうです。

大事に至らなかったことを喜んでいいはずなのですが、退院を知らせるメールに明るさはなく、彼女はこんなふうに後悔の念を綴っていました。

「食事中や食後に右の肋骨の下のみぞおちの辺りが激しく痛むことが何回もありました。特に、油っぽいものを食べたときに決まって痛みが出ていたことを考えれば、あの痛みはおそらく胆石のサインだったのでしょう。そのことにもっと早く気づいて受診していれば、慌てて手術する必要はなかったのに……」

胆石症のリスクファクター
5つの「F」をチェック

こんなふうに彼女が悔やむのにはそれなりの理由があります。彼女は食品会社に勤務するベテランの管理栄養士だからです。

職業柄、栄養に関することはもちろんですが、病気に関する知識も豊富で、胆石が男性より女性、それも40歳以降の、油っぽいものが好きで、高脂肪・高カロリーの食事になりがちな女性にできやすいことをよく知っていました。これらの条件に、自分がピッタリ当てはまることに気づいていたとのこと……。

それなのに、受診が遅れて手術が必要な状態にまでなってしまったことを、「まさに医者の不養生と言われる状況よね」と反省しきりなのです。

彼女からのメールを読んでいて、かなり前に胆石症をテーマに消化器外科の医師を取材したときのことを思い出しました。とりわけ印象深く残っているのが、国際レベルの考え方として、「胆石症のリスクファクター(危険因子)には5つのFがある」という話です。

その「5つのF」とは、Forty(40歳代)Female(女性)Fatty(太り気味)Fair(白人)Fecund・Fortile(多産・経産婦)です。

油っぽいものが好きで
やや太り気味なら要注意

彼女は日本人ですから、5つのFのうち「Fair」は当てはまりませんが、2人のお子さんのママですから、「Fortile」、つまり経産婦であることに間違いはありません。また、「Forty」と「Female」も該当します。

残る「Fatty」、つまり太り気味かどうかについては、身長はともかく体重を聞いたことはありませんから、肥満度(BMI)*がどの程度なのかは判断しにくいところです。

*BMI(肥満度)は、体重(㎏)÷{身長(m)×身長(m)}の計算式で割り出される。この値が、「標準体重」と判断される「18.5~25未満」をオーバーするようであれば、太り気味と考えられる。

ただ、彼女との会食場面や日頃話していたことを考え合わせると、以下のような、Fattyにつながりやすい要因や胆石をつくるリスク要因は、多分に揃っていたように思います。

  • 外食では魚料理より肉料理、それも揚げ物など洋食系の油っぽいものを選ぶ
  • ビタミンCを多く含む野菜や果物類、食物繊維の多い海藻類をあまり食べない
  • 「今日は時間がなくてランチ抜きだったから」と、夕食をドカ食いすることがある
  • 「最近ウエイトオーバーだから」と、しばしばダイエットに挑戦している
  • 会社へは車で通勤しているうえに、休日などにスポーツをする習慣もない
  • 「忙しくて運動不足」が口癖になっている
  • 帰宅が遅くなり、夕食が寝る直前になってしまうことがよくある

なにしろ40歳以上の女性の10人に1人は胆石もちで、胆石をもっていてもその半数以上は「サイレントストーン」、つまり痛みなどの症状のない「沈黙の胆石」だそうです。ですから「油ものが好きだけど痛みはないから」などと安心しないことです。

上記のリスク要因のうちいくつか当てはまり、Fairを除く4つのFに該当する方は、早めの受診と、胆石を意識した食生活の見直しに直ちに取り組むことをお勧めします。

なお、受診する診療科は内科や消化器内科、もしくは外科や消化器外科ですが、右脇腹や背中に痛みがあるようなら消化器外科がいいとのことです。

胆石もちだとわかったら
食生活を見直してみる

受診して胆石があり、それがコレステロール結石となれば、結石を溶かす作用のある利胆薬(りたんやく)による内服療法や摘出手術などが行われることになります。ただ、胆石症という病気は、根治(こんち)、つまり完全に治る確率が低く、しかも再発しやすい病気ですから、常日頃からのセルフケアが欠かせません。

胆石は胆汁に含まれる成分が固まったもので、その成分として圧倒的に多いのが、コレステロールです。ですから、自分が胆石もちだとわかったら、まずは暴飲暴食にならないように、以下の3点を中心に規則正しい食生活に切り替えていく必要があります。

  1. 血液中に悪玉コレステロールを増やさないように、コレステロールの多い油っぽいもの(脂身の多い肉類、レバーやあんきもなど肉や魚の内臓など)は極力避ける
  2. 胆汁酸の排泄を促す効果が期待できる果物や野菜に含まれるビタミンCを多くとる
  3. コレステロールの体内への吸収を抑える水溶性食物繊維が多い食材(根菜類やイモ類、海藻類、果物、玄米入りご飯など)を意識してとるようにする

胆石症の管理栄養士が始めた
野菜と果物の宅配定期便

管理栄養士の彼女の場合は、手術後、手元に野菜や果物があれば否応なく野菜を食べるようになるだろうと考え、まずは野菜と果物がパックになった定期宅配便を申し込んだとのこと。

同時に、仕事などの都合でその野菜を料理する時間をとれないときは、手早くジュースにして飲めるよう、栄養分の損失を極力抑えるように配慮して作られてたスロージューサー を購入し、家族みんなで飲むことにしたそうです。

加えて彼女は、ランチ抜きになりそうなときや夕食が遅くなるときのために、通勤時に携帯しているバッグにドクターベジフル青汁 を3、4本常備するようになったそうです。

数ある青汁のなかからこの青汁を選んだ理由は、「ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富な野菜類だけでなく、良質なたんぱく質で、しかも40歳を過ぎて更年期が近い女性にはとりわけうれしいイソフラボンを豊富に含むきな粉やおからが配合されているから」とのこと。「さすが管理栄養士!!」と感服させられたものです。