栄養の宝庫「アボカド」でフレイル予防を

低栄養によるフレイル予防に
1日1品のアボカド料理を

高齢ドライバーによる交通事故をテーマにした報道番組を見ているときでした。

そのなかで、65歳以上の高齢者がいる世帯の半数以上が、単身世帯か夫婦のみの世帯であり、その比率が右肩上がりに増えていることを示すグラフが紹介されました。

危険だからと高齢者から運転免許を取り上げてしまったら、外出に支障をきたす世帯がこんなにも多いという話だったのですが、この議論を聞きながら、私はまったく別のこと、高齢者だけの世帯の食生活のことを考えていました。

高齢になってひとり暮らしを続けている、あるいは夫婦とも高齢という世帯では、とかく食事に手間をかけるのが煩わしくなってくるものです。

そのため食卓に並ぶ料理の品数も目に見えて減り、食べる食材にも偏りが出やすいのではないでしょうか。

さらに体調が少し思わしくなかったりすれば、食欲自体、低下してしまいかねません。

加えて食べる量が減ったり、「昼食はいらない」などど欠食したりしていると、低栄養の状態になりやすく、やがて体力も気力も低下して日々の生活に介護が必要となる、いわゆる「フレイル」と呼ばれる状態に陥りやすくなります。

かつては「もう歳だから」と諦めていた体力や気力が低下した「フレイル」と呼ばれる状態は、その兆候に早めに気づき生活習慣を改善すれば、要介護状態への進行を食い止めることができます。その第一歩となるフレイルチェックの方法を紹介します。

こうした状態になるのを、さほど手をかけずに防ぐ方法として、今日は、アボカド料理1品を毎日の食卓に加えることを提案したいと思います。

アボカドはギネスが認めた
「世界一栄養価の高い果物」

ザラッとした、固い皮のような表皮をもつアボカドが、「世界一栄養価の高い果物」としてギネスブックに登録されていることをご存知でしょうか。

注目すべきは、あの固い表皮の中に隠れているクリーム色の果肉に、からだの調子を整えるうえで欠かせない11種類のビタミンと14種類のミネラルが豊富に含まれている点です。

たとえば強力な抗酸化作用をもつビタミンEは、からだの中のさまざまな機能が活性酸素により錆びつくのを防いで免疫力をアップし、正常な機能を維持するように働いてくれます。

特にビタミンEの血流を促す効果は優れていて、動脈硬化を防ぐとともに、肌のカサつき防止などの美肌効果も期待できます。

同様に、抗酸化作用をはじめとして、「万能ビタミン」と呼ばれるほどさまざまな場面で重要な働きをしているのが、ビタミンCです。

ビタミンCは、ビタミンのなかでも最も多く必要とされているのですが、水溶性であるために尿と一緒に排出されやすく、体内に溜めておくことができませんから、毎日コンスタントに摂り続ける必要があります。

アボカドにはこのビタミンCも豊富に含まれています。

アボカドに含まれる
必須アミノ酸が豊富なたんぱく質

果物としてはちょっと意外に思われるでしょうが、たんぱく質が豊富に含まれているのもアボカドの魅力です。

しかもこのたんぱく質は、私たちのからだに必要でありながら、体内でつくることができないため、毎日の食事から補っていく必要のある必須アミノ酸を豊富に含む栄養価の高い植物性たんぱく質です。

アボカドにはさらに、普通サイズの1個にゴボウ1本分に匹敵する食物繊維が含まれています。

しかも水に溶けにくい不溶性食物繊維と水に溶けやすい水溶性食物繊維が2対1の割合で含まれていますから、食事や水分の摂取量が少ないことや運動不足などが原因で便秘に悩むことが多いという方には心強い味方です。

また、アボカドに含まれるミネラルのなかでもとりわけ豊富なカリウムには、摂り過ぎたナトリウム(塩分)を尿中に排出してくれる働きがありますから、減塩効果を上げることになり、高血圧や動脈硬化、また浮腫(むくみ)の改善にもつながります。

不飽和脂肪酸が多く
カロリーが気になるアボカドだが

一方でアボカドは、「森のバター」と呼ばれるように脂肪分が多いのも特徴です。
果肉全体の約20%が脂肪分です。

それだけにカロリーは高く、普通サイズのアボカド1個が250Kcal前後と、ほぼご飯1膳分(160g)のカロリーに匹敵します

このカロリーを気にする方もいるでしょう。

しかし、アボカドに含まれる脂肪の大部分は、リノール酸やオレイン酸、リノレン酸といった不飽和脂肪酸です。

このタイプの脂肪には、中性脂肪やLDLコレステロール(悪玉コレステロール)を減らすといった、からだにとっていい働きをしてくれる効果が期待できます。

そこで、アボカド以外のもので摂れているカロリーを概算して、1個食べたらカロリーオーバーになってしまうと判断したときはカットして半分だけ食べるとか、食が細くて量的にあまり摂れていないようなら1個を丸ごと食べるなどしてカロリーを調整することができます。

あるいは、ご飯の量を意識的に減らし、その減らしたぶんのカロリーをアボカドで補うという食べ方も健康上いいように思います。

最近は、アボカド スライス 【冷凍】のように急速冷凍してあるものも手軽に手に入るようになっていますから、量を調整したいときはこれを使うと便利です。

冷凍処理による栄養価の低下を心配する向きもあるでしょうが、最近の冷凍された野菜や果物は、旬のものを使って急速冷凍しているため、スーパーなどで購入するものよりもむしろ栄養価は高いと言われています。

薄くスライスしてわさび醤油がおススメ

アボカドの食べ方ですが、薄くスライスしてわさび醤油をちょっとつけて食べると、まさしくトロの味を楽しむことができます。

食べる時にむせたり、飲み込むときにつかえ感があるようなときは、マッシュ(すりつぶして裏ごしする)やペースト状のディップにすると食べやすくなります。

アボカドを扱い慣れていない方には、「硬い皮をカットする」「種を外す」「皮から身を取り出す」「スライスする」「切りつぶしてマッシュにする」の5役を全部引き受けてくれる アボシャーク をおすすめします。