高血圧なら熱中症リスクが高い日も塩分制限を

水分補給

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高血圧で減塩中の方は
熱中症予防の塩分摂取は?

環境省は4月26日(2023年)から、熱中症警戒アラート(熱中症の危険性が極めて高いと予測された場合に発表される)の運用をスタートしています。

「えっ、もう熱中症なの?」といった声が聞えてきそうですが、このところのように気温が上がると、体が暑さに慣れていないだけに熱中症のリスクは最も高まるとして、予防に向けた注意を促しています。

熱中症になるリスクが最も高いのは高齢者です。

歳を重ねるにつれ、体温調節機能がうまく働かなくなってくることが原因です。

日本救急医学会の統計によると、2021年に熱中症で救急搬送された方の56.3%は高齢者とのことです。

そこで、身近に高齢の方がいたりすると「水分をこまめに補給するように」「塩分を摂るように」と繰り返し声を掛けるようになります。

熱中症を予防しようと、水分や塩分の摂取を心がけるのは大切なことです。

ただ、この声掛けに、「実は困っている」という方がいます。

かかりつけ医から高血圧を指摘され、「このままでは脳卒中や心臓病につながる危険があるから」と減塩食を続けている仕事上の大先輩、K氏(72歳)です。

日本高血圧学会のHPに
減塩委員会からメッセージ

K氏が高血圧の診断を受けて、そろそろ2年になります。

仕事上のつき合いで外食になることも多く、とかく塩分を摂りすぎる食生活でした。

医師のアドバイスを受けてそんな生活を改め、1日の塩分を6g未満に抑えようと、毎日の食事で減塩に挑戦しています。

そんななか、このところの急な暑さから汗をかくことが多くなり、脱水症から熱中症になるリスクを考え、水分をいつもよりやや多めに摂るようにしているとのこと。

「水分を増やしているぶんだけ、塩分制限も少し緩めた方がいいのではないかと思うのだが、どうだろうか」と相談の電話が入りました。

何しろ仕事で大変お世話になった方だけに、「かかりつけ医に相談したら」とむげに突き放すわけにもいきません。

幸いちょっとひらめいたこともあり、「調べてみますから少し時間をいただけませんか」と断ったうえで、いったん電話を切りました。

確か、日本高血圧学会のホームページに、熱中症の予防に関して高血圧の患者に呼びかける情報があったことを思い出したからです。

夏でも高血圧の方は
食塩を6g未満に制限を

早速、日本高血圧学会のホームページにアクセスし、「一般のみなさま向け情報」へと進んでいくと、やはりありました。

日本高血圧学会減塩委員会による「さあ、減塩! 」と題するコーナーのなかに、「夏の日常生活における水分と塩分の摂取について:熱中症予防と高血圧管理の観点から」と銘打った記述があります*¹。

そこでは、「水分は夏には多く摂ることが望まれます」として、汗をかくなど皮膚からの不感蒸泄によって脱水状態に陥り、その分熱中症の危険性も高まるため、血圧が正常か高血圧かに関係なく、水分は十分に摂るようにと促しています。

一方、塩分については、次のように記されています。

食塩(ナトリウム)は高血圧の人は夏でも制限することが望まれます
夏は発汗により塩分(ここではナトリウムのことを「塩分」と記載します)やカリウムなどのミネラルがいくらか失われますが,日本人の食塩摂取量は平均1日10g程度と多く,必要量をはるかに超えています。
高血圧の人は,原則として夏でも適切な減塩が必要で,1日6g未満が望まれます。

(引用元:日本高血圧学会ホームページ*¹)

発汗が多いときは経口補水液で水分と塩分補給を

このように、基本として塩分制限はいつもどおり続ける必要があるとしています。

そのうえで、これからの季節に多い高温多湿の環境下、スポーツ等で大量に汗をかいた場合は、汗と一緒にからだから多少の塩分も失われることに配慮するよう注意を促しています。

発汗が多い場合には,水分とともに少量の塩分を補給することが望まれます
高温環境下での作業や運動などでとくに発汗が多い場合には,水分だけを補給すると血液のナトリウムやカリウムが低くなることがあります。
その場合は,水分とともにスポーツ飲料や経口補水液などで塩分・ミネラルを補給することが勧められますが,スポーツ飲料で補給の際には糖分の摂り過ぎに注意が必要となる場合があります。
なお,通常の食事を摂っている方は,意識的に塩分摂取を増やす必要はありません。日頃から減塩を心がけている方や高血圧などで薬を服用中の方は,適切な水分と塩分補給についてかかりつけの先生にご相談下さい。

(引用元:日本高血圧学会ホームページ*¹)

在宅療養中の高血圧の方は
室内環境も熱中症対策を

そもそも熱中症は、猛烈な暑さのなかに身を置くことにより、体温が急速に上がることによって起こります。

体内の水分や塩分のバランスが崩れたり、体温の調節機能がうまく働かず体内に熱がこもってしまうために、けいれんや激しい頭痛といった症状が引き起こされ、最悪、いのちを失うことにもなりかねません。

こうした起こり方から考えれば、熱中症は暑さを避けるなどの適切な対応さえしていれば、基本的には予防できるはずのものです。

具体的には、室内に温度計を常設して、室温が、暑さ指数で「厳重警戒」に相当する28℃を超えないように、エアコンや扇風機を上手に活用して調節すれば、熱中症は間違いなく予防できるはずです。

室内に日本気象協会監修の「見守り熱中症計」を設置

そこで、在宅療養を続けている高血圧の方には、「涼しい環境を確保する」ためのサポートグッズとして、日本気象協会監修の見守り熱中症計をおすすめします。

この熱中症計は、10分おきに室内の環境を自動的にチェックしてくれます。

その結果を、たとえば「気温35℃、湿度70%、危険!! こまめに水分摂ってね」といった具合に、かわいい声と光で、熱中症のリスクを5段階で知らせてくれます。

リスクを知らせる音声は2段階で調整できます。

また、夜間や睡眠中など、うるさいと思ったときはスイッチをオフにしておき、環境チェックをするときにオンにすれば、すぐにリスクを知らせてくれます。

冬期には風邪ひき指数も教えてくれるというすぐれモノです。

ただ、この熱中症計には非常に安価な類似品が出回っています。

なかには暑さと関係なく警告を発するものもあれば、すぐに壊れてしまうものもあるようですから、くれぐれもご注意のほどを。

ちなみに日本気象協会監修の「見守り熱中症計」は、本体の裏側に「監修 日本気象協会」と明記してあります。

いつになく体がだるいときは熱中症との関連を考えて

なお、この時期、体がいつになくだるいときは熱中症との関連を考え、水分や食事の摂り方を見直してみてはいかがでしょうか。

詳しくはこちらを読んでみてください。

連日の暑さでからだのだるさが抜けないときは、熱中症予防のために水分を摂りすぎで食事が疎かになっていることが珍しくない。疲労の回復には、必須アミノ酸の一つであるヒスチジンを食事から摂るといい。ヒスチジン補給には保存食のかつお節を活用するのがおすすめだ。
2022年4月1日より、高血圧などの治療中で「症状が安定している」と医師が判断した場合、1枚の処方箋で3回まで薬局で処方薬を受け取ることができる「リフィル処方箋」が導入されています。詳しくはこちらを。
高血圧などで医師の処方薬を継続して服用していると、毎月のように薬の処方を受けるだけの通院を負担に感じることはないだろうか。この4月から導入された「リフィル処方箋」なら、その負担が軽減される。このリフィル処方箋を受けられる条件と使用法をまとめた。
引用・参考資料*¹:日本高血圧学会ホームページ