寝起きや睡眠中の腰痛は「腰枕」で解消する

寝具と腰痛

寝起きに腰が痛くて
なかなか起き上がれない?

腰痛は、日本人のおよそ8割が、生涯に一度は経験するといわれています。

その多くが、職場における業務内容、とりわけ作業姿勢などによって起きていることは、厚生労働省が「職場における腰痛予防対策指針」をまとめ、企業サイドに予防の徹底を求めていることからも伺い知ることができます。

その一方で、「勤務中はほとんど気にならないのに、朝になって目が覚めると、腰が痛くて起き上がれないことがよくある」といった声も多く耳にします。

このような声のなかには、「寝て起きたときの激しい腰痛で朝から憂うつな気分になり、日中もその重い気持ちを引きずってしまう」とか、「寝起きだけでなく睡眠中も腰が痛くて目が覚めてしまい、熟睡できない日が続いている」というように、腰痛が睡眠を妨げているケースも少なからずあるようです。あなたはいかがでしょうか。

なお、腰痛の中には原因疾患を特定できるものがあり、その治療抜きに痛みの軽減は難しいケースもあります。詳しくはこちらを。

成人の5人に1人は腰痛もちだと聞く。その数を3000万人と推計する統計もあり、巷にはさまざまに情報が飛び交っている。が、なかには背景に深刻な疾患がある場合も少なくない。素人判断で痛みを緩和するだけでなく、整形外科医の診察が必要な危険信号を紹介する。

敷き布団が自然な寝返りを妨げて
寝起きの腰痛を引き起こす

日中は問題ないのに朝目覚めて起き上がろうとしたときに腰に痛みを感じるということが何日か続くと、おそらく多くの人は「敷いているマットレス(布団)が自分のからだに合っていないからではないか」と、考えるのではないでしょうか。

何しろ私たちは、多少の個人差はあるものの、おおむね1日の4分の1以上に相当する長い時間を睡眠に当てています。この睡眠中、ずっと同じ姿勢でいる人はまずいないでしょう。
少ない人でも、一晩に20回は寝返りを打っているといわれています。

寝返りを打つことにより、睡眠中にからだにかかる重力を分散させて、一カ所に負担が集中するのを防いでいるわけです。同時に、ときどき寝返りをしてからだを動かすことには、血液やリンパのめぐりをよくして、痛みの元となる疲労物質が溜まるのを防ぐ効果もあります。

からだを点で支えて体圧を分散させ腰痛を防ぐ

ところが、睡眠中にからだの下に敷いている布団やマットレスが、反発力の低い、いわゆる「低反発」タイプだったりすると、軟らかすぎて睡眠中のからだが安定しません。
不安定でからだが落ち着かないうえに、腰からお尻の部分がその重みで沈み込み、自然な寝返りを打ちにくくなります。

その結果、からだにかかる圧力(体圧)が沈みがちな腰回りに集中して、血液やリンパの流れが滞りがちになりますから、自ずとそこに疲労物質がたまり、朝目覚めた時に腰痛を自覚するようになってくるわけです。

その点、高反発タイプの敷布団やマットレスには、腰からお尻の部分が沈み込みにくく、睡眠中の自然な寝返りを妨げないといったメリットがあります。
結果として、睡眠中や寝起きの腰痛につながりにくいと考えていいでしょう。

最近は、【エアキューブ】 特殊立体凹凸構造マットレス のような、マットレスの硬さを、自然な寝返りが打ちやすいように調整してあるうえに、マットレスの表面が凹凸の立体構造になっていて、からだを面ではなく点で支えることにより、体圧が分散されるように設計されたマットレスもあります。
このタイプのマットレスなら、睡眠中に腰回りに集中して負担がかかる心配がなくなります。
しかも、点の刺激が血行やリンパの流れを促して疲労物質も溜まりにくくなり、結果、寝起きの腰痛を防いでくれます。

マットレスの上に腰枕を置き
無理のない姿勢で眠る

睡眠中や寝起きに襲われる腰痛の原因が敷いているマットレス(あるいは布団)にあることがわかっても、マットレス類は比較的高価なものですから、おいそれと買い替えるというわけにもいきません。また、マットレスを取り替えるにしても、使い古しを粗大ごみに出すなど、廃棄する手間も結構厄介です。

そのため「まあ、しばらくはこのままでいいや」となりがちなのですが、簡単に諦めないでください。最近では、体圧を分散して自然な寝返りを助けてくれる腰マクラ が開発され、比較的手頃な値段で手に入るようになっています。

ご承知のように、私たちのからだの支柱である脊椎(背骨)を横から見ると、頸椎と腰椎、つまり首回りと腰回りの部分が前方にカーブし、胸椎がやや後方にカーブして、全体としてS字状になっています。
このカーブに乱れが生じると、体圧のかかり方が不均衡になり、からだの一部分、とくに腰回り部分に過剰な負担がかかってしまい、睡眠中や寝起きの腰痛につながりかねません。

そこで、マットレスに横になったときに隙間ができ、からだの重みで沈んで過分な負担がかかりやすい腰の部分に、低反発の柔らかい腰枕を入れてサポートしてあげるわけです。
これにより脊椎の自然なS字状のカーブが保たれることになり、無理のない姿勢で眠り、自然な寝返りも打てるようになります。

置くだけでは不安定という方は腰回りに巻くタイプの腰枕を

なお、腰枕には、マットレスの上に置くタイプとは別に、お医者さんのふんわり腰まくらのような、ベルト状になっていて腰回りに巻くタイプのものもあります。
自分は寝返りが激しく、腰枕をマットレスの上に置くタイプは不安定で心もとないという方もいるでしょうから、そんな方は、この腰回りに巻くタイプのものを選べば、落ち着いて眠ることができるのではないでしょうか。

なお、睡眠中の腰痛軽減効果が期待できるとしてあの日野原重明医師も、生前ずっと習慣にしておられたと聞く「うつぶせ寝」については、こちらの記事を参照してみてください。

健康長寿の方はよく寝ていると言われます。105歳で亡くなられた日野原医師も、睡眠の「時間より質」の大切さを説き、熟睡できる「うつぶせ寝」を自ら体験し、その生理的効果を広くアピールされていました。今回はその紹介を……。