終末期医療の選択に「かかりつけ医」の助言を

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「かかりつけ医」を
お持ちですか?

人生の最終段階を迎えたときに受けたい医療やケア、あるいは受けたくない医療やケアについて、自ら考えをまとめたり、事前指示書を作るなど必要な備えをしていくうえで、適切な助言をしてくれる「かかりつけ医」、いわゆるホームドクターは、何より心強い存在です。

「かかりつけ医」については、厚生労働省や医師会、さらには関連する学会などがそれぞれの立場から独自の定義を公表しています。

そこに共通しているのは「身近にいて、ふだんから診療を受けており、健康に関することは、診療科の別なくなんでも気軽に相談できる医師」、といったところでしょうか。

気軽に相談できるということは、人柄などが信頼できることにもつながります。

厚生労働省が2014(平成26)年に行った調査結果*¹を見てみると、病院の外来に通院している患者の73.3%、診療所では85.0%の通院患者が「かかりつけ医がいる」と回答しています。
思っていた以上に高率で、ちょっと驚きです。

さらに意外だったのは、「複数の病気にかかっていて、病気ごとに別のかかりつけ医から治療を受けている」と回答した患者が、「複数の病気にかかっていて、1人のかかりつけ医からすべての治療を受けている」と回答した患者を上回っていることです。

こうなると、「主治医」や「担当医」と「かかりつけ医」はどう違うのだろうか、という疑問がわいてくるのですが……。

ところであなたは、お住まいの地域に「かかりつけ医」をお持ちでしょうか。

「かかりつけ医」を選ぶポイント

先ほどの「かかりつけ医」は主治医や担当医とどう違うのかという話ですが……。

本来「かかりつけ医」は、「健康に関することは、予防も含め、診療科の別なくなんでも気軽に相談できる」という点で、主治医や担当医とは一線を画すものです。

具体的には、東京都医師会が提示している以下の5点が、あなたが選ぶ「かかりつけ医」の条件になろうかと思います。

  1. 近くにいる
    身近で気軽な相談がいつでもでき、いざというときに往診してもらうためには、まず「近いこと」が重要
  2. どんな病気でも診てもらえる
    病気かなと思ったときに、どんな病気でも真っ先に相談できる医師がいれば、病状に適した医療がスムーズに受けられる
  3. いつでも診てもらえる
    病気は24時間365日、いつでもどこでも発生する。「かかりつけ医」を基点にした地域医療機関とのネットワークがあれば、いつでも、どこでも、誰でも適切な医療を受けることができる
  4. わかりやすい説明を受けられる
    病状や治療法、検査に関する疑問に、わかりやすい言葉で丁寧に説明してもらえる。必要な生活面の支援についても、地域の医療・保健・医療機関につなぐ役割を果たしてもらえる
  5. 必要なときにふさわしい病院や専門医を紹介してもらえる
    「かかりつけ医」は高度な診療機能を持つ専門病院や専門医と密に連携しており、必要に応じてふさわしい医療機関や医師を紹介してもらえる

(引用元:東京都医師会ホームページ「かかりつけ医とは」*²)

「かかりつけ医」とは、
相性も大切です

全国の内科医約15,000名でつくる日本臨床内科医会は、「かかりつけ医」が多く参加する団体として、『かかりつけ医宣言』を表明しています。

そのなかには、こんな項目があります。

「高齢者特有の病態を理解し、患者さんの生きがいを考慮して診療にあたり、人生の最終段階までを支えます」

(引用元:かかりつけ医宣言*³)

ここにある「人生の最終段階までを支える」ということは、「看取りまで支えてもらえる」と解釈していいでしょう。

それは、たとえば自宅で療養していて容態が悪化したり急変したりしたときは、往診(訪問診療)してもらうことができ、仮に本人が在宅死を希望するなら、そのまま看取ってもらえるということだろうと思います。

あるいは、在宅療養中に異変があれば、入院して最期のときまで可能な限りの医療やケアを受けたいと希望する方もいるでしょう。

そのような場合は、「かかりつけ医」の地域ネットワークにより、その時の病状に即した最適な入院治療が受けられる病院を紹介してもらうこともできます。

このような場合、かかりつけ医の紹介状があるとないとでは、医療費が違ってくるという話をこちらで書いています。ご確認を!!

かかりつけ医を持つメリットは多々あるが、とりわけ見逃せないのは高度専門医療が必要になったときに紹介状を発行してもらえること。この紹介状があると、大病院の初診や再診に必要な「選定療養費」(自費扱い)が不要なうえに、受診がスムーズになること。

かかりつけ医を早めに決めておく

いずれの場合も、「かかりつけ医」とは長いつきあいになります。

自分の看取りまでを託すことになるでしょうから、当然ながら24時間オンコール、つまり連絡を入れればいつでも、すぐに訪問してもらえることが条件になるでしょう。

また、かかりつけ医と途中で気まずい関係になってしまっては元も子もありません。

この点は特に大事で、かかりつけ医を選ぶに際しては、お互いに相性が合うことも大切な条件となってきます。

こういったことを踏まえながら、自分のかかりつけ医をできる限り早めに決めておき、事前指示書の作成にも適切な助言を得ておくことをおすすめします。

なお、かかりつけ医をもつメリットについてこちらの記事にまとめましたので、読んでみてください。

かかりつけ医については「専門医より下」と受け止める傾向があるようですが、これは誤解です。医療の専門分化が進めば進むほど患者を総合的に診ることのできるかかりつけ医の役割は大きく、期待も高まっています。その主なメリットをまとめてみました。

参考資料*¹:*「2014年度診療報酬改定の結果検証に係る特別調査」の「明細書の無料発行の実施状況」調査概要(速報)による

引用・参考資料*²:東京都医師会ホームページ「かかりつけ医とは」

引用・参考資料*³:かかりつけ医宣言