新型コロナウイルスの感染を疑ったとき

発熱

新型コロナウイルス感染症に関する
「相談・受診」の目安示される

新型コロナウイルスによる国内での感染者が日を追って増えています。

加藤勝信厚生労働相は2月15日の記者会見で、新型コロナウイルスの感染者が圧倒的に多い中国との接点が見つからないうえに、感染経路が明らかでない国内感染者が複数報告されていることについて、「これまでとは状況が異なる」として、わが国における新型肺炎が「新たな局面を迎えた」との見解を示しています。

この新型肺炎について先に私は、体調の異変などから「もしかしたら自分も新型コロナウイルスに感染したのでは……」と心配になったときは、まずはかかりつけ医に電話で相談することを提案する記事を書きました。

中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染が拡大している。日本でも、武漢市に渡航歴のない男性の国内での感染が確認され、不安が広がっている。インフルエンザシーズンだけに、発熱や咳を自覚して新コロナウイルスの感染を疑うこともあるだろう。その際の対応は……。

あなたの健康状態を日頃から最もよく把握しているかかりつけ医なら、あなたが自覚している体調の異変が「いつもと違うな」と判断すれば、相応の対応を指示してくれるはずだと考えたからです。

ところが、かかりつけ医がいなかったり、「かかりつけ医はいるが感染症にはどうも明るくないようで、心もとない……」といった声をいくつかいただいていました。

ちょうどそんな折、厚生労働省から「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が公表されたのです。
そこで今回は、この「目安」について書いてみたいと思います。

新型コロナウイルス感染症の「相談・受診」目安は、5月8日変更されています。
新たな目安については、こちらの記事を参照してください。
新型コロナウイルスの感染を疑ったときの「相談の目安」の見直しを進めていた厚労省が、新たな目安を公表。従来の「37.5度以上」「4日以上続く」など、相談のハードルを上げていた条件が削除された。体温の変動や症状の現れ方には個人差があることが配慮されたようだ。

風邪症状を自覚したら
外出を控えて体温測定を

2月17日に発表された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」*¹は、脇田隆字(わきたたかじ)国立感染症研究所所長を座長とする「新型コロナウイルス感染症専門家会議」における議論を踏まえてまとめられたものです。

そこでは冒頭、次の2点を「相談・受診の前にこころがけること」としてあげています。
⑴ 発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える
⑵ 発熱等の風邪症状が見られたら、毎日体温を測定して記録しておく

このうち⑴については、特に会社勤務の方などは、自分が休むことで同僚たちに迷惑がかかることなどを心配して、無理を押して出勤しようとするのではないでしょうか。

しかし、仮にウイルスに感染していた場合は、同僚のみならず通勤途上で近距離で接触する多くの人たちにも感染を広げることにもなりかねません。

この市中感染のリスクを避けるためにも、感染しているか否かが明らかになるまでは、会社を休んで自宅に留まるべきです。
そのためには、会社等で管理職の立場にある方の理解が欠かせないところでしょう。

風邪症状が4日以上続くときは
専用ダイヤルへ相談を

そのうえで、新型コロナウイルス感染症専用の相談窓口である「帰国者・接触者相談センター」の専用ダイヤルに、相談することになります。

この際の相談する目安として、次のいずれかに該当することがあげられています。
⑴ 風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続いている
⑵ 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)
このうち⑴については、熱っぽさなどから解熱剤を飲み続けなければならない場合も、4日を目安にするよう助言しています。

■基礎疾患がある等の重症化しやすい方は早めに
例外として、次の①~④に該当する方は感染を受けて発症すると重症化しやすいことから、上記⑴もしくは⑵の症状が2日ほど続くようなら、専用ダイヤルに相談するよう促しています。
①高齢者(65歳以上)
②糖尿病、心不全、COPD(喫煙歴の長い人に多い慢性気管支炎や肺気腫に代表される慢性閉塞性肺疾患)等の持病がある方
③透析治療中の方
④免疫抑制剤や抗がん剤による治療中の方

なお、小児については、現時点で重症化しやすいとする報告はないため、通常の目安どおり、つまり上記⑴もしくは⑵の症状が4日以上続くときを相談の目安とすればよいとしています。

ただし妊婦については、念のため胎児への影響も考慮して重症化しやすいケースと考え、該当する症状が2日ほど続くようなら、「帰国者・接触者相談センター」の専用ダイヤルにて相談するよう助言しています。

受診をすすめられたら
紹介された医療機関を受診する

相談先としてあげられている新型コロナウイルスに関する「帰国者・接触者相談センター」の専用ダイヤルは、全国の保健所などに設置されています。
最寄りの相談センターは、厚生労働省のWEBサイトで探すことができます*²。

相談センターの窓口では、相談内容から「新型コロナウイルスに感染した疑いがある」と判断すると、相談者がより適切な診療を受けられるよう、感染症の専門医がいて医療体制が整備されている最寄りの「帰国者・接触者専門外来」を紹介してくれることになっています。

■複数の医療機関を受診しない
感染の疑いがあるとして受診をすすめられたときは、必ずマスクを着用し、公共交通機関の利用を避けて、受診をすすめられた医療機関の「帰国者・接触者専門外来」を受診することになります。

この受診先について厚生労働省は、感染が疑われた方をより適切な医療にスムーズにつなぐことに加え、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ観点からも、
⑴ 相談センターがすすめる医療機関を受診すること
⑵ 複数の医療機関を受診することは控えること
の2点を厳守するよう求めています。

■公共交通機関しか移動手段がないときは相談を
とは言え、電話をしている自宅から指定された医療機関までの移動手段が、公共交通機関以外にないということもあるでしょう。

その場合は、各相談センターによって対応に多少の違いはあるものの、保健所が用意している感染症患者専用の搬送車両、あるいは救急車などを手配し、搬送してもらえるようですから、是非相談してみてください。

保健所から入院勧告を受けた際の
入院等に係る医療費について

相談センターにすすめられた医療機関の「帰国者・接触者外来」を受診し、ウイルス検査(PCR検査)や肺のCT検査などの結果から「新型コロナウイルスによる肺炎」と診断されると、保健所から感染症指定医療機関への入院勧告を受けることになります。

新型コロナウイルスによる肺炎は、2月1日に指定感染症に指定されています。
この指定期間中は感染症法第37条が適用され、検査段階から入院中にかかる医療費については、各自治体の判断のもと公費で負担されることになります。

■医療保険の自己負担分が公費負担に
この場合、患者が加入している各種公的医療保険が優先して適用され、その自己負担分に応じて(全体の3割、2割、あるいは1割)が公費で賄われることになります。

ただし自治体によっては、世帯員(日常の住居、生活を共にしている人)の総所得額によって、一部負担額の公費負担分に上限を設けているところもあります。

いずれにしてもこの制度により、少なくとも経済面では安心して治療に専念できるように配慮されていることになります。

なお、相談センターに相談した結果、あるいは受診をすすめられて医療機関で診察や検査を受けた結果として新型コロナウイルスに感染していないことが確認できた後も、手指の消毒などの予防策を励行することをお忘れなく。

中国武漢市で発生した新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。街は感染から身を守ろうとマスク姿があふれているが、むしろ重要なのは手指衛生、つまりこまめな手洗い・消毒により手を清潔に保つことだ。マスクだけを過信することなく、手指衛生の徹底を。

参考資料*¹:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000596905.pdf

参考資料*²:厚生労働省「新型コロナウイルスに関する帰国者・接触者相談センター」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html