認知症予防に利き手と反対の手で塗り絵を

大人の塗り絵

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認知症の予防は
知的活動で脳血流をアップ

「ついうっかり」や「もの忘れ」は、加齢に伴うごくありふれた現象の一つです。明らかに認知症の兆候とは断定できないものの、あまりに頻繁に起きるようになってくると、つい認知症のことが心配になり、その予防を真剣に考えてしまいます。

「記憶力の低下」という症状に象徴される認知症は、大きく脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症(アルツハイマー病)の二つに分けられることはよく知られています。

このうち、個人の日々の努力によって予防が期待できるのは前者のタイプ。つまり、脳の血管が詰まったり、破れたりして起こる脳内の血流不足から、脳細胞の働きが悪くなったり一部の脳細胞が死滅することによって起こる認知症です。

このタイプの認知症を防ぐ方法としては、運動やある種の食材によって脳内の血流アップをはかるなど、巷では実にさまざまな方法が紹介されています。いずれの方法もそれなりの効果は期待できるようです。

ただ、認知症の予防法について、その道の専門家たちが何にも増して重要視し、口にするのは「知的活動」のようです。

そこで今日は、この知的活動の一つとして、普段よく使う利き手ではなく、使い慣れていないほうの手で大人の塗り絵をして脳の血流を促し、認知症を発症しにくくするという話を書いてみたいと思います。

習慣化していない知的活動で
脳を刺激して認知力アップ

知的活動は、ちょっとした時間さえあればすぐにできるというメリットがあります。本や新聞を読む、日記やブログを書くといったことから始まり、クロスワードパズルや数独(すうどく)といったごく身近なゲーム――。

それと、ピアノなどの楽器演奏や料理、農作業なども、手先と頭を同時に使いますから、脳内の血流アップが期待できる知的活動です。

ただしせっかくの知的活動も、普段やり慣れて習慣化してしまっているようなものでは、頭をそれほど使わなくても流れ作業的に問題なくできてしまいます。

私たちの脳は、刺激すればするほど血流がアップし、そのぶん新しい神経ネットワークが形成されるというしくみになっています。そのため、同じ知的活動でも、普段やり慣れていないことで脳を適度に混乱させるくらいのほうが、認知力アップにつながるというわけです。

パソコンの入力も
利き手でない手でやってみる

このメカニズムを生かして認知症の予防効果をより高めようと、普段やり慣れている知的活動を利き手ではなく反対の手を多く使って行うことをすすめているのが、日本認知症予防学会の初代理事長、浦上克哉医師(鳥取大学医学部教授)です。

毎日の生活のなかで、たとえばドアの鍵の開け閉めを利き手でないほうの手でやってみたり、歯みがきを、またパソコンやスマートフォンに文字を入力する際も、意識していつも使わないほうの手で打ってみる――。

すると、普段あまり働いていない部分の脳細胞が活性を得て脳血流がアップし、結果、脳機能が活性化するというのです。

哲学者のカントによれば「手は外部の脳」とのこと。手を動かすことは脳を使うことであり、脳内細胞の活性化、血流アップにつながるというわけだ。これを認知症予防に生かさない手はない。80歳でピアノを習い始めた知人の話、ぬり絵の話等々を紹介する。

利き手ではない手で
ぬり絵をして認知症を防ぐ

認知症が気になってくる年代の大人が、普段やり慣れていない知的活動の一つに「塗り絵」があります。この塗り絵を、利き手ではないほうの手を使って行えば、脳の血流をより効果的にアップさせることができるのではないだろうか――。

こう考えついたのは、浦上医師と同じ日本認知症予防学会の会員で、北九州市で病院長を務める西野憲史医師です。

早速、20~90代の成人男女を対象に、脳の血流量を測定できる機器を装着した状態で、利き手でないほうの手を使い、無地の紙に色を塗る作業と、花が描いてある紙に塗り絵をする作業をしてもらい、作業中の脳血流量を比較する研究を行っています。

結果は、事前の予想どおりのものでした。無地の紙に色を塗るだけの作業では脳の血流量に変化がなかったのに対し、花が描いてある紙に塗り絵をしていく作業では、脳血流量が明らかにアップすることが確認できたそうです。

このような結果について西野医師は、「描かれている下絵からはみ出さないように神経を働かせながら」、「色バランスもあれこれ考えてイメージし、塗る色を慎重に選びながら」、「普段使い慣れていない手を動かす」という作業が、脳細胞を活性化させて脳血流量を高めることにつながったと考えられる、と説明しています。

小林弘幸医師考案の塗り絵本がお勧め

幸い最近は、数多くの大人用塗り絵本が市販されています。そのなかで我が家で愛用しているのは、自律神経の研究者として、テレビでもおなじみの小林弘幸医師(順天堂大学大学院教授)が考案した『自律神経を整えるぬり絵』や『自律神経を整えるぬり絵 日本の二十四節気をぬる』(いずれもアスコム)です。

日本に伝統的な和柄や和風パターンのイラストが気持ちを落ち着かせてくれます。結果として塗り絵に集中できますから、脳の血流量を高める効果はバツグンで、紛れもなく認知機能のアップにつながっていると感じています。

また、色鉛筆は、色の選択で頭を使うにはたくさんの色が揃っていたほうがいいと考え、我が家ではちょっと奮発して、100色揃ったホルベイン 色鉛筆 100色 セット を使っています。

「これがいいかしら、こっちかしら」と迷いながら色を決めていくプロセスが、結果的に脳の活性化につながっているような気がしています。

ぬり絵で物足りない方は自分で絵を描く「臨床美術」を

ぬり絵では物足りないという方もいるでしょう。そんな方には、脳の活性化効果が期待できる「臨床美術」に挑戦してみるのも一法です。

「臨床美術」をご存知でしょうか。絵を上手に描いたり、オブジェなどを上手に作るのではなく、自らの感性を働かせて個性を表現する創作活動に集中する時間が脳を活性化させ、認知症の予防や症状の改善につながるとして人気が高まりつつあると聞き、調べてみた。

ここで紹介した方法以外にも、認知症の予防効果を期待できる方法はさまざまあります。その中のいくつかをこちらで紹介していますので、チェックしてみたください。

毎年6月14日は「認知症予防の日」。予防といっても「認知症にならない」方法はないが、認知症の発症を遅らせたり、仮に認知症になっても進行を緩やかにする方法はすでにかなり確認されている。多々あるなかから、日々の生活に無理なくできる方法を紹介する。

認知症を疑ったらセルフチェックを

なお、「最近、どうも頭がすっきりしない。認知症ではないだろうか」と感じるようなことがあれば、早期発見のきっかけとして、各自治体が開設してい「認知症簡易チェックサイト」でセルフチェックをしてみてはいかがでしょうか。

認知症は、残念ながら現時点でこれといった特効薬はない。しかし、早い時期にそのサインに気づき適切な対応をとれば、病気の進行を遅らせることができる場合もある。その早期発見のきっかけに、多くの自治体が導入している「認知症簡易チェックサイト」を紹介する。

血液検査で認知症予備群のリスクチェックができます

認知症は、物忘れが気になりだすような早い段階で発見してそれなりの手を打てば、予防つまり発症を遅らせたり、症状を和らげることができることがわかっています。

その早い段階、認知症予備群とされる軽度認知障害のリスクを判定できる血液検査が開発され、実用化が進んでいます。詳しくはこちらを。

認知症は早い段階で発見して先手を打てば予防も期待できることがわかっている。幸い、簡単な血液検査で、アルツハイマー型認知症の前の段階である軽度認知障害のリスクを判定する検査法が開発され、実用化されている。その紹介と、認知症予防策を紹介する。