「お酢で内臓脂肪を減らせる」には誤解が多い

お酢

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お酢を飲むだけでは
内臓脂肪は減少しない

久しぶりに会った友人とのおしゃべりのなかで、こんなことが話題になりました。「主人が健康診断で内臓脂肪を減らすように言われたので、りんご酢を毎日飲ませているんだけど、りんご酢より黒酢の方がいいのかしら」

確かに、「お酢ダイエット」という言葉があるように、身近な調味料としておなじみの「お酢」には「内臓脂肪を減少させる」効果が期待できると言われています。

ネット上では、「お酢が食後血糖値の上昇を防ぐ」とか「お酢は体脂肪を燃焼させるのでダイエットに向いている」、あるいは「お酢には血圧を下げる効果もある」などといった体験談が紹介されていたりもします。

これらの健康効果をそのまま信じて、彼女のご主人のように「毎日続けてお酢を飲んでいる」方は少なくないようです。

しかし結論から言えば、「お酢を飲むだけ」では内臓脂肪の減少効果は期待できませんから確かなメタボ予防対策にはなりません。食後血糖値の上昇を防ぐ効果も体脂肪を燃やすダイエット効果も、ただお酢を飲んでいればいいという話ではないのです。

むしろお酢の飲み方によっては、健康を脅かすリスクがあることも知っていただきたいと思い、今回はお酢のダイエット効果について書いてみたいと思います。

お酢のアミノ酸と運動の
相乗効果で内臓脂肪が減少

SNSには、お酢を飲むと期待できる健康効果をアピールする記事があふれています。いずれの記事も、お酢に含まれている「アミノ酸」に脂肪を燃やす効果があると説明しています。

「そうかなぁ」と疑いつつ、管理栄養士の友人に確認したのですが、やはりアミノ酸は「体内で脂肪を燃やすサポートはする」ものの、アミノ酸単独では直接脂肪を燃やす働きは期待できないとのこと。「だから飲むだけで内臓脂肪が減少するとか、飲むだけダイエットなどありえない」というのが、管理栄養士としての見解だと言います。

ただし、多くのアスリートがアミノ酸の多いプロテインなどを好んでとっているように、アミノ酸を摂取したうえで運動をすると、筋肉量が増加します。筋肉量が増えることにより、脂肪の燃焼が効率的になるということは期待できるようです。

早い話が、アミノ酸と運動の相乗効果によって内臓脂肪の減少やダイエット効果が期待できるというわけです。「でも、お酢に含まれるアミノ酸のレベル(度合い)でそこまでの効果が望めるとは思わない」と、管理栄養士としては少々疑問視しているようです。

お酢に含まれる酢酸も
代謝の活性化をサポート

実際、お酢を毎日とり続けることに、肥満気味の方の内臓脂肪を減らしたり、腹囲や体重を減らす効果があることを明らかにした研究報告がいくつかあります。ちなみにこの場合のお酢の飲み方は、1日15ml(大さじ1杯)程度を毎日継続して飲むというものです。

それらのレポートを注意深く読んでみると、管理栄養士の友人が指摘するように、ただお酢を飲んでいるだけではありません。

お酢を飲んだ後にウォーキングやジョギングなどの有酸素運動*を行って運動量を意識的に増やしたり、食物繊維が多めの食事をとることを心がけた結果として、内臓脂肪の減少など、期待した健康効果が得られたと説明しているのです。

*有酸素運動では、酸素を使って腕や脚など全身の大きな筋肉を動かすのですが、そのエネルギー源としてまず使われるのが内臓脂肪。この脂肪燃焼効果により内臓脂肪の減少やダイエット効果が期待できるとされています。
⇒ メタボ予防にいい運動はジョギングか筋トレか

また、お酢にはアミノ酸だけでなく酢酸も豊富に含まれているのですが、酢酸は体内に入るとクエン酸に変化します。クエン酸には、糖質や脂肪をエネルギーに変える働き、いわゆる代謝を活性化させる作用がありますから、体内に脂肪がたまりにくくなるのです。ただこの効果も、運動などとの相乗効果によってはじめて期待できるものです。

健康への影響を考えた
お酢のとり方を

ところで、お酢のとり方では、特に注意していただきたいことがあります。

冒頭で紹介した友人のご主人は、1日大さじ1~2杯を目安に、野菜の酢の物やもずく酢などの料理に使ったりドリンクにして飲むことが多いそうです。ただ、ときに原液をそのまま飲むこともあるとのこと。

しかし原液そのままでは、胃腸への刺激が強すぎて炎症を引き起こすリスクがあります。お酢料理にするのが理想ですが、そのままを飲むときは、せめて水や炭酸水、あるいはお湯などで5倍以上に薄めて飲むことをお勧めします。

また、「そのまま飲める」とうたっているお酢もありますが、この場合も、空腹時は避けるなど、胃腸への配慮は必要でしょう。

飲みやすい酢にはブドウ糖などの添加物が

最近は、「まろやかで飲みやすいお酢」などとして市販されているお酢があります。このようなキャッチフレーズが付いているお酢には、ブドウ糖や果糖、蜂蜜などが添加されていて糖質量が多くなっているものが多いようです。

これらの添加物は、お酢の瓶の裏側に貼ってある栄養成分表示の「原材料名」の欄に必ず明示してあるはずですから、チェックしてみてください。

糖尿病で治療中の方や健康診断などで血糖値が高めであることを指摘されている、いわゆる糖尿病予備群の方が、糖質が添加されているお酢を飲むことは、むしろ血糖値を上げてしまいますから、避けた方がいいでしょう。

血糖値が気になる方はカロリーゼロのお酢を

幸い最近は、たとえばミツカンから「りんご黒酢 カロリーゼロ 」のようなカロリーを気にせずに利用できる機能性表示食品が売り出されています。りんご味とブルーベリー味の2タイプがありますから、お好みの味を利用するといいでしょう。

なお、機能性表示食品に表示されている「カロリーゼロ」は、100ml当たりのエネルギー量が5Kcal未満であれば「ゼロカロリー」と表記できることになっていて、完全にゼロカロリーではないことをご承知おきください。

肥満体質の方は「倹約遺伝子」のチェックを

内臓脂肪の蓄積や「ぽっこりお腹」などで悩んでいる方は、倹約遺伝子が関係しているかもしれないという話をこちらで書いています。チェックしてみてください。

肥満などに関係して「倹約遺伝子」という言葉をよく見聞きする。エネルギーを節約して使い、余ったエネルギーは脂肪として蓄えるというこの遺伝子を日本人の3人に1人が保有しているそうだ。倹約遺伝子を保有しているか否かは遺伝子検査でわかるが……。