在宅療養で受ける医療・介護にも
公的医療・介護保険を活用できるが
住み慣れた我が家で家族に囲まれて過ごす療養生活は、独り病院のベットで過ごす日々に比べたらどんなに魅力的でしょう。
それを実現するには、医療や介護のサポートが欠かせません。
加えて現実的な問題として、在宅療養にかかるお金の問題をクリアする必要があります。
この費用については、公的医療保険や公的介護保険を活用できます。
とはいっても、どちらの保険も、かかる費用をまるごとカバーしてくれるわけではありません。相応の自己負担が求められることになります。
負担分が高額になったときの支援制度も
この負担分が高額になることも珍しくないのですが、医療費については、国の高額療養費制度により、負担額の上限が決められています。
利用する介護サービスの費用も、所得に応じた限度額を超えた分は「高額介護・高額介護予防サービス費」として、介護保険制度の運営主体(保険者)である各市区町村から支払われる仕組みが整えられています。
なお、公的保険に関して詳しく知りたいという方は、こちらを参考にしてみてください。
在宅療養にかかる費用は
公的保険だけではまかなえない
とはいえ、実際の在宅療養生活には、公的医療保険や公的介護保険で手当てされないお金も必要になり、その額は、月々10万円を優に超えるとも言われます。
在宅療養に切り替えようという方は、多かれ少なかれ慢性疾患を抱えている方が多く、そのため自ずと療養生活も長くなります。
療養生活が長引けば、費用負担がどんどん積み重なり、それが療養する本人にとっても家族にとっても大きな心労のもとになりがちです。
そこで、在宅療養に伴う経済的負担を少しでも軽くできればと、まずは医療費の面で、民間の医療保険会社がさまざまなサービスを用意するようになっています。
これまでの「入院」「手術」「通院」にかかる費用を保障するサービスに加え、「在宅医療」にかかる費用も、医療保険の主契約(本体)に付加価値をつける「特約」のかたちで保障してくれるというわけです。
「在宅医療」の定義は保険会社により異なる
この場合の「在宅医療」の定義は、保険会社により、あるいは契約している保険の種類により違ってきますが、おおむね「病院などの医療機関以外の場所で行われる医療」としているところが多いようです。
なお、会社によっては、「医師や看護師などの医療スタッフが通院困難な患者の自宅あるいは施設に定期的に訪問して行う医療」と説明している会社もあります。
入院中から続く在宅医療費の
自己負担分の給付を保障
実例を見てみましょう。
明治安田生命保険の「退院後通院治療保障特約」
明治安田生命保険では、医療保険の1つである「メディカルスタイルF」の契約者を対象に、特約(とくやく)、つまり主契約に、任意で付加するオプション契約の1つとして、「退院後通院治療保障特約」というサービスを用意しています。
この特約サービスは、退院後に、入院したときと同じ病名やケガで通院あるいは在宅医療を受けた際に、公的医療保険の自己負担分を、退院翌日から、
⑴ がんの場合は730日間、
⑵ がん以外の場合は180日間に限り、
⑶ 通算して600万円を上限に、給付してくれるというものです。
特約を契約した時点の年齢と原因疾患により、給付額と保障期間には違いが出てくるようです。参考資料はコチラ。
SBI生命の終身医療保険「も。」
SBI生命の『も。』というユニークなネーミングの終身医療保険も、「入院・手術も、先進医療も、退院後の通院も、在宅医療も保障する」という保険です。
この医療保険にある「終身在宅医療特約」の最大のポイントは、通院が困難であると医師が判断すれば、入院時と同じ病名やケガであることを条件に、基本的にすべての病気やけがによる在宅医療が対象となっている点です。
本体の生命保険の契約時の年齢や契約内容により、給付を受けられる保障期間や給付額が違ってきますが、最大で月6万円(70歳以上は半額)を通算36カ月間受けることができます。
ただし、対象は、公的医療保険が適用されている場合に限られます(参考資料はコチラ)。
加入している医療保険の内容確認を
紹介した2社以外にも、入院中に受けていた酸素療法やインスリン自己注射のような治療やケアを退院後も引き続き自宅で受ける場合を対象に、期限を限ってはいるものの、保障サービスを用意しているところも数社あります。
いずれの場合も、医療保険の本体を契約していることが前提です。
加入している医療保険がある方は、そのサービス内容を確認するとともに、在宅医療を対象にした特約サービスについても、担当者に問い合わせてみてはいかがでしょう。
なお、民間の介護保険については、回を改めてまとめてみたいと思っています。