家族の介護による「手荒れ」で悩んでいる方に




ハンドケア

頻繁な手洗いや手指消毒で
手荒れに悩まされていませんか

病院などの医療機関や介護施設で働いているスタッフは、感染症を院内や施設内に広げないため、また我が身を感染から守るための対策として、手洗いや手指の消毒を1日に、多いときは20回も30回も繰り返し、結果として頑固な手荒れに悩まされています。

同様に在宅で家族の介護をしている方も、排泄の世話をした後はもちろんのこと、食事の介助をする際にも、また身体を拭くとか体位交換をするたびに手洗いや手指の消毒をしているでしょうから、程度の差はあれ、手荒れが避けられないと思います。

手荒れと言っても、始まりは手の甲や指先が乾燥してかゆくなったり、なんとなくかさかさするように感じる程度でしょう。

ところがそのような状態を放っておくと、皮膚のかさつき感が日増しに強くなり、爪の周囲や指先の一部の皮がむけたり、軽いひび割れができたりするようになります。

手荒れもそこまで進むと、洗濯物や寝具などに触れるたびに痛みを感じるようになり、家族を介護することにも否応なく支障が生じるようになってしまいます。

そんな事態に陥らないようにと思い、今回は、介護に不可欠な頻繁な手洗いや手指消毒による手荒れを防ぐ方法について書いてみたいと思います。

目に見える汚れがついていれば
石けんと流水で汚れを洗い流す

手指を衛生的に保つ方法には、アルコール手指消毒薬を用いる方法と石けんと流水を用いる手洗いの、概ね二つの方法があります。

手指に目に見える汚れがついているときは後者の方法、つまり一般的な石けんと流水による手洗いで汚れを洗い流す必要があります。
このとき、特に寒さが厳しいシーズンでは、ついつい温かいお湯を使いたくなります。

しかし温水は、皮膚の保湿(うるおい)に欠かせない皮脂を汚れと一緒に洗い流してしまいます。
その結果、頻繁な手洗いでただでさえ乾燥しがちな皮膚をさらに乾燥させ、手荒れを悪化させることになりかねません。

また、洗った後の手は、水気をしっかり取り除くことが大切です。
その際、タオルでゴシゴシこすって水気をとろうとすると、そのタオル刺激がかえって手荒れを悪化させてしまいます。できればソフトタイプで2枚重ねになっているペーパータオルを使い、軽く叩くようにして水気をとることをおすすめします。

目に見える汚れがなければ
擦式タイプのアルコール消毒薬を

一方、手指に目に見える汚れがないときは、アルコール手指消毒薬による擦式(さっしき)、つまり適量の消毒薬を手にとって皮膚に擦り込む方法で手指を消毒するほうが、水で洗い流す必要がないため、濡れた手を乾燥させるときに皮脂が失われる機会が減り、そのぶん手荒れしにくいと言われています。

病院やクリニックに行くと、あらゆるところに速乾性の擦式タイプの消毒薬ボトルが設置されていて、「手指の消毒にお使いください!!」と書かれた貼り紙とともに、手指を衛生的に保つことを促していますが、あの消毒薬です。

最近では、ヒアルロン酸など保湿効果のある皮膚保護薬を含む速乾性の擦式手指消毒薬も市販されています。たとえば職業性の手荒れで悩むことの多い看護職の間では、低アルコール・ジェルタイプで速乾性のピュレル ゴージョー が、手荒れしにくいとして人気のようです。

ただし、肌の弱い方やアトピー体質で皮膚が薬剤などの刺激に弱く、過剰に反応して炎症を起こしやすい方の場合は、薬剤が皮膚に長くとどまる擦式タイプの消毒薬の使用は避け、石けんと流水による手洗いの方法を選択した方が安心でしょう。

手洗いや手指消毒を終えたら
保湿剤をつけ乾燥を防ぐ

いずれの方法を選ぶにしても、手指を清潔にした後は、ハンドケアを忘れずに行っておくことが大切です。そのポイントは皮脂の減少をカバーする保湿剤による乾燥防止です。

保湿剤としては、保湿効果が高く、なおかつベトつきや臭いのないタイプで、尿素やセラミド、ワゼリンを配合したタイプのクリームやローションが効果的だとされています。

ただし、ひび割れが出ているときに尿素配合の保湿剤をつけると、ピリピリ浸みてかえってつらくなりますから、別のタイプのものにした方がいいでしょう。

容器タイプの保湿剤は、クリームを取り出す際に手指についている目に見えない汚れや菌で容器内を汚染させるリスクがあります。
このリスクを避けるには、チューブかポンプタイプのものがおすすめです。

保湿剤をつけた状態で手洗いや手指消毒を行うと、皮膚に付着している汚れや菌を保湿剤が守ってしまうことになり、消毒効果を低減させることになりがちです。
保湿剤をつけるときは、手洗いや手指消毒を行い、その手を十分乾燥させてからつけることが大切です。

最近は、保湿剤をつけた状態でも手洗いや手指消毒の効果に影響しないハンドプロテクト のようなものも売り出されていますから、試してみてはいかがでしょうか。

保湿剤をつけていても効き目が思わしくなく、手荒れの症状が悪化して割れ目から出血したり赤く腫れあがってきたりしたときは、ためらうことなく皮膚科を受診することをおすすめします。