要介護認定で「非該当」と判定されたら

コーヒータイム

「要介護」にも「要支援」にも
認定されなかったとき

介護保険サービスを利用するには、申請して「要介護認定(要支援認定を含む)」の審査を受け、あなたが日常生活に介護や支援が必要な状態にあること、どのくらいの介護や支援が必要な状態なのかを認定してもらわなくてはなりません。

この認定審査の結果については、申請してから原則30日以内に通知で届くことになっています(介護保険法で定められています)。

この通知で、「要介護1~要介護5」あるいは「要支援1・2」のいずれかに該当する状態であると認定されていれば、結果に応じて、介護保険の介護サービスあるいは介護予防サービスを利用することができます。

介護保険制度については、「申請方法がよくわからない」「かかりつけ医がいないので申請できないのでは」といった声をよく見聞きする。用意されているサービスを上手く利用できていない方も多いと聞く。そこで、改めて基本的なことを整理してみた。

ところが、あなたの状態によっては「非該当」と判定されることがあります。要は、「要介護」にも「要支援」にも該当しないということです。

言い換えれば、あなたの今の状態は介護や支援を受けなくても自立して生活できる状態です、と認定されたということです。ですから本来なら、喜ぶべきことなのかもしれません。

しかし、日々生活するなかで介護や支援の必要性を実感しているから要介護認定を受けたわけですから、介護保険サービスを利用できないという判定には、すんなり納得できない方も少なくないと思います。

そこで今回は、要介護認定で「非該当」と判定された場合は介護保険のような公的サービスを受けられないのかどうか、また、そのことに不服を申し立てることはできるのか、ということについて書いておきたいと思います。

要介護認定で「非該当」でも
受けられるサービスがある

まず、要介護認定の結果が「非該当」で、「要介護」にも「要支援」にも認定されなかったら受けられる公的サービスはないのかという話から――。

結論から言えば、通常の介護保険サービスは受けられませんが、お住まいの市区町村(自治体)が実施している地域支援事業制度に基づくサービスは受けることができます。

このサービスの内容やサービスの利用にかかる費用は市区町村によって異なります(費用は介護保険同様に、実費の1~3割負担の自治体が多いようです)。

したがって、具体的なことは市区町村の担当部署か最寄りの地域包括支援センターに問い合わせていただく必要があります。

地域包括支援センターは、「高齢者安心相談センター」などの愛称で活動しているところもあります。厚生労働省の公式ホームページにある「全国の地域包括支援センターの一覧」を参照して、電話で問い合わせてみてください。

利用可能な介護予防サービスと
生活支援サービス

そこで、ここでは一般的な話として紹介させていただきますが、地域支援事業として実施されているサービスには、おおむね次の2種類があります。

  1. 65歳以上の方なら誰でも利用できる生活機能を維持するための介護予防サービス
  2. 日常生活に支障があり、要介護や要支援になる可能性が高いものの、社会的支援があれば自立した生活が可能な方に、介護予防・自立支援を推進するための生活支援サービス

このうち「1」の介護予防サービスとしては、介護予防の取り組みに役立つパンフレットや講演会、相談会などによる情報提供、およびボランティアなどによる介護予防活動(運動、栄養指導など)が受けられます。

「2」の介護予防・自立支援のための生活支援サービスは、日常生活に関する25項目から生活機能をチェックする「基本チェックリスト(市区町村が事前に郵送)を実施し、その結果から「生活機能の低下が見られる」と判定された方が対象となります。

基本チェックリストのチェック項目には、「バスや電車で1人で外出していますか」「日用品の買い物をしていますか」「預貯金の出し入れをしていますか」「友人の家を訪ねていますか」などがある。詳しくはこちら*²を。

この生活支援サービスとしては、基本チェックリストの結果から判定される自立度に応じて、次のような「訪問型サービス」と「通所型サービス」を利用することができます。

  • 訪問型サービス:ホームヘルパーなどが自宅を訪問して、自分一人ではできない家事(調理、洗濯、掃除、ゴミ出し、買い物代行など)をしてくれるサービス
  • 通所型サービス:地域の公民館などの施設に通って、日帰りで体操や運動、趣味活動をしたり、食事や入浴などの支援を受けるサービス

この他、自治体によっては「安否確認サービス」や「配食サービス」、「緊急対応サービス」など独自のサービスを用意している自治体もあります。

「非該当」に納得できないときは
要介護認定を再申請できる

一方で、要介護認定の「非該当」という判定に納得できない場合は不服申し立てができるかどうかという話です。結論から言えば「ご自分の実情と一致していないと思われる場合は、要介護認定を再申請することができます」。

ただし、再申請により「要介護」か「要支援」に必ず認定されることが保証されるものではなく、再度「非該当」となる場合もあります。

また、再申請をする場合は、認定結果を受け取った翌日から60日以内に、最寄りの地域包括支援センターか市区町村の担当部署にその旨を申し出る必要があります。

各都道府県が設置している「介護保険審査会」と呼ばれる第三者機関に不服申し立てを行い、認定結果の妥当性を審査してもらう方法もあります。

ただこの方法は、結果を受け取るまで数カ月かかるうえに、手続きも複雑ですから、あまり実用的ではありません。

というわけで、まずは最初に要介護認定を申請した窓口の担当者に、実情にそぐわない結果を受け取ったことを話して、「再申請したいがどうだろうか」と相談するのがいいのではないでしょうか。

介護認定後に状態が変化したときは
「区分変更申請」を

なお、介護認定を受けたものの、訪問調査を受けたときから心身の状態が大きく変化していて、必要な介護の度合いが変わっていることもあるでしょう。

そのような場合は、「区分変更申請」といって、再度申請して新たに要介護度を認定してもらうことができます。その方法などは、あなたの要介護状態をよく理解している担当のケアマネジャーに相談することをお勧めします。

参考資料*¹:厚生労働省「全国の地域包括支援センターの一覧」

参考資料*²:基本チェックリスト