こんなときはメッセンジャーナースに相談を

支える

高額療養費制度の
「患者負担引き上げ」で困った!!

医療の受け手である私たちは、今年(2025年)に入り、「高額療養費の自己負担上限額引き上げ」という深刻な問題を新たに突きつけられています。

医療費が高額になった場合に患者の経済的負担が重くならないよう、年齢や所得に応じてひと月あたりの医療費の自己負担に上限を設けている制度があります。ご承知の「高額療養費制度」ですが、この患者負担の上限額を今年8月から段階的に引き上げていくというのです。

政府がこの方針を発表すると、即座にがんや難病など継続的治療が必要な患者団体を中心に「患者に過度の負担を強いるものだ」と、反発の声が上がりました。

こうした声を受け、政府は来年8月以降の制度の在り方については見直すものの、今年8月からの引き上げは予定どおり実施するとのこと(政府は3月7日、今年8月の引き上げはひとまず見送り、制度の見直しを行うとの方針を発表)。

まずは安心したものの、いずれにしても引き上げとなれば、患者によっては1年間に自己負担すべき医療費がこれまでの2倍を超えることもあり、「治療を中断するわけにはいかないし……、誰に相談したらいいのだろう……」と、多くの患者が悩んでいます。

メッセンジャーナースを
ご存じですか?

わが国の医療サービスに関しては、こうした医療費の問題以外にも患者を悩ます課題が山積しています。

特に最近は、患者が受ける検査も治療もすべて医師が決めていた、かつての「おまかせ医療」と違い、「人生会議」に象徴されるように、あらゆる医療サービスが患者本人の希望に沿って行われるようになっています。

そんななかにあって、「医師が病状や治療方針をていねいに説明してはくれるのだが話がむずかしくて理解できない」とか、「あなたはどうしたいのかと尋ねられても、自分の思いをうまく伝えられない」といった声が、高齢者を中心に多く聞かれています。

医師の説明が理解できないときは何回でも聞き直せばいいのでしょうが、「医師が忙しそうで聞き直せない」「しつこい患者だと思われたくないので聞けない」「医師との関係を悪くしたくないから聞けない」でいるというのが大方の現実でしょう。

そんなとき、あなたと医師ら医療者とのパイプ役となり、「医師の話を理解できるようにかみ砕いて説明してくれる」「あなたの本音を聞き出して医療者サイドに伝えてくれる」メッセンジャーナースがいることをご存じでしょうか。

対話をしながら
あなたらしく生き抜く支援を

メッセンジャーナースとは、医療の受け手であるあなたと直接契約を結び、あなたやあなたのご家族と医療を提供する側との対話の懸け橋となり、あなたが納得のいく治療やケアを選択してあなたらしく生き抜くことができるようにサポートすることをモットーに活動する看護師です。

このメッセンジャーナースは、2010年に誕生した民間の認定資格です。看護師としての10年以上の経験をベースに、医療に直面したときの人間心理や相手の真意を汲み取る対話の方法など、所定の専門的な研修を受けて認定され、現在は全国36都道府県で220人がメッセンジャーナースとして活動しています。

数としてはまだ多くはないのですが、それぞれが所属する地域にしっかり根を張り、寄せられる「困ったな」「どうしよう」「先が見えない」等々の医療的な悩み、あるいは身寄りのない、いわゆる「おひとりさま」が抱えがちなこの先ひとりで暮らしていくことへの不安などに、対話をしながら問題解決が図られるよう精力的に活動しています。

通院サポートを含む外出支援をすることもあれば 、医師による病状説明の場に同席したり、遠方に暮らすご家族にメールやLINEで生活状況を報告することもあります。

その活動ぶりは、たとえば枕崎市(鹿児島県)の田渕晴美さんや仙台市の鳴海幸(みゆき)さん、岐阜県瑞浪町稲津町の梅村奈美子さん、等々……、それぞれ地元の新聞でも紹介されていますから、メッセンジャーナースの存在をご存じの方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

身近にメッセンジャーナースがいるかどうかわからないが、「是非相談したい」「話を聞いてもらいたい」という方は、メッセンジャーナース認定協会に電話(03-5386-2427)かメール(messenger.ns@e-nurse.ne.jp)で問い合わせてみてはいかがでしょうか。