貧血症状の改善に鉄分を効率よく摂る方法

赤身のマグロ

鉄分不足による酸欠状態で
貧血症状を自覚する

ミネラルの1つである「鉄分(Fe)」は、体内では赤血球のヘモグロビンの成分として、全身の細胞に酸素を送り届けるというとても重要な働きをしています。

体内でこの鉄分が不足すると、からだのすみずみまで酸素を送り届けることができなくなり、からだのあちこちに酸欠による不具合が生じてきます。

その不具合を、「わけもなく疲れやすい」「からだがだるい」「階段を昇ったりちょっと速足で歩いたりすると動悸や息切れがする」「頭が重く、気分もスッキリしない」といった貧血を思わせる症状として自覚するようになってきます。

そこで、かかりつけ医に相談して、血液検査で「赤血球の数」や「ヘモグロビン濃度」などを調べてもらうことになります。

その結果、いずれの値も基準値を少し下回っていると、「年齢から考えて、治療を必要とするほどの貧血ではありません」となり、「ただし進行しないように、食事に少し気を使いながら経過を見ていきましょう」と言われたりすることが、特に高齢者では多いようです。

高齢者の鉄分不足は
消化吸収力の低下や食の細さから

なぜなら、高齢になると胃腸の働きが徐々に低下して消化吸収能力が落ちてくることに加え、運動不足により消費するエネルギー量が減ってきます。

そのため、若い頃のように「お腹がすく」ことがあまりなく、どうしても食が細くなります。

しかも、あっさりしたものを好んで食べるようになりがちです。

人によっては歯のトラブルを抱えているために、簡単に飲み込めるものだけ口にするということもあるでしょう。

また、1人暮らしですと、食事の用意をするのが億劫になり、たびたび欠食するという方も珍しくないでしょう。

毎日の規則正しい食事で
鉄分をしっかり補給する

このような食生活を続けていると、からだの中で鉄不足に陥り、貧血様の症状を自覚することにもなりがちです。

以下の4点に留意して、毎日の食事から鉄分を効率的に補っていくことをおすすめします。

  1. 鉄分を多く含む食品を毎日摂取する
    鉄分には、レバーなど赤身の肉類やマグロなどの魚類に多く含まれる比較的吸収されやすい「ヘム鉄」とホウレン草や春菊、椎茸などの野菜類やヒジキ、きくらげなどの海藻類に多く含まれるものの、比較的吸収されにくい「非ヘム鉄」とがある。できれば吸収率の高いヘム鉄を多く含む食品を積極的に摂るようにする。
  2. 食品中の鉄分の吸収率を高める
    ビタミンCを多く含む食品(ブロッコリー、ピーマン、パセリ、キャベツなど)を一緒に摂るようにする。
    また、鉄分の吸収率を高めるうえで必要な胃酸の分泌をよくするためには、低塩分の梅干しや酢、レモンなどの柑橘類を食品と組み合わせて多用すると同時に、よく噛んで、ゆっくり食べることをこころがける。
  3. 鉄分の吸収を阻害する食品・飲料を控える
    ハムやソーセージ、ちくわやはんぺんのような魚肉の練り製品に代表される加工食品、清涼飲料水、スナック菓子類などに添加物として使われているリン酸塩は鉄の吸収を阻害する。また緑茶、紅茶、コーヒーなどに含まれるタンニンは鉄と結合して鉄の吸収を悪くするため、食事中や食直後に飲むのは控える。
  4. 栄養的にバランスのとれた食事を
    鉄分の多い食品だけでなく、いくつかの食品を組み合わせて1日3食、規則正しく摂ることをこころがける。特に、赤血球を作るうえで欠かせないビタミンB12を多く含む牡蠣やしじみ、はまぐりなどの貝類や葉酸を多く含む緑黄色野菜、ヘモグロビンの生成に必要な銅を多く含むナッツ類や大豆製品をコンスタントに摂り続ける。

鉄製調理器具の活用も

鉄分の多い食事を心がけていても、食が細くなっている場合は、食事からの鉄分補給だけでは十分ではないことも少なくないでしょう。

そのようなときは、ビタミン・鉄分強化米カゴメ 野菜一日これ一本 鉄分 ウイダー inゼリー マルチミネラル あるいは雪印メグミルク 1日分の鉄分のむヨーグルトのような鉄分を補強してある食品を活用してみるのも一法でしょう。

食べられる量が少なく、栄養バランスのためとは言え、あれもこれも摂るのは難しいという場合は、天然のビール酵母が主成分で必須アミノ酸やビタミン、ミネラルが豊富なエビオス錠を飲むのもいいようです。

エビオス錠に関心のある方は『エビオス錠で低栄養によるフレイルを防ぐ』を参考にしてみてください。

また、鉄のフライパンや鉄の鍋など、鉄製の調理器具を使って加熱料理を行うと、料理中にフライパンや鍋の鉄がわずかながら溶け出して食材に染み込み、料理自体の鉄分が増えて摂取量を増やせる効果を期待できます。

この場合は手軽にできる炒め料理より、時間をかけてコトコト煮込むタイプの料理や煮ながら食べる鍋料理などのほうが、料理にかかる時間が長いぶん溶け出す鉄の量も増えますから、摂れる鉄分量もアップします。

また、使う調味料も甘みを出す糖分系よりも酸味や塩味が鉄分量を増やすようです。

女性に多い貧血や、その予備軍である「かくれ貧血」の改善には食事からの鉄分補給が欠かせない。その際、鉄製の鍋やフライパンを使って調理すると、溶けだした鉄分が食材に染み込むため、鉄分補給になると言われている。そのエビデンスを1本の研究論文に見つけた。

食事管理アプリも活用して

ただし、鉄分を摂りすぎたり、鉄分だけに片寄った食事を続けていると、新たな健康問題につながりかねませんので注意が必要です。

幸い最近は、食事の写真を撮影しておくだけでカロリーはもちろん栄養バランスも簡単にチェックできる食事管理アプリがありますから、お好みのものをダウンロードして、定期的に食事内容の栄養バランスをチェックしてみることをおすすめします。