「身体障害者手帳」をもらえる人と申請方法

日本茶

「身体障害者手帳」を
ご存知ですか

国や自治体(都道府県や市区町村)で行われている福祉サービスを利用しようと、最寄りの役所に行くと、「身体障害者手帳をお持ちですか?」と尋ねられることがよくあります。それは、各種ある公的福祉サービスのなかに、この手帳の交付を受けていることを条件としたサービスが少なからずあるからです。

身体障害者手帳を取得できるかどうかは、あなたがこの手帳の交付対象となっている障害(健康問題)により日常生活に支障を来しているかどうかで決まります。具体的には、病名だけでなく、あなたの病状や状態について医師から提供される情報(診断書や意見書)をもとに、最終的にはお住まいの都道府県知事が交付の可否を決定します。

身体障害者手帳の交付対象となっている障害のなかには、「視覚障害(見えにくさ)」や「聴覚障害(聴きとりにくさ)」「呼吸器の機能障害」など、高齢者に多い健康問題が数多く含まれています。

また、この手帳を提示すると利用できるサービスには、公的な支援(医療費助成、福祉用具類の購入費助成、所得税・住民税の控除等)だけでなく、交通機関の運賃割引、映画館やレジャー施設など民間施設の利用料割引などのサービスもあります。

このような、身体障碍者手帳の交付を受けることによって得られるメリットについては、意外と知られていないのではないでしょうか。

そこで今回は、日々の生活の質をより高めるために活用したい身体障害者手帳について、知っていただきたいことを焦点をしぼっておこうと思います。

身体障害者手帳をもらえる
障害の種類は?

身体障害者手帳を取得できる方については、「身体障害者法の別表に掲げる身体上の障害がある者」と定められていて、「身体上の障害の種類」としては以下があげられています。

  • 視覚障害(視力障害・視野障害)
  • 聴覚または平衡機能の障害
  • 音声機能、言語機能または咀嚼(そしゃく)機能の障害
  • 肢体不自由
  • 心臓機能・腎臓機能・呼吸器機能の障害
  • 膀胱または直腸機能の障害
  • 小腸の機能障害
  • 肝臓の機能障害
  • ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害

いずれの障害も一時的なものではなく、障害が「永続すること」、つまり「その障害が将来とも回復する可能性が極めて少ないこと」が身体障害者手帳交付の要件となっています。そのため、障害の原因となっている病気を発病して間もない時期や障害が一時的なもので永続しないと判断される場合には、身体障害者手帳の交付が認定されないことがあります。

障害の程度によっては対象から外れることも

上記の障害については、「身体障害者障害程度等級表」により、障害の種類別に、障害の程度によって、最も重い「1級」から「7級」に区分されています。このうち障害の程度が1級から6級の方は、身体障害者手帳の交付対象となります。

ただし、病状が回復するなどして障害の等級が変更になり、たとえば「6級」から「7級」になると、障害がその1つなら交付の対象から外れることになります。一方、7級の障害が2つ以上重複している方の場合、またはある障害については7級に変更になったものの重複している別の障害が6級以上の重い障害と認定されている場合は、手帳交付の対象となります。

身体障害者手帳をもらうための
交付申請の方法

すでにおわかりのように、あなたが身体障害者手帳を取得できるかどうかは、病名から読み取れる障害の種類だけでなく、病状や状態による障害の程度や生活動作の支障の度合いなどによって決まります。

「指定医」作成の診断書・意見書が必要

そのため、身体障害者手帳の交付を申請するには、身体障害者福祉法により都道府県知事が定めた「指定医」が作成した所定の書式の診断書・意見書(発行から1年以内のもの)を提出する必要があります。

したがって身体障害者手帳の交付を希望する方は、まずはご自分の病状を理解してくれている主治医(かかりつけ医)にご相談ください。主治医が指定医でない場合は、主治医から近隣の指定医に依頼してくれるはずです。あるいは、お住まいの市区町村の役所などの障害福祉担当窓口に問い合わせれば、近隣の指定医を教えてくれます。

身体障害者手帳の交付申請には、この指定医による診断書・意見書に加え、交付申請書と申請する方の写真(1年以内に撮影したものでサイズはたて4㎝×よこ3㎝、上半身で脱帽)、および印鑑が必要となります。

申請から1カ月程度で交付

必要書類が準備できたら、お住まいの市区町村役場、または保健福祉センター、福祉事務所の障害福祉担当課窓口に提出することになります。

通常、申請書提出から1カ月程度で身体障害者手帳が交付され、手元に届きます。ただ提出した診断書の内容によっては、指定医への確認や調整などのためにさらに日数がかかることもあるようです。

マイナンバー(個人番号)の記載も必要に

なお、マイナンバー制度の導入に伴い、2016(平成28)年1月1日から、身体障害者手帳の交付申請時に、以下2点の記載、提示が必要となります。

  1. 個人番号(マイナンバー)カード
  2. 本人確認のための通知カード、または個人番号付き住民票と運転免許証またはパスポート等顔写真付き証明書(顔写真付き証明書がない場合は、健康保険の被保険者証、あるいは年金手帳など、2つ以上の書類を用意する)

身体障害者手帳を取得すると
利用できるサービス

身体障害者手帳を取得すると、次のような公的ないし民間レベルのサービスを利用することができます。

  • 医療費の助成(国の公費負担制度に加え、地方自治体ごとの助成制度もある。国の「厚生医療」では、指定の医療機関で受ける治療に係る医療費が原則1割に)
  • 車椅子や補聴器など補装具類の交付や購入費用の助成、手すりの取り付けや段差の解消など住宅リフォームにかかる費用の助成
  • 視覚障害者用のメガネや安全杖、体温計や点字器など日常生活用具の給付や貸与
  • 所得税や住民税、自動車税など各種税金の減免(障害者控除)
  • 障害者雇用促進法に基づく障害者雇用枠への応募などの就労支援
  • 公共料金や公共交通機関の運賃の割引(NHKの放送受信料割引やauのスマイルハート割引、ソフトバンクのハートフレンド割引、NTTドコモのハーティ割引など携帯電話会社の料金割引制度もある)
  • 美術館、博物館、動物園、映画館など、レジャー施設等利用費の割引

障害の種類や程度(等級)により利用できるサービスの内容は違ってきます。詳しくは、身体障害者手帳の交付を受ける際に配布されるガイドブックや、お住まいの自治体のホームページ、あるいは自治体の障害福祉担当課の窓口で確認するといいでしょう。

なお、各種福祉用具類については、介護保険でレンタル(貸与)あるいは購入できるものもあります。詳しくはこちらを。
⇒ 介護保険でレンタル・購入できる福祉用具

障害年金について

身体障害者手帳を取得すると、基本的に20歳から、65歳以降の方も障害の程度(等級)に応じた障害年金を受給、つまり受け取ることができるのではと考えがちです。

しかし、障害年金を受け取ることができるかどうかは、障害の程度や加入している年金制度、つまり国民年金なのか厚生年金なのかによって異なります。具体的なことは、こちらを参照のうえ、手帳の交付を受けた障害福祉担当課の窓口などでお尋ねください。

病気やけがにより心身に障害を負った場合、国から障害年金を受給できる。これには、障害基礎年金と障害厚生年金がある。いずれにも受給要件があり、加入している年金制度によって、また障害の程度により受給の可否や年金額が異なる。そのポイントを。

参考資料*¹:厚生労働省「身体障害者障害程度等級表」